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中国製機器の知られざる危険-あなたのルーターが攻撃の一部になる?

近年、家庭や企業で普及が進む中国製のIT機器。
手頃な価格や性能の高さから人気を集める一方で、サイバーセキュリティ上のリスクが各国で問題視されています。

今回は、ルーター・オフィスソフト・監視カメラを中心に、中国製機器をめぐる国際的な動きと日本の現状を整理します。


1. ルーターを悪用した大規模サイバー攻撃

2023年5月、米セキュリティ企業がTP-Link製ルーターに埋め込まれた不正なファームウェアを発見しました。
調査によると、この攻撃の背後には中国の国家支援型ハッカー集団「Storm-0940(ストーム0940)」が存在し、およそ1万6,000台以上のIoT機器が感染・支配されていたといいます。

攻撃者は家庭用ルーターを経由して通信を行うことで、正規のトラフィックに見せかけ、企業や政府機関への攻撃を巧妙に隠ぺいしていたと報告されています。

日本市場では、TP-Link製ルーターのシェアは約29%。Wi-Fi 6機種では48.9%、Wi-Fi 7機種では69.1%と、特定分野で過半数を占めるほど普及が進んでいます。


2. 米国「ルーター法案」で安全保障リスクを調査

アメリカでは2024年9月、「ルーター法案(Router Security Review Act)」が議会に提出され、上院で正式に受理されました。

この法案は、中国・北朝鮮・ロシア・イランなどの影響下で製造された通信機器が国家安全保障に与えるリスクを調査し、議会に報告することを義務付ける内容です。

米政府はすでにファーウェイ(Huawei)やZTEなどの通信機器の使用を制限しており、今後は家庭向けルーターなど、より身近な機器への規制が強まる可能性もあります。


3. 中国製オフィスソフト「WPS Office」にも懸念

中国・キングソフト社が開発する「WPS Office」は、Microsoft Officeの約3分の1という低価格で販売され、日本国内でも一定のシェアを獲得しています。

しかし、同社代表が中国共産党員であることを公表しており、中国の国家情報法に基づき、政府の情報提供要請に応じる義務が課される点が問題視されています。

また、クラウド型の「WPS Cloud」では、文書やデータが中国本土のサーバー経由で管理される可能性が指摘されており、大学や企業などでの導入に慎重な判断が求められています。


4. 監視カメラ市場を席巻する中国メーカー

防犯・防災のために欠かせない監視カメラ市場でも、中国企業の存在感が際立ちます。
世界上位5社のうち4社が中国企業(ハイクビジョン、ダーファ、ユニビューなど)で、一部製品は日本企業ブランドのOEMとして流通しているため、実際のシェアは公式統計より高いとみられています。

日本国内のシェア上位はパナソニック、アクシス、三菱電機、キャノンが占めていますが、5位にはハイクビジョンが入り込んでおり、着実に存在感を高めています。


5. 各国で進む「中国製IT機器の排除」

中国製機器をめぐる安全保障リスクに対して、各国ではすでに明確な対応が取られています。

  • EU:2021年、議会施設からハイクビジョン製カメラを撤去

  • ドイツ:2024年、5G通信網からファーウェイ・ZTEを排除

  • イギリス:2025年4月までに重要施設から中国製監視機器を撤去予定

  • オランダ:2024年、中国製監視カメラ1280台を5年以内に段階的廃止

  • オーストラリア:2023年、政府関連施設から中国製カメラ撤去を決定

  • アメリカ:2022年、主要中国企業(ファーウェイ、ZTE、ハイクビジョンなど)の製品輸入・販売を禁止

  • 台湾:2021年末までに中国製IT機器の使用を全面禁止

一方、日本では国の中央省庁でのみ調達制限が行われており、地方自治体や民間企業への適用は任意となっています。


6. 私たちの身近なリスクと対策

中国製機器の問題は、国家レベルの安全保障だけでなく、一般家庭にも直接関係する話です。
家庭用ルーターや安価なクラウドソフトが、気づかないうちにサイバー攻撃の中継点になる可能性があります。

個人でできる対策

  • 使用中のルーターやカメラのメーカー・ファームウェアを確認

  • 不要なリモート接続やクラウド機能をオフにする

  • 安価な機器やソフト導入時は出所とリスクを調べる

  • OS・ソフトウェアを常に最新状態に保つ


結論:ITの「安さ」と「安全性」を見直す時期

価格や利便性だけで機器を選ぶ時代は、すでに過去のものになりつつあります。
通信・情報インフラが国の安全と直結する今、どの国の企業が製造したのかという点を意識することが、一人ひとりに求められています。

身近なルーターやソフトを見直すこと――それが、国家レベルのサイバー防衛につながる最初の一歩です。


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