【ラストワード2026】最後に書くものは何だろう
目の前で値引シールが貼られたお寿司を家族分の4パックも買う事ができて、私はホクホクしながらスーパーを後にした。
今日は新人の子のミスをカバーしてとても疲れた一日だったけれど、こうして仕事帰りにいい事もあるものだ。お寿司があるので、あとは味噌汁と冷凍しておいた春巻きを揚げるだけで夕飯は完成だと思うと少し気が楽になる。
郵便受けを覗くと、何通かの郵便物の中に私宛の物があった。差出人は日本文書協会だけど、それが一体何なのか私にはさっぱり見当がつかない。今すぐ開けてみたいものの、まずは夕飯の支度が最優先だ。郵便物を手に暗い家の中に入った。
春巻きを揚げ、味噌汁の鍋に味噌を溶いた時、ちょうど子供達がお腹を空かせて帰ってきた。子供達と私の三人で先に夕飯を食べる事にした。夫は今日も残業だろうか。もしかしたら夕飯を食べないかもしれないと思いながら、夫の分の春巻きにラップを掛けた。
家事を済ませ、お風呂に入り一息つく。ソファに沈み込んで缶ビールを開けた。プシュッといい音がしたそれを私はグイグイと飲んだ。それから日本文書協会の封書を開けてみた。
それには、私は明日までしか言葉を書く事ができないと書かれていた。
一人の人間が書く事のできる文章の総量が決まっているらしく、私の書く事のできる量がもう上限に達したというのだ。あまりの事に思考がついていかないけれど、いつの間にかそういう法案が決まっていたらしかった。そういえば、少し前にとある芸能人のスキャンダルがしつこく取り上げられていたっけ。そういう時は裏で何かがこっそり決まったりするものだと聞いた事がある。
そんな事は到底納得できるものではない。けれど、決まってしまったものは仕方がないのか。
書く事はできなくなっても、書かれた物を読む事はできるし、言葉を話したり聞いたりする事はできる。ただ書く事だけができなくなるという。
私は書く事が好きで、今までも色々な物を書いてきた。今は趣味で小説やエッセイをネットで公開している。上手いか下手かは自分では分からないものの、日頃自分を後回しに生きている私にとって、それが私が私である事を感じられる時間なのだ。
書く事がもうすぐできなくなってしまう。それまでの時間、私は何を書こう。まずは思いつく創作をしようか。自分史を書いてみるのもいいかもしれない。友人達にも最後に一言だけ手紙を書こう。そして、ずっと胸にいるあの人に想いを綴った手紙も書きたい。
けれど、それでは文字数が足りないかもしれない。
最後に私には絶対に書きたいと思っている物があるからだ。これから先の私の人生を考えた時に必要な物。今まで何回もそれを書こう、書きたいと願っていた物だ。もう書く事ができなくなるのなら、これからの人生を後悔しなくて済むようにそれを書く事を決心した。
キッチンに行き、ラップを掛けた皿の中の春巻きをつまみながら、私は明日の昼休みに市役所へ行こうと強く思った。
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ヱリさんの企画【ラストワード2026】に参加します💛
もしそれが、自分の人生で「書く」ことのできる最後の機会だったら。
そして、使える文字数に上限があったら。
あなたは何を書きたいですか?
創作? 手紙? 記録?
文字は一部だけ使う?
それとも上限まで使い切る?
いつも通りの何かを綴りたくなる?
それとも、隠し続けてきた何かを綴りたくなる?
ここまでの集大成みたいなものを全力で描きたくなる?
それとも、今この瞬間をさりげなく描きたくなる?
最後の文字を書き切っても、世界から言葉が消えるわけではありません。
言葉を交わし合うことは出来るし、書き切ったあとも、あなたは健やかに生き続けます。
でも「あなたが書いたもの」として残るのは、その文字が最後。
この企画は、そんな「もしもの世界」を楽しむゴッコ遊びです。
実際、最後に書きたいものって何だろう・・・
なんて事をお題を見て考えていました。
このお話の主人公はアレみたいですが、実際自分だったらどうなのかなあ。
ヱリさん、楽しい企画をして下さってありがとうございます♪
奇しくも私、今日が誕生日なんです。
そんな日に1日限りの企画に参加できるなんて、なんだかプレゼントをもらった気分です😊
幾つになったか?
それは、永遠の43歳ですわww
※前は永遠の27歳でしたが、それではさすがに図々しいのでですねー😂
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪
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