押し掛けにゃんこ~きーちゃん編
あたし、キジトラって柄の女の子なの。みゆさんと妹ちゃんからはきーちゃんって呼ばれているけど、本当の名前はきじこっていうの。
まったく人間は単純よね。毛の柄と色で名前を付けるなんて。これは、あたしがお外の猫だったから仕方ないんだけど。
今日は4年前にこの家の猫になった時の話をするね。
あたしはお外の猫だったんだ。いつもお腹がすいていて、やせっぽちの小さな子だったの。
ある時、お散歩していたら広い所にたどり着いたの。そこには、お家とお店があったんだ。そしてね、猫のにおいがしたの。
においに誘われて、お家に近づいていくと人間の女の人がいたんだ。その人はみゆさんだった。みゆさんは、あたしに気が付くと「あ、猫だ。おーい!」って声を掛けてきたけど、人間怖いから逃げちゃった。でも、その時に分かった事は、ここのお家には黒猫のお姉さんがいるって事。
それからあたしは度々そこのお家に通うようになったの。みゆさんやお姉ちゃんに妹ちゃん。おばあちゃんやお父さん。お隣のおばさんもみんな優しくしてくれたんだ。
黒猫のお姉さんは網戸や窓越しに会うと、お鼻の挨拶はしてくれるけど後はシャーって言われちゃう。少しおこりんぼさん。
ずっと通ううちに、お隣のおばさんがごはんをくれたり、病院に連れて行ってくれたりした。寝るところは、みゆさんちの倉庫の中。お布団もあるの。
でも、あたしはお家に入れて欲しくて夜になるとにゃーにゃー鳴くの。けれど、くろちゃんがいるからって入れてもらえなかった。あたしもお家の子になりたいよ。
あたしはお家に入れてもらう大作戦をする事にしたよ!
人間たちに会ったら、にこにこしてゴロゴロ言っちゃう♪
抱っこだってさせちゃうし、ナデナデもさせちゃう♪
お膝にも乗っちゃうもんねー♪
お店にも行って愛想を振りまいて、外堀を埋めちゃう♪
黒猫のお姉さんにも気に入られるようにがんばっちゃう♪
みゆさんたちの隙を狙って、お家にも入っちゃう♪
あたしの作戦が浸透してきたみたいで、家に入れてあげようって話も出てきたんだ。
「きじこ家で飼おうよぉ。」
「看板猫に仕立てては!?」
しめしめ、もう一歩だね。
季節が変わってきて、だんだん寒くなってきたの。寒いのいやだ。
夜になると、おばあちゃんが湯たんぽ入れてくれるけど、あたしはお家に入りたいの。お姉ちゃんや妹ちゃんが学校やアルバイトから帰ってきた時に横からするりと中に入って泊めてもらった事もあるよ。既成事実を作るんだ!
その日はすごくすごく寒かったの。お家の明かりを見ていると、がちゃっとドアが開いたんだ。
妹ちゃんが中から出てきて、あたしの所にやって来た。
「今日からうちの子になれるよ!」
そう言うと、あたしを抱っこしてお家の中に入っていった。
そう、あたしはたった今からここんちの子になったの。やったね!作戦大成功!!
お家の中は暖かいし、怖くないし、ごはんだってお腹一杯食べられる。みゆさんたち人間も優しくしてくれる。
お家猫サイコー!
あ、黒猫のお姉さんに挨拶しなくちゃ。
「くろこさん、今日からよろしくお願いします。」
黒猫のお姉さんは、あたしのにおいをちょっとかいで知らんぷりしてどこか行っちゃった。
でも、あたし知ってるの。
黒猫のお姉さんは本当は優しい猫だって事。
今日から始まるお家猫としての生活にワクワクしながら、お腹一杯になって知らない間に寝ちゃってたよ。
4年たったあたしは立派な大人の猫になったの。やせっぽちだったのに、わがままボディってやつになっていて、みんなむにむに触るの。失礼よね。
今じゃ触らせたり、抱っこもさせてあげるけど、お膝には乗らないもんね。
看板猫にだってならないもんね。お家大好きだし面倒だから、お外行きたくないもん。
へっへっへー、残念でしたぁ。もう作戦なんて実行しなくていいんだもんね。
黒猫のお姉さんとはケンカもするけど、そこそこ仲良くやってるよ。
あたし思うの。
くろちゃんさんは、普段ツンツンしてるけど絶対あたしの事大好きだよ!
だって、あたしもくろちゃんさんの事大好きだもの。
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