見出し画像

健診結果の読み方 完全ガイド|内科医・企業医が、あなたの一枚を一緒に読みます

診察室のドアが開き、一人の患者さんが健康診断の結果を手に入ってきます。
少し折れ曲がった白い紙を差し出しながら、どこか困ったように笑って言います。
「会社から一応行けって言われまして。」
私は結果用紙を開きます。
赤い文字で並ぶ「要再検査」「要精密検査」。
血圧、血糖値、コレステロール、肝機能……。
けれど、患者さんは変わらず元気そうです。
顔色もいい。
会話も弾む。
「でも、本当に何ともないんですよ。」
そう言われるたびに、私はいつも思います。
だからこそ、健康診断は必要なのだ、と。
病気は、ある日突然始まるわけではありません。
静かに、音もなく。
本人が気づかないまま、少しずつ体の中で進んでいきます。
健康診断は、その小さな体の声を教えてくれる数少ない機会です。
私はこれまで内科医として、多くの患者さんの健康診断後の診療に携わってきました。
また企業医として、企業で働く方々の健診結果を一枚一枚確認し、再検査が必要な方と面談を重ねてきました。
その中で、忘れられない人たちがいます。
「忙しくて行けませんでした。」
「去年も同じだったので、大丈夫だと思っていました。」
「症状がなかったので。」
その何気ない一言の数か月後、あるいは数年後に、大きな病気が見つかった方も少なくありません。
一方で、あの時きちんと再検査を受けたことで、病気を早期に見つけ、今も元気に暮らしている方もたくさんいます。
その違いは、決して運ではありませんでした。
健康診断の結果を、「自分のこと」として受け止められたかどうか。
その小さな違いだけだったのです。
私は診察室で、数え切れないほどの健康診断結果を見てきました。
一枚の紙の向こうには、仕事に追われる毎日があり、家族を支える責任があり、「まだ大丈夫」と自分に言い聞かせる人生があります。
だから私は、この本で数字だけを説明したいのではありません。
その数字の向こう側にある、あなたの毎日を一緒に見つめたいのです。
もし今、机の引き出しのどこかに、見ないふりをしている健康診断の結果が眠っているなら、この本はきっと、そんなあなたのためにあります。


この本の使い方

全部を順番に読む必要はありません。
お手元に結果票を出して、気になった項目の章だけを開いてください。巻末に「自分の結果を読む手順」を置きました。どこから手をつけていいか分からないときは、そこから戻ってきていただければと思います。
第1章は、どの数字を見るときにも共通する土台の話です。ここだけは先に読んでいただけると、あとの章がずいぶん読みやすくなります。


第1章 まず、全体の見方


なお、この記事をご購入いただいた方は、内容を講義形式にまとめた動画講座(全8回・約28分)もご覧いただけます。

ここから先は

12,943字 / 2画像

¥ 800

Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

よろしければ応援お願いします!いただいたチップはクリエイターとしての活動に役立てていきます!