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おすすめ本(13)『それいけ! 平安部』

 もともと、平安時代が大好きな私。

 きのころさんのこの記事で、

宮島未奈『それいけ! 平安部』(小学館)

という本の存在を知り、「うおおおお、読みたーい」となったのでありました。

 物語は、高校に入ったばかりの牧原栞が、入学式で初めて会った同じクラスの平尾安以加に「平安時代に興味ない?」と聞かれるところから始まります。

 平尾安以加は、この学校に「平安部」を作りたいという野望を持っています。平安時代に興味がないのにも関わらず、安以加の情熱に引きずられる形で、

「平安部、入ってもいいよ」

と、返事をする栞。

 二人はその後、部員が五人集まらないと、「部」にならないということを教頭先生から聞きます。四人以下なら「同好会」だそうです。

 ここまで読んだ私は、小学校1、2年の時に友達と「ウルトラ怪獣同好会」を作っていたことを思い出しました。二人しかいなかったから、「同好会」だったのだと、納得です。

 同好会っていうのは、予算はつかないし、部室も持てないし、かなり「部」より不利なようです。なんとかして五人集めたいと、二人は、部員の勧誘を始めます。

 この部員の勧誘のくだりは、すごくわくわくしました

 私は、小説や映画で、「だんだん仲間が増えていく過程」が描かれていくのが好きみたいです。

 例えば、黒澤明の『七人の侍』なんかも、後半のド迫力の合戦シーンよりも、前半の「侍を七人集める」部分の方が好きだったりします。バラバラの個性の人々が一人、二人と増えていき、なんとなく、まとまりができるところがいいですね。

 この本の中で、どんなふうに二人が部員を勧誘していき、集まった部員がどんな個性を持った人々だったかは、読んでのお楽しみです。 

 が、勧誘の過程で、安以加が放ったこの名言だけは、ここで紹介しておきたいです。

 「だいたい、あなた、平安時代にどれくらい詳しいの?」
と、スクールカーストが高そうな上級生に詰められた安以加。相手の顔を毅然と見上げて答えます。

「詳しさだけで愛は測れません」

『それいけ! 平安部』26ページ

 うわあ、かっこええ。この文章を読んだ瞬間、私の心の中で、「今年出会った名言No. 1」が決定しました。

 苦労の末、五人集まり、「平安部」の活動が始まります。週一回のゆるい活動で、最初は、手探りの見切り発車なのですが、この「ゆるい部活動」ってのが、昭和の時代に学生時代を過ごした私にとっては、新鮮で良かったです。

 昭和の時代は、とにかく、部活動というのは、

「根性根性、ど根性」

の世界でした。鉄拳制裁も辞さない顧問や監督。上下関係が厳しく、お辞儀の角度までうるさく言う先輩、なんて話がごろごろその辺に転がっていました。特に運動系はうるさく、炎天下でも「水飲むな」だの「兎跳び」だの、現在では、「体に悪い」とされていることが、横行していましたねー。

 でも、この本を読んで思いました。

「楽しくなければ、部活じゃない!」

 五人の平安部員が、それぞれの得意分野を活かしながら、部に貢献していく様子は、「顧問や先輩に絶対服従!」「部の伝統を重んじよ!」みたいな昭和の部活動では、なかったであろう、新鮮な輝きで満ち満ちていました。

 すごく楽しい本です。読んで良かったです。平安部に入りたいです。っていうか、入ります

 この本を読んで、私の「平安魂」に火がつきました。若い頃に読んでいた平安文学をこれからもう一度読み直して、平安時代の知識を増やしていきたいです。京都にも行きたい。

 さて、私がお世話になっている「彩ふ読書会」で、このような企画があります。

 私は、ベスト本三冊をほぼ、決めていて、あとは、投稿するだけになっていました。

 しかーし。

 12月になって、こんな素晴らしい本に出会えたので、ベスト本の選考を、もう一度、やり直しています。『それいけ! 平安部』を入れると、考えていた三冊のうち一冊を外さなければならないのですよねー。

 うーん。迷うなあ。でも、こうやって迷うのも楽しいです。嬉しい悲鳴とは、こういうことを言うのでしょう。

いみじ!

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