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福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)に行ってみた

いきなり、何よそれ?という声が聞こえてきそうですが、FH2Rという施設の見学に行ってきました。
(アフリエイト記事じゃありません・・・念のため。)

かつての原発予定地にはいま何が?

FH2Rは「Fukushima Hydrogen Energy Research Field」の略、日本語にすると「福島水素エネルギー研究フィールド」。福島県南相馬市と浪江町の境界付近にある。
この場所は、かつて東北電力が計画していた「浪江・小高原子力発電所」の予定地だった。福島第一原発(福島県双葉町、大熊町)、福島第二原発(福島県富岡町、楢葉町)に続けと、福島県で三番目に計画されたのが、この浪江小高原発。
福島第一原発、福島第二原発ができたことは、大きな産業のなかったこの地域に多くの雇用とお金をもたらした。
両原発の北側にあった浪江町と旧・小高町(現在の南相馬市小高区)は、隣町が裕福になっていくのを見て、このブームに乗り遅れまいと原発を誘致した。その頃になると、原発は多くの雇用とお金をもたらす一方で、次第にその安全性についての疑問も噴出しつつある時代になり、反対運動がおこった。そのため、この原発は計画はされたものの、事業者と反対派、そして両町の町民、政治、経済を巻き込んで膠着し、長らく竣工することがなかった。
そして、2011年3月。東日本大震災の発生により、福島第一原発では地震と津波による重大事故が発生、福島第二原発も大きなダメージを受け、ともに廃炉が決定。2013年3月、東北電力は浪江・小高原発の計画の取りやめを発表した。

浪江・小高原発の位置(出典:東京新聞記事)

私はこの地域で広報の仕事をしていたことがあり、震災前にこの場所を訪れたこともあった。前述のとおり、長きの間、膠着状態が続き、地元でも「あそこ(浪江・小高原発)は、もうできねぇんだろ?」と言う人もいた。電力会社の準備事務所もあり、私も挨拶でそこを訪問したこともあったが、原発建設について水を向けるとはぐらかされ、どこか諦めムードが漂っていた。

あの場所は今・・・

あの場所は、今どうなっているのだろうか。
震災後、津波によりこの地域にも多くの被害が発生し、原発事故の影響で立ち入りができなくなり、そのうえでの津波による行方不明者の捜索もあり、しばらく入ることはできないと思っていた。
あれから15年近く経ち、調べてみると、原発予定地だったその場所は、「福島水素エネルギー研究フィールド」という施設になっていた。年に数回見学受け入れをしているようで、今回、その場所を訪れた。

いまは、産業団地になっているようだ

水素ガスをつくり、貯め、運ぶ

水素エネルギーの研究施設であることはわかっていたが、細かいところは調べずに行った。ガチの文系なので予習してもわからないというのと、それを知りに行くのが今回の目的なので、問題ないだろう。もともと原発の計画地だったので、水素発電もしているのかな?なんて勝手な思い込みで出かけた。
施設は浪江町の棚塩産業団地の一角にあり、東京ドーム27個分の面積があるという。

右の白い建屋が水素製造施設

時間になると、見学者らしき人たちが集まってきた。
見学者は全員で4名。一人はスタッフから先生と呼ばれていたので、この分野の専門家だろうか。あとは、仕事に関係して見学に来た人がいて、もう一人と私は単純に興味があって来たらしかった。一方、案内等をしてくれるスタッフは4名。スタッフには役割があるので一対一というわけではないが、マンツーマン対応と言っていい感じだ。
まずは、スクリーンのある部屋でプロジェクターによる施設全体の概要説明受ける。そのあと、パネルや模型のある部屋で、施設のなかのそれぞれの機能や役割について説明してくれた。

それによると、この施設では水(H2O)を分解することによって、水素(H)と酸素(O)を発生させ、水素ガスを取り出す。その際には大量の電力が必要になるので、太陽光発電によりその電力を賄う。電力が不足する場合は通常の電力により補完するが、天気がよければそのエネルギーは太陽光だけで賄えて、余った分は売電して収入を得る。
できた水素はタンクに貯蔵して、タンクからトレーラーに水素を充填して、水素ガスとして水素が必要な施設(例えば、水素自動車の燃料を補填する水素ガスステーションなど)に供給する、ということらしい。
つまり、ここのメインとなる機能は、水素ガスの製造工場ということだ。

この一連の流れがFH2Rでしていること
(同施設のパンフレットより)

水素発電をしているわけではない

ただ、あくまでも水素ガスの製造工場であって、その水素を使って発電をしているわけではないらしい。
パネルには「水素発電」の説明があったので、スタッフの方に水素発電所というのはあるのか、またないのならば実用化はいつごろになるのか質問してみた。
その回答によると、水素発電所というのは技術的には可能だが、コスト面からまだ実用化されていないとのことで、実用化まで何年かかるかはコストがペイできるようになったら、ということで、今のところ実用化のめどは立っていないようだった。

あくまでも期待されている、という段階で
水素発電は実用化されていない
(同施設のパンフレットより)

ということで、ここではあくまでも水素を作るところまで、その用途は今のところ水素自動車、町内にある道の駅なみえでの水素燃料電池利用の実証実験が中心ということだった。
今後の実用化に向けて研究・実験段階で、水素を日本国内で作るか、海外で作ったものを輸入するかもコスト次第で未定、水素ガスの液体化による運搬効率向上なども研究しているが、それも液体化にかかるコスト面での課題が大きいという。
また、常時ここで働いている人は10人前後で、説明会があるときは川崎市のNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の本部から出張で来ているとのこと。
あくまでも実用化前の実証実験施設であり、なかなか地域に大規模な雇用をもたらすものにはなっていないようだった。

将来に期待・・・ノーベル賞を思い出す

水素発電が実現すれば、今ここで行っている実証実験も、低コスト化等に寄与し、役に立つ日が来るのかもしれない。
ただ、スタッフの方に質問したときの反応としては、とにかくコスト面の課題が多く、水素発電が実現するには、まだまだ時間がかかるのではないかという印象。

先日、ノーベル賞受賞者の方が会見で言っていたとおり、今の段階での成果とか費用対効果で判断してしまうと、無駄遣いと言われてしまうが、それが将来的に活かされるようになったとき、あの技術やノウハウって大切だったよね、なければ実現できなかったよね、ということになるのだろう。

それまでには、我慢しなければならない時期もあるのかな?いや諦めた方がいいというときもあるのかな?
また、いつ実現するかわからない水素発電と実用化され事故後でも国や保守系野党、事業者が安定電源として手放さない原子力発電の関係はどうなるの?…と、自分でも答えは出ない感じでした。

東京五輪のトーチもあった

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