諦めないと奇跡が起こる。たまに。

昔一度だけ、そんな場面に遭遇した。
DBD(Dead by Daylight)というゲームで。
確かあれは今は無きランプキン・レーンでのことだった……。


DBDは有名なゲームなので説明するまでもないのかもしれないけど、すごく簡単に言うと1対4のオンライン鬼ごっこゲーム。

サバイバーは鬼を倒すことはできない。4人で逃げ隠れしながら協力したり擦り付け合ったりしつつ発電機を5つ修理してゲートを通電させ、そのゲートを開けて出られたら勝ち。鬼に捕まり大きな肉フックに3回吊るされるとゲームオーバーで退場。
他にもいろいろと細かいところはあるけどざっくりとそんな感じ。


大会もいろいろあるし、プレイ動画や配信も数多くある。好きなYouTuberさんがやっていたのもあってたくさん観ているうちに、自分でもプレイしてみたくなった。

その頃自身のPCがなかった私はSwitchでソフトを購入。練習を始めた。
難しいとは知っていたけれど、やはり見るのとやるのでは雲泥の差。
まずそこそこ思ったように走ったりしゃがんだりできるようになるまでが長い。何度チュートリアルで練習を繰り返したことか。

でもちょっと走ったりできるようになってくると、やっぱり実際の試合をしてみたくなる……。

下手くそが混ざると迷惑がかかる。
罵倒されたりするかもしれない……。
と怯えつつ、実践に勝るものなし、と思い切ってゲームマッチングのボタンを押してしまった。

勝てた試合も勝てなかった試合もあった。
そこまで周りに迷惑は掛けなかったはず。はず……。

そんなにたくさんの試合をこなしたわけじゃないのにあまり覚えていないのだけど、1試合だけ、記憶に残っている試合がある。



発電機の修理は終わり、ゲートも解放済み。
そのゲートの横で私は選択を迫られていた。

ゲーム内には私ともう一人しか残されていない。
しかもそのもう一人というのが、ゲート近くのフックに吊るされていた。

鬼は近くには見えない。
しかし私は体が傷ついていた。鬼の攻撃も上手く避けられない力量なのに、一撃を食らえば倒れてしまう状態。

このまま見捨てて逃げるか。
逃げずにワンチャンにかけて挑むか。

考えて――

私は、走り出した。後者を選んだのだ。

決して善人だからじゃない。
好きなYouTuberさんが、どんなときでも(ほぼ)仲間を見捨てずに救助に向かって(大抵その後倒れて)いるのを見てきたから。
好きな人と同じ行動を採りたかっただけだ。
(余談だけど、大会などでは戦略的に見捨てたほうがいいときがよくある)

フックへ向かうと、近くで警戒していた鬼にすぐに見つかった。
私がフックから救助をするのが先か、私が攻撃されて倒れるのが先か。

決着はあっという間についた。

私は、転がされていた。
助けに向かったサバイバーの、その足元に。
即座に担がれる私。

だめだったか……。
しかし助けに向かったことに悔いはない。

そう思いながらも、手は「もがく」コマンドを押しつづけていた。
まだ、完全には諦めていなかった。
どんな状況でも決して諦めない。
あのYouTuberさんが教えてくれたことだから……!

鬼は私を運び続けている。
だが、まだ私を吊るせるフックが見つからない。
一番近いフックが、別のサバイバーを天に送ったためになくなっていたのだ。

これは、あるかもしれない!?

直後、鬼がうめき声をあげた。
もがきゲージが溜まり、鬼の背から脱出できたのだ。

私は即座に走った。
さっき助けられなかったサバイバーへ向かって。
鬼は、もがきゲージが溜まった反動で少しの間だけ動けずにいる。

今しかない!!!

サバイバーを、フックから、
抜いたーーー!!!

追いついてきて武器を振りかぶる鬼。
その攻撃を自ら受けてくれる救助後サバイバー(救助直後の我慢効果で倒れずに済む)。

走り出す私と君。
武器を拭うモーションで出遅れる鬼。

逃げる私と君。
慌てて追いかけてくる鬼。

ゲートをくぐる私と君。
その背に向かって渾身の攻撃を振り下ろす鬼――しかしその刃先は私たちにわずかに届かない。

そして、二人の姿はゲートの先、深い霧の中へ……。


すごく嬉しかった。興奮した。
脱出後に初めて知らない人からもらったお礼コメントも。
奇跡のような脱出劇を自分の手で成功させられたことも。

ゲームの話ではあるけど、諦めずに立ち向かい続けるとたまに奇跡は起きるんだなって。

考えてみれば私の好きなYouTuberさん、ほぼ100%最後まで諦めないのでちょいちょい奇跡を起こしているよなあって。
窓枠越えた直後に殴られて倒れた瞬間に通電してアドレナリンで立ち上がって逃げてキラーからハッカー扱いされてのとか最高だった(ルールとかあまりわからない人すみません)。

DBDは何度見てもそれが面白い。

プレイ技術ももちろんあるんだけど、サバイバー4人が何のキャラでどんなスキルを持ってくるか、鬼が何のキャラでどんなスキルを持ってくるか、どんな立ち回りをするか、それに試合会場がどこか。そういうのそれぞれに相性があって、毎回全然同じ試合にならない。

そして最後まで諦めなかった試合で「うおおおおすげえええええ!!!!(大興奮)」なことがたまに起こるのがたまらない。

バグとか改悪とかナーフとかいろいろ言われることもあるけど、10年続いてて何度やってもこれだけ面白いっていうのがほんとにすごい。

そういえば、もともとホラーは観られるけど、苦手だったグロ系を少し克服したのはこのゲームがあったからな気がする。

ぬるいと思われるかもしれないが、最初は肉フックに吊るされる様子も「うげー」と思って避けていた。
最近は当たり前に受け入れて何も心動かない。慣れってすごい。

というわけで、そういえばPC手に入れた後にPC用にもDBDを購入したんだったなあと思い出して、最近また練習を始めました。
キーボード操作はちょっとできる気がしないので、まずはコントローラーで。

しばらくプレイしない間に見た「チュートリアルのCPUとの練習をまずは600回こなせ」という言葉に従い、とりあえず1日5回くらいずつはなんとか練習しようと思っています。
今年中にPCでも実践に参加したい。

また、あんな奇跡と出会うんだ……!
たまには。

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