【管理人の本棚】#01 わたしにとっての原点——本を読むきっかけ|『未来いそっぷ』
誰にでも、初めてがあるように、私にもありました。
高校に行くか迷っていた頃、
何も考えず、ただ悪い方に流されていた時期、まだ、自分のことを、「俺」と言ってました。
そのとき出会ったのが、『未来いそっぷ』 星新一(著)です。
あぁ、俺、キリギリスかもしれない。
そう思い。本を手にしました。
えっと、表紙がキリギリスでした。あれ、バッタやったかな?で、読んでみて。
とにかく短い。
でも、ちゃんと終わる。
一話読むたびに、少しだけ世界の見え方が変わりました。
ほんの少しだけ、前を向けた気がします。
そして本を閉じたあと、担任に言いました。
「先生、俺、高校生になりたい」
自分でも驚きました。
ショートショートって、ここまで人を動かすんだと。
――あれから、三十五年。
そして今、あらためて思います。
本って、むずかしいと思っていました。
えらい学者先生や、小難しい大人が読むものだと。
でも、これは読めた。
『未来いそっぷ』は、そんな思い込みを、あっさり壊してくれます。
とにかく短い。
でも、ちゃんと終わる。
そして最後に、少しだけ裏切られる。
その繰り返しの中で、ふと、思いました。
「俺も、何かできるかもしれない」
――あのとき、背中を押してくれた最初の一冊でした。
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