【シロクマ文芸部】文庫本♡ロマンス
文庫本を探しに本屋さんに来てみた。通学時間にはいつもスマホをいじっているけど、たまには文庫本でも読んでみようと思ったのだ。書棚には様々な作家の本が並んでいる。読書は好きな方だけど、小説を読むのは久しぶりで何を選べばいいのかさっぱり分からないでいた。
「三田さん?」
突然名前を呼ばれて振り返ると、そこにいたのは同じクラスの佐倉くんだった。暑くもないのに、私の上半身がカッと熱を持ったのを感じた。
「佐倉くん。え?どうして、こんなとこに?」
「何か面白い本がないかと思って探しに来たんだよ」
思いがけない人と出会ってしまい、私は焦って挙動不審になってしまう。佐倉くんは勉強もスポーツもよくできる女子の憧れの人なのだ。もちろん私もその中の一人だ。こんなまたとないチャンスを逃したら後悔するだけだと思い、思い切って話しかけた。
「私、電車の中で小説を読みたいんだけど、何を読めばいいか分からないの。何かおすすめある?」
佐倉くんはにっこり笑うと、私に好みをあれこれ聞くと一冊の本を選んでくれた。
「これ、読書に慣れてない人にも読みやすいから。あ、本が読みたいなら俺のおすすめを明日持ってくるよ」
「ありがとう。荷物になるのにいいの?明日楽しみにしてるね」
「俺、ちょっと用があるからこれで。じゃあ明日ね」
佐倉くんは本を買いに来ただろうに何も本を買わずに本屋さんを出て行った。佐倉くんの後ろ姿を夕陽が照らしていて、カッコいい人は後ろ姿もカッコいいなあと姿が見えなくなるまで見送った。
佐倉くんが選んでくれた本は面白くて、電車で読もうと思っていたのに寝る時間を削って読んでしまった。睡眠不足で眠い目をこすりながら教室に入ると、佐倉くんはもう来ていて友達と談笑していた。私に気づいた佐倉くんは紙袋を持ってこちらに来た。
「三田さん、おはよう。なんか、すごい眠そうだね」
「おはよう。昨日選んでもらった本を読み出したら止まらなくて、夜中遅くまで読んじゃった」
「そっか、あれ面白いよね。俺も同じ事したわ。あ、これ」
手渡された紙袋には文庫本が十冊も入っている。
「こんなに貸してくれるの?私、いつ返せるか分からないよ」
「ああ、気にしないでいいよ。どれにするか選んでいたら絞れなくてさ。だから期限は考えなくていいから」
佐倉くんは友達の所に戻って行ったけど、他の女子が遠巻きにこっちを見ている。抜け駆けだとか言われるだろうか。なんか言われたら嫌だなと思いながらも、佐倉くんに少し近づけたような気がして自然と顔がニヤニヤしてしまう。
佐倉くんが貸してくれた本のジャンルは様々だった。そのどれも面白くて、通学時間や家での自由時間があっという間に過ぎていく。学校では佐倉くんと自然と話すようになった。話す事は本の事が中心だけど、他にも色々話をした。佐倉くんはたくさんの事を知っていて話の引き出しが多く、私は話す度に新しい事を知っていった。
二週間ほど経って私は本を読み終わり、佐倉くんに本を返す時が来た。
「佐倉くん、本ありがとう!私、本を読むのがすごく楽しくなっちゃった。今度、一緒に本屋さんに行ってくれない?」
「いいよ。土曜日、部活休みだから行こう。その後、映画でも見ようか。今見たいのがあるんだよね」
え、これってデート?
私と佐倉くんが?
やだ、どうしよう
私は佐倉くんに憧れていたけど、距離が縮まった今ははっきり好きって言える。成績のいい佐倉くんが受験する大学に私も行けるように勉強だって頑張ろうと決めた。とりあえず、土曜日はうんとおしゃれして行こう。そして、佐倉くんに好きって言ってみようかな。
「いずみちゃん。俺と付き合って下さい」
え?
い、いずみちゃん?
つ・き・あ・っ・て??
ん?
これって一体!?
口をパクパクさせてうなずく事しかできない私の顔はきっと金魚のように赤くなっている事だろう。
📕 📖 📗 📖 📘
シロクマ文芸部に参加します💛
今週のお題は「文庫本」です。
久しぶりにベタでハッピーエンドのお話を書きました。
書きながら、どこか痒くなってきましたww
でも、こういうお話は書くのも楽しいし、なにより精神的に楽です。
ちゃっとちゃんに見出し画像を作ってもらったんですが、私の理想通りのシチュエーションです💕
私の高校時代なんて、こんなトキメク事なんて何も無かったので、せめて見出し画像だけでも、ですね( ̄▽ ̄)
ある意味、見出し画像も今回のお話も、私が高校時代に体験したかった事なのです・・・w
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪
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