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『踏切オーディション』409字|毎週ショートショートnote

「はい。踏切オーディション脱落~!遅刻確定」
けらけらと笑う声が、電車の音にかき消される。

踏切の向こう側の高校生男子が笑う。
「ちくしょー」こちら側の男子高校生は、スクールバックをかけなおすと、くるっと向きを変えて、だいぶ距離のある陸橋をめざして、ダッシュをはじめた。ここは有名な開かずの踏切だ。
「秒で行くから、まってろ」と軽やかに陸橋を駆け上がる。

おっさんは、ただただまぶしく、その光景を見る。
毎朝、こんな風景が繰り広げられてるのかもしれない。
こんなどうしようもないことで笑いあえるのか。おっと、…失礼。

おっさんは、オーディションすら受けていない。駅近の踏切は渡れないのを知っている。だから、高架をくぐる地下道で、もうあちら側についてるのだよ。つまらないなあ。はなから不戦敗。

閉じた踏切を前にして、「じゃあ別の道で行くか」と走り出せることのまぶしさよ、幸あれ。

さて、俺も今日の帰りくらいは陸橋にするかな。


今週も参加します!
いつもお題が面白過ぎる。だから、多種多様の世界が広がって、書いても楽しいけど、読むともっと楽しいです!そして、みなさん仕事がはやい。お題発表9時間でもうたくさん上がっている。

はまっています。

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