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手続き

巨大な宇宙船が市役所前に着陸した。
中から三つ目の宇宙人が現れ、
高らかに宣言した。

「本日より、この星は我々ガルバ星人が
 支配する!」

逃げ惑う市民をよそに、市役所から一人の職員が出てきた。


「地球征服の方ですね?」


「そうだ。直ちに代表者を呼べ」


「では、こちらの申請書にご記入ください」

職員は分厚い書類の束を差し出した。


「申請書?」


「まず侵略目的、滞在期間、支配予定人数をご記入ください。
宇宙船は建築物に該当しますので、
設置許可も必要です」


「我々は侵略者だぞ!」


「武器を使用される場合は、
 危険物取扱申請が必要になります」
宇宙人は苛立ちながらも書類を書き始めた。

3時間後。

「書いたぞ!」

「印鑑をお願いします」


「印鑑とは何だ?」

「お持ちでない? 
では印鑑登録からですね。身分証明書は?」


宇宙人は宇宙船へ戻り、星間航行許可証を持ってきた。


職員はそれをじっくり眺めた。


「こちら、ガルバ語ですね。
 日本語訳を添付してください」

「翻訳機では駄目なのか?」

「翻訳証明者の署名が必要です」

宇宙人の三つの目が怒りで真っ赤になった。


「もういい! 力ずくで支配する!」

「その場合、近隣住民への説明会を開いていただきます」


「説明会?」

「宇宙船の騒音について、すでに14件の
苦情が来ています。
それと、着陸時に市役所の花壇を壊されましたね。弁償をお願いします」


宇宙人は無言で宇宙船に戻った。


やがて船は空高く舞い上がり、
そのまま二度と現れなかった。


職員は書きかけの申請書を眺め、ため息をついた。

「まったく……最近の侵略者は、手続きの途中で諦めるんだから」

彼は書類に赤い判を押した。

『地球征服申請――書類不備につき却下』


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