【短歌連作】偽卵
どでかい愛 ポムポムプリンめちゃくちゃに撫でてるだけの休日である
炊飯器抱きしめてたら夜が明けて多分偽卵はこんな感じだ
救済が欲しいだけだよ ミンティアでオーバードーズ入門をする
赤ちゃんを生まない代わりに風を生む 仕事帰りに立ち漕ぎしてる
方舟の形に桃を切り分けてひとりじめってこんなにすてき
ミッキーを着ぐるみと言う人が嫌い わたしばっかり幼いみたい
もう誰もプリキュアなんて語らない遊びの時間 酒ばっかりの
幸せな日々だと思い込んでいて過不足がない、という不足
大好きの違いって何?男より普通に犬の方が好きだし
じゃがりこのじゃがバターってただのバターじゃん あ ごめんね どうでもいいね
2になるとつまらん映画 母親の「人生2」としてわたしがあった
もし二重(ふたえ)だったら魔法少女にもなれただろうか 終電に乗る
きらきらのドレスで死ねて超良いな 来世は魔法少女になろう
カッコウの托卵 誰が産んでくれなんて言ったか知らない癖に
どこからが海 どこからが母 波は少女のように砂城を壊す
幼さが許されている歳を過ぎ義務を恐れるだけの肉塊
卵なら壊れていいから好きだった わたし命を抱くのがこわい
母親に許されるから母親を許すに変わる土曜日の昼
逃げるなら何処へ ひとりで生きてゆくためにヒールが脱げないように
倒れ込む場所にポムポムプリンだけ座ってるから怖くなかった
壊されるための羽根だね 皿の上以外に何処も行けない餃子
朝食の子持ちししゃもの腹を割き生まれて来ずに済んだ安寧
からかいの拍手のように雷が 頭痛 眠りは死亡の予行
街中が性善説のように晴れ子どもが折ったままのリコリス
古書店の聖書に預けられている諦められた誰かの祈り
東京は光を孕み真夜中になるまで生まれ続ける電車
ポムポムプリン、来世知らないままでいて この世で初の永遠になれ
なだれ込む光の可視化 ビー玉をクッキー缶に詰めては零す
いつまでもファミリーマートをサンクスと呼んでるだけのタイムスリップ
誕生と死を繰り返すにせものの宇宙で満ちたプラネタリウム
