Step03 父にデザインの話を聞く
こんにちは!桃です。
絵を描くのが好きだけど、どんな職業が向いているのか分からないので兄に相談したところ、デザイナーという仕事があることが分かりました。
って、私のお父さんはまさに広告会社でデザインに触れているわけで、しかも昔はデザイナーだったというじゃないですか。
こんなに身近にお手本になる人がいたのに私ってば何で気づかなかったんだろう。そもそもお父さん、仕事の話しなさすぎ(人のせいにする)。
それで、日曜日に聞いてみたんです。
「ねえ、お父さんって広告会社でどんな仕事してるの?」
「ん?珍しいな。お前から仕事の話を聞くやて」
「ちょっとね、デザインの仕事ってどんなものか興味あって」
「おう、お父さんも会社に入った頃はデザイナーやった。今はプランナーやけどな」
「なんでデザインやめたの?能力に限界を感じたとか?」
「失礼なことを言うな。お父さんの会社は社員10人ほどの小さな広告会社なんや。何年か前に会社の中で1人だけおったプランナーがやめて、その時いたデザイナーの中で一番企画力が優れていたお父さんに白羽の矢が立ったというわけや。けど、仕事ができすぎてプランナー専任になってしもうた」
「プランナーって広告の企画をする人?デザインはもうしないの?」
「まあな、お父さんはデザインも好きやけどどんな広告を作るか企画するのも好きなんや」
「元デザイナーとして教えてよ。デザイナーってポスターとか看板とかパンフレットのデザインを作るんでしょ?」
するとお父さん、ソファーに座り直して急に人に説教するような姿勢になったじゃないですか。変なスイッチが入っちゃったか。
「デザインの前に広告とは何かということを考えたほうがええな。広告って何のためにあると思う?」
「(めんどくさいな)物を売るためのものでしょう?」
「そや。絵とか写真とか文章とか、時には音楽も使って『こんなステキな商品がありますよ』とたくさんの人に伝えるためのものや。だから、その広告を出して商品がよく売れたらその広告は『良い広告』ということになる」
「わかる」
「けどお前の兄さんが芸大で描いている油絵は自己表現や。技術的に上手か下手かということはあるけど、良い悪いはない。芸術やからな」
「デザインは芸術じゃないってこと?」
「自己表現とは違うな。お父さんたち広告会社はお客さんから頼まれて、商品を売るためにアイデアを絞って広告を作ってる。つまり、商品を売りたいというお客さんの課題を解決してるわけや。これをソリューションという」
「先生、もうちょっと具体的に説明してください」
「じゃあ、お客さんは回転ずしの会社としようか。来店客を増やすためにキャンペーンを打つとしよう。まずは大きな方向性をプランナーが考える。週末は家族でおすしに行こうとか、何かの記念日におすしを食べようとか、これをコンセプトという。それでOKが出たら、実際にコンセプトに沿ったキャッチフレーズや宣伝文句をコピーライターに書いてもらう。同じようにコンセプトに合うポスターやチラシのビジュアルをデザイナーに考えてもらう、そういう流れになるな」
「デザイナーがデザインする前にプランナーが大筋を考えているんだ」
「とりあえず、デザインの仕事はお客さんから依頼されてするということ、それと決してデザイナー1人でやっているわけではないということ。今の話はこれだけわかってくれたらええ」
「面白いな。いろんな専門の人が集まって仕事をするの」
「そう、チームワークが広告制作の楽しいところや。制作側で参加する面々をつなぐものがコンセプトやな」
チーム、それいいな。絵が好きな人間って何でも1人でやるのが好きなタイプが多くて、私もその1人なんだけど、実はチームには憧れがあるんです。
魔法使いと勇者と僧侶が一緒に旅するみたいな。ちょっと違うか。でもそんな仕事っていいなと、そのとき私の頭の中にイメージが浮かんだんです。
「でもお父さん、どうして今までそんな話をしてくれなかったの?」
「お前ら、仕事の話なんか興味ないやろう」
「そんなことないよ。ていうかもっと聞きたい、デザインの話」
「分かった。そしたらこれからもっと話しするわ」
面白くなってきた!
