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【番外編】彼はモテる人だった。私は自分を信じられなかった。

後書きを読んでくださり、ありがとうございます。

「彼とのリアルなエピソード」で、

彼がモテることについて、少し触れました。


でも、実は。


もっと、詳しく書きたいことがありました。


自己肯定感が低かった私。


モテる彼を好きになった私。

その時の、不安。

嫉妬。

苦しみ。

同じように悩んでいる人に、

届けたくて。


番外編として、書きました。


もしよければ、読んでみてください。




彼のモテエピソード


付き合い始めて、すぐに気づきました。


彼は、モテる人なんだ、と。



①デパートで


ある休日。

彼と一緒に、デパートで買い物をしていた。


新しい服を見ていた時。

すれ違った女性二人が、

小声で話しているのが聞こえてきた。


「ねえ、今の人見た?」


最初は、誰のことかわからなかった。


「見た見た」

「めっちゃタイプなんだけど」


あ。

彼のことだ。


「声かけようかな」


え?


「やめなよ、彼女いるっぽいじゃん」

「でも、彼女いて羨ましい」

「ていうか、あの人カッコよすぎない?」


女性たちの声が、遠ざかっていく。

彼は、全然気づいていなかった。


シャツを手に取って、

「これ、どう思う?」


そう聞いてきたので、

「あ、うん。似合うと思う」


私は、普通に答えることしかできなくて。


でも、心臓は、まだドキドキしていた。


その女性たちのほうを、

振り返って見ると、

二人とも、綺麗な人たちだった。


オシャレで。

明るくて。


友達と楽しそうに笑い合って。


「普通の女の子」って感じの人たち。


私とは、全然違う。

きっと、この人たちなら。


彼と手を繋いで歩けるんだろうな。

腕を組んで歩けるんだろうな。

キスもできるんだろうな。


「家くる?」って聞かれても、

笑顔で「うん」って言えるんだろうな。

デートも、もっと楽しいんだろうな。


私みたいに、

触れられることにビクビクしなくて済むんだろうな。


そう思ったら、

涙が出そうになった。


「ねえ、こっち見て」


彼の声を聞いても余計辛くて。


「どうしたの?顔色悪いよ」


彼が、心配そうに私の顔を覗き込んだ。


「ううん、ちょっと疲れちゃって」


嘘つき。


本当は、


「さっきの女性たち、見た?」

「私じゃなくて、あの人たちのほうがいいんじゃない?」

「私で、本当にいいの?」


そう聞きたかった。


答えを聞くのが、怖かった。


「ちょっと休憩する?カフェ行こうか」


彼は、優しく言ってくれて。


「うん」

そう答えて、歩き始めたけど、


頭の中では。


さっきの女性たちの言葉が、

何度も響いていた。


「めっちゃタイプなんだけど」

「カッコよすぎない?」


そうだよね。

彼は、カッコいい。

私も、そう思う。


だから、きっと。

私より、もっといい人が、たくさんいる。


触れられる人。

「普通の恋愛」ができる人。

彼を、もっと幸せにできる人。


そう思うと、

胸が締め付けられた。


カフェに着いて、席に座り

彼が注文を取りに行っている間、


私は、さっきの女性たちのことが

頭から離れなかった。


「大丈夫?」

戻ってきた彼が、また聞いてきました。


「大丈夫」

精一杯の笑顔で答えたけど、


でも、本当は。

全然、大丈夫じゃなかった。




②彼の元カノの話


彼と彼の友達と、三人でご飯に行ったときのことです。



彼の友達。

初めて会う人。

私は緊張していて、ほとんど喋れなかった。


「そういえば」


友達が、ふと言った。

「元カノの●●ちゃん、結婚したらしいぞ」


心臓が、止まった。

元カノ。


「へえ、そうなんだ」


彼は、普通に答えた。

何でもないような、そんな口調で。


私は、グラスを見つめることしかできなかった。


「おめでたいね」

彼が、そう言った。


本当に、何でもないような顔で。


「●●ちゃん、めっちゃ可愛かったよな」

友達が、笑いながら言った。


心臓が、嫌な音を立てた。

「まあね」

彼は、短く答えた。

「可愛かった」

過去形だけど。

それでも、認めたんだ。

元カノは、可愛い人だったんだ。

私とは、違う。

それから、話題は変わった。

でも、私はずっと。

その言葉が頭の中で回っていた。


「可愛かった」


どんな人だったんだろう。

明るい人だったのかな。

社交的な人だったのかな。

私とは、正反対の人だったのかな。


グラスを握る手が、震えた。

気づかれないように、膝の上に置いた。


彼と元カノ。

どんな風に付き合ってたんだろう。

キスも、ハグも、

それ以上のことも。

全部、してたんだろうか。

私には、まだできないこと。

でも、元カノには、できてたんだろう。



帰り道、車の中は静かだった。

いつもなら、何か話すのに。

今日は、何も言えなかった。

「今日、楽しかった?」

彼が、聞いてきた。

「うん」

短く答えた。

本当は、全然楽しくなかった。

家に着いた。

「ありがとう」

降りようとした時。


聞きたいことが、あった。

でも、聞いたら。

もっと傷つくかもしれない。

でも、聞かずにはいられなかった。


「ねえ」


振り返った。

「元カノさん、どんな人だったの?」

彼は、少し考えてから言った。

「明るくて、社交的な人だったよ」


心が、ズキッとした。

やっぱり。

私とは、正反対なんだ。

明るくて、社交的。

きっと、誰とでも仲良くできて。

笑顔が素敵で。

人を楽しませることができる人。

私には、ないもの。

全部、持ってる人。


「でも」


彼が、言いかけた。

でも?

「ううん、なんでもない」


彼は、そう言って黙った。

でも、何?

気になる。

すごく、気になる。

でも、聞けなかった。

きっと、聞いても。

私が傷つくことを言わないように、

優しく誤魔化されるだけだから。


「そうなんだ」


寂しそうに笑って、

車を降りた。


部屋に戻っても、眠れなかった。

元カノのことが、頭から離れない。

明るくて、社交的。

きっと、彼といる時。

たくさん笑わせてたんだろう。

私は、彼の前であまり笑えない。

緊張して。

怖くて。

いつも、強張った顔をしてる。

彼は、元カノと付き合ってた時。

もっと楽しかったんじゃないか。

もっと、笑ってたんじゃないか。

私といるより、ずっと。

それに、元カノとは。

きっと、普通に恋人らしいことができてたんだろう。

手を繋いで。

キスをして。

ハグをして。

もっと、それ以上のことも。

私には、まだできないこと。

全部、してたんだろう。

彼は、元カノと別れて。

今、私といる。

でも、本当は。

元カノのほうが良かったんじゃないか。

私なんかより、ずっと。

スマホを見ると、彼から連絡が来ていた。

「今日はありがとう。また会おうね」

いつも通りの、優しい言葉。

でも、今は。

それが、少し辛かった。

「うん、また」

短く返信した。

本当は、聞きたかった。

元カノと、どうして別れたの?

まだ、好きなの?

私と、どっちがいいの?

でも、聞けない。

答えが怖いから。

きっと、元カノのほうが。

彼に、合ってたんだろう。

私は、何もできない。

触れることも怖くて。

笑顔も見せられなくて。

そんな私と、これからもずっと。

一緒にいてくれるのかな。

いつか、後悔しないかな。

「やっぱり、元カノのほうが良かった」

そう思わないかな。

そんな不安が、ずっと消えなかった。


翌日、彼に会った。

いつも通り、優しく笑ってる彼。


でも、私の心は晴れなかった。

元カノのことが、ずっと頭にある。


そして、数日後。

あの夜が来た。

「家くる?」

彼に、そう聞かれた夜。

私は、何も答えられなかった。

震えが、止まらなかった。


「やっぱり、元カノとは違うんだ」


そう思った。

元カノは、きっと。

こんなふうに、怖がらなかった。

普通に、できたんだろう。

でも、私は。

できない。


「やっぱりね」


彼は、そう言って笑った。

優しく、笑った。


でも、その笑顔が。

すごく、寂しそうに見えた。

ああ。

私は、彼を失望させてしまったんだ。


私は、ダメなんだ。






今だから言えること


あの時の私は、

自分を全然信じられていませんでした。


「私なんかより、いい人がいる」


そう思っていました。


でも、彼は。

私を選んでくれました。

他の人じゃなくて。

私を。


あの時は、信じられなかったけど。

今は、わかります。


彼は、本当に私のことが好きだったんだ、と。


モテる人だったけど。

見ていたのは、私だけだった。


弟も、前に言っていました。


「女の人、めっちゃ振り返ってたぞ」

 「でも、姉ちゃんだけ見てたよ」


今なら、信じられます。


でも、あの時は。

信じられなかった。


自己肯定感が、低すぎて。


「私で、いいのかな」


そればかり、考えていました。


もし、あの頃の私に会えるなら。

伝えたいです。


「大丈夫だよ」

「彼は、あなただけを見てるよ」

「自分を、信じていいんだよ」


そう、伝えたい。


でも、あの頃の私には、

きっと信じられなかったと思います。


それくらい、

自己肯定感が低かったんです。


だから、今。

同じように悩んでいる人に、

伝えたいんです。


「あなたは、愛される価値がある」

そう、伝えたい。


たとえ、相手がモテる人でも。

選ばれたのは、あなた。

それを、信じていい。

私も、そう思えるまでに、

時間がかかりました。


だから、今。

彼と同じ家で、朝を迎えています。

触れられなかった私が。

今は、彼の隣で眠れています。

奇跡のような日々です。

でも、それは奇跡じゃなくて。

ゆっくりと、時間をかけて。

お互いを信じ続けた結果なんだと思います。


あなたの恋も、きっと。

そんなふうに、進んでいくはずです。


だから、大丈夫。

あなたも、きっと。

そう思える日が来ます。

この物語が、あなたの心に。

少しでも勇気を灯せたら。

それが、私の一番の願いです。

最後まで読んでくれて、本当にありがとうございました。


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