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会議ではとっさに言葉が出ないのに、帰り道だけスラスラ出てくるのはなぜか |会議|言語化|説明力

会議が終わって、駅までの道を歩いているとき。

「あ、こう言えばよかった」が、急に出てくることはありませんか。
かつての僕は結構あったので、今日はその話しです。



一言も言えないまま、会議が終わった

1社目の設計部にいた頃の話です。

月曜の午後、定例会議。
長机の向こうに、他部署の人と協力会社の人が並んでいる。
議題は、部品の仕様変更をどう進めるか。

資料は前の晩に読み込んでいました。
自分なりに、こうした方がいいという考えもあった。

「で、設計としてはどうなの」

課長がこちらを見ました。
全員の視線が動くのがわかった。

「あ、はい……その、コストのところが、まだ……」

自分の声が、他人の声みたいに聞こえました。

言いたいことの半分も出ていない。

続きを探しているうちに、隣の人が「じゃあ一旦持ち帰りで」と言って、話は次の議題に進んでいきました。

そのあと会議が終わるまで、僕は一度も発言しませんでした。


なのに、帰り道だけはスラスラ出てくる

会社を出て、駅に向かって歩き出す。

外に出た瞬間、冬の冷たい空気が首筋に入ってきて、体がすっと軽くなるのがわかりました。

信号を待っているあたりで、それは来ます。

「あそこはコストの話じゃなくて、納期の話をすればよかったんだ」
「変更した場合のリスクを2つ挙げて、どっちを取るか聞けばよかった」
「そもそも、あの資料の3ページ目、誰も見てなかったよな」

順番に、きれいに出てくる。

さっきまで一文字も出てこなかったのに、です。

ダメな自分が心底イヤになります。
言えなかったこと以上に、言えるはずだったのに言えなかったという事実がなおさら悔しい。


足りなかったのは、言葉じゃなかった

ここで一つ、考えてみてほしいことがあります。

帰り道に言葉が出てきたということは、その材料は最初から頭の中にあったということです。

会議の30分後に、急に賢くなったわけではありません。
資料も読んでいたし、考えもあった。

つまりあの沈黙は、「考えていなかった」から起きたのではない。

では、何が足りなかったのか。

分析の仕事柄、間に合わないものを見ると「能力」より先に「工程」を疑う癖があります。

自分の詰まりも、同じ見方をしてみました。

僕の場合は、時間でした。
ただし「考える時間」ではありません。
頭の中にあるものを、相手に届く形に変える時間です。

何と何を比べているのか。
どちらを取るのか。
その理由は何か。

一人で紙に向かえば数分で終わるこの作業を、会議では、視線を浴びながら、数秒でやることを求められる。

間に合わないほうが自然だと思います。

そして帰り道は、この作業をやるのにちょうどいい条件が揃っています。

誰も見ていない。
時間制限もない。
間違えても、誰も困らない。

だから出てくる。

頭の出来の問題ではなく、順番の問題だった、という気がしています。

とはいえ、理由が分かっても会議は明日も来ます。
問題は、詰まったその瞬間に何を言うかでした。


でも、本当に厄介なのはここから

ここまで読んで、「じゃあ変換を速くすればいいのか」と思った方もいるかもしれません。

でも、たぶんそこではないんです。

会議の前に資料を読み込んで、考えも持っていっている。
それでも出てこないから困るんですよね。

ただ、あの場面でこういう言い方を、していないでしょうか。

「えーと、そうですね……」
「一概には言えないんですが……」
「ちょっと今すぐには判断が……」
「まあ、ケースバイケースかなと」

どれも、何かを言っているようで、ほとんど何も言っていません。

そして共通しているのは、「まだ整理できていません」とだけは言っていないことです。

なぜ言えないのか。

言った瞬間に、「準備してこなかった人」「その場で考えられない人」に見える気がするからだと思います。

だから、何かは言おうとする。

でも中身はまだ変換前なので、出てくるのはバラバラの断片になる。
そして「何が言いたいのかわからない人」という、いちばん避けたかった評価に近づいていく。

厄介なのは、この回り道が、恥をかきたくないという気持ちから始まっていることです。


「持ち帰る」を、正式な手順にする

では、どうするか。

僕がやったのは、変換を速くすることではありませんでした。
帰り道を、前倒しすることです。

具体的には、その場で答えられないときに言う言葉を、ひとつだけ決めておくことです。例えば

「今の時点だと〇〇の整理が不十分で、断定できておりません。整理して、今日中に送ります」

これだけです。

ポイントは2つあると思っています。

一つは、「わかりません」で終わらせないこと。

どこが整理できていないのかを、一箇所だけでいいので名指しする。

全部が形になっていなくても、引っかかっている場所を特定できていれば、少なくとも「何も考えていない人」にはなりません

もう一つは、期限を自分で切ることです。

「持ち帰ります」だけだと、ただの先送りに聞こえます。
「今日中に送ります」まで言うと、そこで初めて手順になります。

最初に使ったときのことは、今でも覚えています。

言った瞬間、課長は「わかった」とだけ言って、次の議題に移りました。
それだけで、拍子抜けするくらい何も起きませんでした。

僕が恐れていた「準備不足だと思われる」は、少なくともその場では起きませんでした。

ただ、これで通用しないこともあります。

判断を待てない案件でこれを言って、「じゃあ今決めて」と返されたことがありました。

結局そのときは、変換前の状態のまま話すしかありませんでした。

この言い方は場合によっては通用しないんだな、と思っていました。

でも今振り返ると、そうではなかったと思います。

もちろん、全部を事前に間に合わせるのは無理です。
ただ、どれが今日決まる議題かくらいは、目次を見れば分かりました。

その場で結論が必要な議題は、そもそも会議までに間に合わせておくべきものです。

正直に「整理できていません」と報告して「わかった」で済むのは、納期にまだ余裕があるものだけです。

それを持ち帰ろうとしたのは、手法が通用しなかったのではなく、その議題が今日決めるべきものだと、自分が把握できていなかったというだけの話でした。

つまりこの言い方には、条件がひとつ付きます。

どれが今日決めなければいけない議題なのかを、自分でも分かっていること。

そしてその見極めは、会議中にやるものではありません。
会議に入る前に、済ませておくものです。

といっても、特別なことはしていません。
会議の前に議題だけ見て、「これは今日決まらないと困るやつだな」というのが1つか2つ分かれば十分でした。


その場で言えなくても、負けではない

今でも、打ち合わせで詰まることはあります。
完全になくなったわけではありません。

変わったのは、詰まったあとの自分の扱い方でした。

以前は、帰り道に言葉が出てくるたびに、自分を責めていました。
「なんであの場で言えなかったんだ」と。

今は、少し違う見方をしています。

帰り道に出てくるということは、素材はあった、ということです。

足りなかったのは頭の出来ではなく、変換にかける時間だった。

そう思えるようになってから、あの帰り道の時間が、少しだけ楽になりました。

もし次の会議で詰まったら、ひとつだけ試してみてください。

今日決めなくてもいい議題だと分かっているなら、無理に答えを出さず、「整理して、今日中に送ります」とだけ言ってみる。

それで足りるかどうかは、正直やってみないとわかりません。

でも少なくとも、帰り道の自分を責める回数は、減るかもしれません。


最後までお読みいただきありがとうございました!

頭の中にあるものを、ちゃんと届く形に。
言葉にできずに苦労してきた僕が、その手順をデータ分析者の視点で分解しています。

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それではまた次の記事で。


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