まつりのあと|まろやかホラー|シロクマ文芸部
夜店から
灯り消ゆく
人のなみ
はぐれないよう
つなぐ手の熱
*
祭りの後はどこかもの哀しい。
屋台の灯は しぼられ、火薬のにおいだけが残る。
沿道に放置されたかき氷のカップには鮮やかすぎるブルーの色水。
仮設のゴミ箱からはソースで汚れたプラスチックの容器があふれる。
人は消え、祭りの残骸だけがこぼれ落ちている。
非日常という異世界が終わった。
どこからともなく群れた人々が、幻のように早々に散っていった。
あれは、本当に人間だったのだろうか。
人の流れに逆らい、参道を連れられ歩く。
はぐれないでと母とつないだ手が、いまは
ひんやりと冷たい。
「さあ、かえりましょう」
「どこへ?」

#シロクマ文芸部 先週のお題に居残り中。
