結婚式BGMは、“好きな曲”だけでは選ばなかった
結婚式の準備で、いちばん楽しかったのは曲選びだ。
でも、ただ「好きな曲」を詰め込むだけにはしたくなかった。
音楽が好きだからこそ、独りよがりな「わかる人だけわかる」空間にはしたくなかったのだ。
■世代を超えて「心地いい」と思えるものを
親戚もいれば、友人もいる。
だから、どの世代にも親しまれる空気感にしたかった。
選んだのは、John LennonやBeach Boysといった「誰が聴いても気持ちいい曲」
そこに、Rufus WainwrightによるBeatlesのカバーなどを織り交ぜた。
定番曲が持つ「これ知ってる」という安心感は、会場の緊張をそっと解いてくれる。
■「自分らしさ」と「客観性」のあいだで
当時、HMVの同僚たちはRadioheadを流したり、エッジの効いた選曲をしたりしていた。
それはそれで格好いいけれど、私は少し違った。
ちゃんと盛り上がるか。
マイナーすぎて置いてけぼりにならないか。
歌詞がネガティブすぎないか。
自分が好きかどうかより、「来てくれた人が心地よく過ごせるか」を、意外なほど冷静に考えていた。
■憧れの演出と、weezerの絆
本当は、映画『ラブ・アクチュアリー』のワンシーンみたいに、ゴスペルシンガーが「All You Need Is Love」を歌い出す演出に憧れていた。
地方では手配が難しくて諦めたけれど、せめて曲だけは流そうと決めた。
「誰の場面で、何を流すか」を考えるのも楽しかった。
夫の友人で、当日役目をお願いしていた人がたまたま私と同じweezer好きだったので、彼の出番にはweezerのハッピーな曲を合わせた。
そんな風に、一人ひとりの顔を思い浮かべながら選んでいった。
■好きな音楽が、ふと誰かに届く瞬間
シャンパンタワーで流したのは、James Ihaの「Beauty」
すると当日、カメラマンさんが実はSmashing Pumpkinsのファンだったらしく、
「James Iha好きなんですか!」
と思いがけず盛り上がった。
自分の選んだ「好き」が、誰かに届いた瞬間。
ああいう出来事は、なんだかとても嬉しい。
■CDとMDと、格闘した日々
今のようにSpotifyでプレイリストを共有できる時代じゃない。
持っているCDやレコードを片っ端から聴き直し、歌詞のトーンをひたすらチェックした。
「このCDの○曲目をお願いします」
会場スタッフに細かく指示を出すのは手間だったけれど、皆とても感じよく対応してくれた。
CDを何枚も抱えてバタバタしていたあの頃が、今は少し懐かしい。
■緩急をつけた、私たちらしいリスト
選曲の軸は「多幸感」と「定番」
盛り上がる場面は、SLY STONE。
「Stand!」や「Everyday People」が流れるだけで、場の空気がパッと明るくなる。
最後はJackson 5っぽい空気感でハッピーに締めくくる。
今見返しても、我ながらメリハリのある選曲だったと思う。
“どんな時間にしたいか”を考えること
「感動的に見せる」ことより、「自分たちが気持ちよく過ごせる空気」を作りたかった。
誰でも知っている曲の中に、少しだけ私たちらしいエッセンスを混ぜる。
今見返すと、その絶妙なバランスがいかにも自分らしい。
結婚式の曲選び。
それは「何を流すか」以上に、「どんな時間にしたいか」を自分たちに問い直す作業だったのかもしれない。
準備は式の一週間前までかかって、最後までバタバタだったけれど。
あの時選んだ曲たちは、今聴いてもやっぱり、大好きなものばかりだ。
*当時の結婚式で実際に流した曲を、Spotifyに少しだけまとめました
洋楽中心です。
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