二度、安定を手放した女㊸|長谷川潔との再会
お盆期間は東京に行った
友人と一緒に行動する予定だったが
やむを得ない事情により
2日目の昼間は
突然私の単独行動となった
調べてみたところ
長谷川潔の展覧会が開催されているとのこと
迷わないように電車で汐留まで移動
まだ結婚していたころ
元夫と一緒に
とあるギャラリーの社長さんに大変お世話になった
当時まだ20代の私たちに分割払いで作品を譲ってくださった
その作品の中には長谷川潔の版画も数点あった
残念ながら離婚の際に
すべて手放してしまった
うれしいことに
当時所有していた作品すべてに再会できた
版画は
湿度が高いと紙が波立ってしまうので
保管が非常に難しい
100円ショップでお菓子の乾燥剤を買い込み
作品の黄袋と保管用段ボールの間に入れていた
時々
保管方法で夫婦喧嘩したこともある
金銭的にも精神的にも
所有するのには早すぎたのかもしれないと
今は思う
当時は保管するだけで精一杯で
ゆっくりと鑑賞する心の余裕がなかった
今回の展覧会で
かつて持っていた作品に込められた
長谷川潔の哲学を知ることができた
あのときに
知っていたらと思った
美術館を出る前に
今回の展覧会の図録を買った
昔なら
作品について詳しく書かれた
作品集も購入していたと思う
今回は
展覧会の図録だけにした
美術館をあとにして
新橋駅でたらこパスタを食べた
たらこパスタを一口食べた瞬間
忘れていた記憶が帰ってきた
好きな芸術作品には
心の奥にしまったものまで
連れてきてしまう力があるらしい
