人口1.7万人の町で年間20万人が読むローカルウェブメディアの「ロジカル編集術」
「田舎には情報がない」。
「ローカルメディアなんて続かない」。
そう言われ続けてきた佐賀県の中山間地域の小さな町で、私は2017年からウェブメディアという「地域の情報インフラ」を編んできました。
人口およそ17,500人の佐賀県 三養基郡 基山町(みやきぐん きやまちょう)を活動拠点にするウェブメディア『大字基山(おおあざきやま)』は、2017年9月に開設。
コロナ禍も更新を止めることなく、来年、10周年を迎えようとしています。
小さな町で、サイト開設10周年が見えてきた!
「ローカルウェブメディア」と聞いてワクワク情熱を燃やす方は、いるでしょうか。
歳を重ねた、インターネット事情に詳しかったりウェブサイト運営を少しでも齧った方なら、どう思われるでしょう?
懐かしいとさえ感じる方も、いるかもしれません。
「そういえば、流行ったね」と。
そう。
「まちおこし」の情熱を持ってサイトを立ち上げても、多くがマネタイズの壁にぶつかり、ネタが枯渇し、もしかしたら副業的だったサイト運営よりも本業が忙しくなり、心身ともに疲れ果て、最後は更新が止まって「インターネットのデブリ」となって消えていく。
実際、同時期に立ち上がったローカルを名乗るウェブメディアの多くが、開設から数年で更新が止まったり、今では「更地化」しています。
まさに今この時も、これからどうしていこうか悩んでいるメディア運営者も、多いことでしょう。
先にお伝えしておくと、私自身も、その一人といえます。
ウェブメディア『大字基山』について
『大字基山』は、当時の町の子育て世代を中心とした数名が「まちづくり団体」いわゆる任意団体として、町の補助金を受けて活動する「編集部」を結成して始まりました。
インターネットを使った情報発信は簡単そうに見えて、「この町をもっと盛り上げたい!」という情緒的な理由だけでは、潤沢な予算がない限り、10年続きません。
続くわけがありません。
私たちが追求したのは、ウェブメディアを「キラキラした発信源」ではなく、道路や水道と同じ身近な「暮らしのインフラ」へと昇華させること。
ローカルWEBメディアを『暮らしのインフラ』にする。
それは、単なるスローガンではなく、徹底して「誰の、どの不便を、どう解決するか」を逆算して組み立てる、一つの設計図(ロジック)に基づいた活動でした。
地方には、住民が日々の暮らしに必要とするだろう生活圏の情報が、インターネット検索しても満足に得られない事情があります。ローカルならではの情報量の少なさを良しとせず、自分たちの手で「情報の空白」を埋めようと試みたのです。
そして、しぶとく続けて、今に至ります。
サイト開設8年目・2025年の基山町人口に対する浸透率は、約95%を達成しました。
最新2025年の『大字基山』サイト実績は、年間PV数35万、アクティブユーザー数20万以上。
1年間で、基山町の人口のおよそ20倍のアクセス数を記録しています。
現在は補助金・助成金0円、地域事業者を対象にした広告・スポンサー収入100%でサイト運営を継続中。
当初、有志によるまちづくり活動だったメディア運営は「持続可能なローカルウェブメディア」を目指す過程で、個人事業主を編集責任者とする地域のスモールビジネスになりつつあります。
現在の「編集部」には未経験から取材ライティングを始めた複数名が所属し、メディア単体で「赤字」ではありません。
サイト10周年に向けてノウハウを公開します
これまで『大字基山』として試行錯誤し、山あり谷ありで積み上げてきた、運営戦略。
ローカルならではの対面取材の作法。
小さな経済圏を舞台にした、収益化を目指す泥臭い舞台裏。
どれもが、現在進行形です。
ですが、これまで培ってきたすべてを、このnoteでの連載を通じて「ロジカル編集術」として言語化し、公開します。
ニッチなローカルでの実例だからこそ、志を同じくするどなたかのお役に立てる内容になるのではと思っています。
今、「手の内」を明かす理由
言わずもがな、10年前と比べて、インターネットは完全に様変わりしました。
個人がインフルエンサーとして匿名実名問わず発言力が大きくなり、SNSでは真偽不明の情報が拡散、あるいは炎上する。
AIの進化で、映像が簡単に巧妙に加工されるだけでなく、ネット検索の環境も激変。
編集された検索結果を眺める日常が、当たり前になりつつあります。
だからこそ、少しでも多くの地域、特に人口減少と高齢化が進むような場所でこそ、「暮らしのインフラ」としてローカルメディアに生き抜いてほしい。
「インターネット上に地域の一次情報をストックしなければ、地域の"存在"がなくなる」
そういう未来を私自身、危惧するようになってきているからです。
基山町は2024年まで、消滅可能性自治体と言われていました。
このnoteをきっかけに、どこかの田舎町で誰かが立ち上げるローカルメディアの試行錯誤の10年が、5年に・3年に、短くなってくれればいい。
その身近に、一人でも協力者・理解者がいてくれたら嬉しい。
そして次の10年後、「杞憂だったね」と笑っていたい、本当にそう思っています。
このnoteが届ける内容
このnote連載(となる予定の投稿群)は、ノウハウやロジックの提案だけではありません。
小さな町のウェブメディア運営術
1人編集長の限界と、組織化のリアル
地域の読者、関係者との付き合い方
地域ライターの素質や心構え
スモールビジネス、マネタイズ
地域の信頼を裏切らない編集術
広告を「ニュース」に変える企画力
炎上、トラブルあれこれ
本当にあった「怖い話」
などなど。
失敗談、反省もたくさんあります。
地域の「情報の空白」を未来への課題と考える、すべての関係者へ。
私たちの約10年分の試行錯誤を、これからのあなたの武器にしてください。
そして一緒に、全国各地の「空白」を埋めていきませんか。
ぜひ、執筆を応援する、スキやフォローをお願いします。
Xアカウントでは、ほぼ毎日呟いています。
いいなと思ったら応援しよう!
皆様からのやさしいチップは、note更新のモチベーションになるとともに、編集部の活動費や取材費として使われます。応援よろしくお願いいたします!