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「明日からまた仕事」を考えた瞬間、日曜日が終わる

日曜日って、不思議よね。

まだ休みなのに、夕方になると半分くらい月曜日に持っていかれる。朝はまだいい。少し遅く起きて、洗濯機を回して、コーヒーを飲む。昼過ぎまでは「今日何しようかな」なんて考えられる。スーパーへ行ってもいいし、映画を観てもいい。何もしないという贅沢だって選べる。

問題は、16時を過ぎたあたりから。

窓の外が少しずつオレンジ色になって、スマホを見ると17時12分。そこで突然、頭の中にあいつが現れる。

「明日、仕事か」

この一言で、日曜日は終わる。


まだ六時間くらい残っているのに

本当は23時に寝るとしても、あと六時間ある。映画なら一本観られるし、美味しいものだって食べられる。お風呂にもゆっくり入れるし、コンビニでアイスを買ってきてもいい。なのに心はもう月曜日にいる。

明日の9時の会議を思い出す。返していないメールを思い出す。金曜日の17時半に「これ、月曜で大丈夫です」と言われた資料を思い出す。

月曜で大丈夫です。

金曜日には、なんて優しい言葉だと思ったでしょう。

日曜日になると呪いなのよ。

夕飯を作りながら「あの数字、確認しなきゃ」と思う。テレビを見ながら「明日あの人に連絡しないと」と思う。お風呂に入りながら、頼んでもいないのに上司の顔まで浮かんでくる。まだ会社に一秒もいないのに、脳だけ先に出勤している。

しかも無給で。

せめて脳内出勤にも残業代がついてほしいわね。

日曜日を食べるのは、月曜日そのものじゃない

昔の私は、これを単純に「仕事が嫌いだから」だと思っていた。でも少し違うのかもしれない。嫌なのは仕事そのものより、自由な時間から、誰かに決められた時間へ戻る感覚なのよ。

休日なら、10時にコーヒーを飲んでもいいし、13時にお昼を食べてもいい。眠くなったら昼寝をしてもいいし、予定をキャンセルしたって基本的には誰にも怒られない。でも月曜日になれば、何時に起きる、何時の電車に乗る、何時から会議、何時までに資料を出す。誰かから来た連絡に返事をして、頼まれた仕事を順番に片づける。

時間の主語が「私」から「会社」に変わる。

だから日曜日の夕方になると、まだ何も奪われていないのに、明日奪われる自由を先回りして惜しくなる。夕焼けがきれいなほど、少し寂しくなるのもそのせいかもしれない。

学生の頃、夏休み最後の日に感じた気持ちとよく似ている。まだ数時間残っているのに、「終わる」という事実ばかり考えてしまう。楽しい時間ほど、人間は終わりが見えた瞬間から悲しみ始めるのよ。

そして突然、休日の反省会が始まる

さらに厄介なのが、17時を過ぎたあたりから「この土日、何してたんだろう」という反省まで始まること。

昼まで寝てしまった。結局どこにも出かけなかった。Netflixを何話も見た。掃除しようと思っていたのにできなかった。SNSを見ていたら、友達は箱根へ行っていた。別の友達はおしゃれなカフェでランチしている。私はパジャマのまま冷凍うどんを食べた。

せっかくの休日だったのに。

そう思った瞬間、休んだはずなのに損をしたような気分になる。

でも、休日まで成果を求めなくていいのよ。平日は会社で「今日は何をした?」と問われて、休日まで自分に「今日は何をした?」と聞いていたら、人生ずっと勤務中でしょう。

昼まで寝たなら、それだけ眠かった。何もしたくなかったなら、それだけ何もしない時間が必要だった。パジャマで冷凍うどんを食べただけの日曜日だって、別に人生の失敗ではない。

誰にも見せられない休日が、一番ちゃんと休めていることだってある。

本当に疲れるのは、仕事より「また始まる」なのかもしれない

月曜日が怖いのは、明日一日だけ働くからではない。月、火、水、木、金と続いていることを知っているからなのよ。

月曜日の朝を想像した瞬間、その後ろに火曜日も水曜日も見えてしまう。まだ日曜の夜なのに、金曜日までの五日間をまとめて背負おうとする。そりゃ重いわよ。

でも実際に生きるのは、一日ずつしかできない。

月曜日になったら月曜日をやればいい。火曜日の仕事は火曜日の自分がやる。水曜日の面倒な会議まで、日曜日のあなたが先に参加する必要はない。

未来の自分を信用するって、案外大事なのよ。

月曜日は、月曜日に考えればいい

もちろん、日曜日の夜になれば多少の準備は必要でしょう。目覚ましをセットして、服を用意して、必要なら明日の予定を確認する。でも、それが終わったら月曜日の扉は閉めてしまえばいい。

明日の会議は、明日の私が行く。あのメールも、明日の私が返す。苦手な人との打ち合わせだって、明日の私がなんとかする。

日曜日の私まで残業しなくていい。

17時に「明日からまた仕事」と思った瞬間、休日が終わったような気持ちになる。でも時計を見れば、まだ何時間も残っている。好きなものを食べてもいい。長いお風呂に入ってもいい。何もせずベッドでゴロゴロしてもいい。

月曜日は、頼まなくても必ずやって来る。

だったら、わざわざ日曜日の夕方から迎えに行かなくていいのよ。

日曜日はまだ終わっていない。

残った数時間くらい、明日の会社ではなく、今日のあなたのために使ってしまいなさい。

――ミネルバ順子🔮


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ミネルバ順子 毒を投げ捨てた場所に、最後まで付き合ってくれて感謝します。ここは綺麗事ばかりの現実を嘲笑う悪魔たちの晩餐会。チップという名の「悪魔の契約」を結んでくれたら、上質な赤ワインで祝杯を挙げます。今夜くらいは、自分を愛してね。