ゲージツ家クマさんこと篠原勝之さん
ゲージツ家、クマさんこと、篠原勝之さんが亡くなられた。
唐十郎の劇場ポスターや舞台美術、そして後年は、「鉄のゲージツ家」として、ダイナミックに鉄骨を溶接した巨大なオブジェ作品を発表し、国内外で評価された。
1980年代~90年代、篠原さん(クマさんと呼ばせていただこう)はテレビ番組での露出が増えた。
正直なところ、クマさんのゲージツ作品がテレビで紹介されることは、はっきり申し上げて残念ながら、ほとんど無かった。
ボクににとっても、クマさんの印象は、「ゲージツ家」というより、テレビのコメンテーターとしての面白いおじさん!であった。
日本のテレビメディアにおける、芸術家、アーティストの扱いは、本当にヒドイよね。
特に、メディアに露出して、その個人のキャラクターやトークが注目されると、その人の「作品」が顧みられることはほとんどない。
・・・まぁ、その問題は置いておいて、そんな「この人、何がすごいの」かわかりにくいテレビの中で・・・
たった一つのエピソードだが、「この人スゴイ」とクマさんをボクが非常に尊敬しているエピソードがあるので、それを紹介したい。
阿川佐和子さんのハイヒールでウイスキーを飲む

テレビ朝日の「ビートたけしのTVタックル」番組内での話である。
ボクはかなり初期に、この番組は毎回見ていたが、調べてみると阿川佐和子さんがレギュラー出演するようになったのは1998年以降らしいので、それ以降のことなのだと思われる。
クマさんこと、篠原勝之さんがゲストで呼ばれていた。
どういう経緯でこの話になったのか、全く記憶に無いのだが、
阿川佐和子さん:
「そうそう、そういえば、先日クマさんと飲みに行ったんですよ!
それで、話していたら、突然クマさんが、わたしの履いていたハイヒールを脱がして、そこにウイスキーを注いで飲んじゃったんですよー笑!
びっくりしちゃった!」
(阿川佐和子さんは笑っていた)
クマさん:
「あ、そうそう、あれね、美味しかったよ!」
(クマさんは、大したことじゃない、という顔ですまし顔だった)
周囲の北野たけしさんや大竹まことさんは、
「えー!?ハイヒールで飲んじゃったの!?」
と、そこそこ大騒ぎになったが、
クマさん:「そうそう、こうやってウイスキーをキューっと!」
と、その時の状況を手でまねて、笑っていた。
ちなみに、補足しておくと、ボクにとって、阿川佐和子さん、檀ふみさんは、日本人女性のなかで、ボクの中で理想の女性像と言っても過言ではないほど、崇拝している。
いや、これは恋ではない。
お二人の、知的で、決して強く主張するわけではないが、確固とした自己を持っていらっしゃって、「しなやかな知性」と「揺るぎない自己」を、日常の振る舞いやユーモアの中に溶け込ませている姿は、ボクにとって理想の女性像に映る。
まぁ、阿川佐和子さん、檀ふみさんの魅力については、また別の日にゆっくり書こう。
そんな、阿川佐和子さんのハイヒールにまつわるお話を聞いた瞬間、
ボクの心臓は、ドッキドキ、バックバク!!
であった。
そして、現在に至るまで、何かの機会につけ、ボクはこのエピソードを思い出すたびに、ドキドキバクバクだけではなく、いろいろなことを考えてしまう。
もちろん、クマさんのやった行為だけを考えると、セクハラととられかねない行為であり、履いてきた靴に、ウイスキーを入れるなんて、単純に考えれば、迷惑行為である。
もしも、ボクが同じ行為をしたら、「セクハラ」どころか、社会的制裁、更には犯罪行為として、逮捕されることになるかもしれない。
別の面から考えると、ボクは阿川佐和子さんのハイヒールでウイスキーを飲むことを、衛生面を考慮せず、理想的と考えてしまうくらいに、足フェティッシュでもある。
いつかボクも、誰かかわいい女の子が履いていたハイヒールを脱がせて、それでお酒を飲んでみたい!
いや、違うのだ!
だがしかし!
「性」を超えて、「規範」を超えて、人間は共振する
そんな「性的」な部分を超えて、このエピソードは、篠原勝之さん、阿川佐和子さんの人間的な魅力が詰まったエピソードであり、さらには、人間同士が、「規範」を超えて同調、共振する、心が震える「人間的」エピソードであると考える。
クマさんが、阿川佐和子さんのハイヒールでウイスキーを飲んだエピソードを、阿川佐和子さん本人から、笑いながら話をし始める。
その中に、クマさんと阿川さんの、ある意味「同意」というか、阿川さんの魅力をクマさんが受け入れ、それに対するクマさんの愛情表現が、ハイヒールでウイスキーを飲むという行為であり、そして、クマさんの魅力を阿川さんが受け入れ、クマさんの愛情表現を阿川さんが受領した、という関係性が成り立っているのだ。
(まぁ、何を申し上げても「ハイヒールでお酒を飲むなんて許しがたいセクハラ行為だ!」という人もいるのでしょうが・・・そんな奴は頓馬だ!と思って無視します)
まぁね、単純にクマさんの奇行とも言えるし、昭和、平成初期のテレビらしい、型破りなエピソードを懐古的に捉えているだけなのかもしれないけれど・・・。
しかし、ボクの言葉では、上手くは伝わらないかもしれないけれど、阿川佐和子さんのような魅力的な女性に、型破りな行為で挑発するクマさんも、それをある意味受け入れる阿川さんも、「カッコいい!」んじゃないかな。
憧れてしまいます。
それだけでも、クマさんは「大物」だと思います。
ホント、懐古的になるわけじゃないけれど、現代にそんな「大物ゲージツ家」は生まれるのでしょうか?
そんなエピソード残してくれたクマさんに感謝を捧げつつ、ご冥福をお祈り申し上げます。
篠原勝之さん、ありがとうございます。
