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「またあの人がミスをした」で終わらせない ―医療安全に学ぶヒューマンエラー防止研修|スイスチーズモデル・SHELモデルで「仕組み」を作る社内研修資料(管理職研修・新人教育・全社研修に対応/PowerPoint・PDF配布)

導入:あなたの職場にも、こんな光景はありませんか

部下のミスが発覚したとき、多くの管理職はまず「誰がやったのか」を探し、その人に注意・指導を行い、「次は気をつけます」という言葉で対応を終わらせます。しかし翌月、あるいは翌年、まったく同じようなミスが、別の担当者によって再び起きる。そんな経験を、管理職や人事・総務・研修担当者であれば一度は味わったことがあるのではないでしょうか。

これは、その人の能力や意欲の問題ではありません。**ミスへの対応の方法そのものに、構造的な限界があるのです。**本記事では、医療の現場で長年培われてきた「人は誰でも間違える」という前提のもとに発展してきたヒューマンエラー対策の考え方を、業種を問わず使えるビジネスの言葉に翻案した社内研修資料をご紹介します。有料コーナーでは、この考え方をまとめたPowerPointスライド(10枚・所要時間20分)と、個人学習用のノート付きPDFを、そのままダウンロードしていただける形で提供しています。

こんな方・こんな場面での活用を想定しています

本資料は、次の3つの研修シーンで活用できるように設計しています。

  • 管理職向けのマネジメント研修:部下のミスに対して「誰が悪いか」ではなく「どの仕組みに穴があったか」を問う視点を身につけ、心理的安全性の高いチームづくりにつなげる研修として。

  • 新入職員向けの新人教育研修:「ミス=怒られるもの」ではなく「ミス=仕組み改善のきっかけ」という捉え方を、入社早期にインストールするための基礎教育として。

  • 社内全体でのヒューマンエラー防止研修:全社員が共通の「ミスを見る物差し」を持つことで、部門ごとにばらついていた対策の視点を統一するための研修として。

中小企業の管理職・総務・人事・研修担当者の方が、自己学習用に読み進めていただくことも、そのままチームへの回覧資料や社内研修の教材として使っていただくことも想定しています。

なぜ「気をつける」だけでは、ミスは減らないのか

多くの組織が無意識に陥っているのが、ミスが起きると個人を特定し、注意・指導を行い、「次は気をつける」で終わるという「個人責任モデル」です。このサイクルには、少なくとも3つの構造的な限界があります。1つ目は、意識に頼る対策は疲労や繁忙といった条件が揃えば簡単に崩れるため、同じミスが繰り返されることです。2つ目は、ミスを報告すると責められるという経験が積み重なることで、部下が小さな「ヒヤリ」を報告しなくなり、組織が重大事故の予兆を見逃してしまうことです。3つ目は、「誰が悪いか」に焦点が当たることで、手順の不備やツールの設計上のリスク、業務量の過多といった根本原因がずっと放置されてしまうことです。

イギリスの心理学者ジェームズ・リーズンは、1990年の著書『Human Error』(Cambridge University Press)の中で、「ヒューマンエラーは能力や意欲の低い人間だけが起こすものではなく、正常な人間がエラーを起こしやすい条件下に置かれたときに発生する」と述べています。また、1999年に米国医学研究所(IOM)が発表した報告書『To Err Is Human』は、医療事故の原因を個人の失敗ではなくシステムの問題として捉え直すべきだという主張を世界に広め、医療安全の考え方を根本から転換させました。この発想は、製造業・IT・事務・販売など、業種を問わずビジネスの現場にそのまま応用できます。

理論① スイスチーズモデル ―「1枚の層」に完璧を求めない

スイスチーズモデルは、ジェームズ・リーズンが1990年に提唱し、1997年の著書『Managing the Risks of Organizational Accidents』でさらに発展させた、組織事故を説明する代表的なモデルです。このモデルでは、担当者本人の確認・チェックリスト・上司の承認・組織のルール・経営や風土といった複数の防御層を、穴の空いたチーズのスライスに見立てます。どの層にも必ず弱点(穴)があり、通常はどこかの層でミスに気づくため事故には至りませんが、悪条件が重なり複数の穴が偶然一直線に並んだときに、脅威がすべての防御を突き抜けて事故が発生します。

このモデルが教える最も重要な教訓は、「1枚の層に完璧を求めない」ということです。担当者個人の注意力という1枚のチーズにすべてを託す仕組みは、その人が疲れた日や繁忙な月末に、一瞬で機能しなくなります。むしろ層を増やし、多重の防御を設計することが、組織としての本質的な対策になります。

例えば「月末の繁忙期に、宛先と金額を誤った請求書を取引先に送付してしまった」という事例を分解すると、繁忙期という環境が入力ミスを誘発した第1層、検知ロジックに漏れがあった第2層(自動チェック)、確認が形骸化しハンコを押すだけになっていた第3層(上司の承認)、思い込みで確認が省略された第4層(発送前確認)という、4つの層の穴が重なっていたことが見えてきます。「誰が送ったか」ではなく「どの層の穴が重なったか」を問うことで、初めて具体的な改善策が見えてきます。

理論② SHELモデル ―4つの視点でミスの要因を洗い出す

SHELモデルは、1972年にEdwardsが提唱し、Hawkinsが1975年および1987年の著書『Human Factors in Flight』(Gower Technical Press)で発展させた、ヒューマンファクター分析の枠組みです。航空業界での安全分析から生まれましたが、現在は医療・製造・サービス業など幅広い分野で活用されています。このモデルでは、エラーは中心の人(L:Liveware)と周囲の4要素との「かみ合わせのずれ」から生まれると考えます。S(Software)は手順書やマニュアルなど「やり方」を決める要素、H(Hardware)は機械やツールなど物理的・技術的な道具、E(Environment)は忙しさや時間的プレッシャーを含む職場の環境、もう一つのL(Liveware)は上司や同僚といった周囲の人を指します。

「別案件の見積書が、別の顧客のアドレスに誤送信されてしまった」という事例をSHELで分解すると、宛先確認の手順が明文化されていなかったS、メールソフトのオートコンプリート機能が似た宛先を自動補完してしまったH、月末の繁忙期で複数案件を同時並行処理していたE、上司に確認を頼みにくい雰囲気があったLという、4つの要因が同時に存在していたことがわかります。「不注意だった」で終わらせず、S・H・E・Lのどこにずれがあったかを具体的に洗い出すことが、再発防止の第一歩になります。

管理職が明日から使える5つの視点

理論を踏まえ、仕組みでミスを防ぐために管理職が使える5つの視点を整理します。第一は「人に依存→仕組みに依存」で、「気をつけてください」という指示だけに頼らず、重要な書類には必ず2名で確認するなど、個人の注意力に頼らない設計を考えることです。第二は「多重の防波堤」で、1枚の層に完璧を求めず、重要な業務ほど複数のチェックを重ねることです。第三は「フールプルーフ」で、必須項目を入力しないと送信できないフォームなど、間違えようとしても間違えられない仕組みをつくることです。第四は「フェイルセーフ」で、誤って削除しても一定期間は復元できる、送信後数分間は取消ができるといった、間違えても被害が広がらない仕組みをつくることです。第五は「管理職の視点転換(心理的安全性)」で、ミスが報告されたときに「誰が悪いか」ではなく「なぜ起きやすかったか」を最初に問う姿勢が、部下が安心してミスを報告できる文化を育て、重大事故の前に小さな問題を発見できるようにします。

研修資料の仕様と特徴

本資料は、所要時間およそ20分、全10枚のスライドで完結するように設計しています。形式はPowerPoint(.pptx)とノート付きPDFの2種類で、最大の特徴は、すべてのスライドのノート欄に、そのまま読み進めるだけで講義が成立する詳細な解説文(台本)が記載されている点です。そのため、研修の専門知識がなくても、以下の2つの形式で柔軟に使うことができます。

  • 個人研修・自己学習として:ノート部分が読める形式のPDFを配布し、受講者が各自のPCやタブレットでスライドとノートを読み進める形で学習します。忙しく集合研修の時間が取れない職場に適しています。

  • 集合研修として:PowerPointを用い、進行役がノート部分を読み上げながら進行します。途中には約4分間の個人ワーク(自分の職場のミス・ヒヤリハットをSHELモデルで分析するワークシート)も含まれており、参加型の学びを組み込むことができます。

具体的な導入イメージとしては、①管理職に事前にPDFを配布し、20〜30分の個人学習後に短いミーティングで気づきを共有するパターン、②新人研修の一コマとして「ヒューマンエラー編20分」を組み込み、講義後にワークと発表を行うパターン、③部署単位の勉強会として、担当者がノートを読みながらスライドを解説し、ワーク後にオンラインで感想を共有するパターンなど、職場の状況に合わせて選んでいただけます。

収録スライド一覧(全10枚)

  1. 表紙・研修のねらい(個人責任モデルからの視点転換)

  2. 問題提起:「気をつける」だけでは解決しない理由

  3. 基礎理論:ヒューマンエラーの定義とエラーの3分類(スリップ・ラプス・ミステイク)

  4. 理論①:スイスチーズモデル(防御層の構造)

  5. 事例:スイスチーズモデルで見る「誤請求書の発行」

  6. 理論②:SHELモデル(S・H・E・Lのかみ合わせ)

  7. 事例:SHELモデルで見る「見積書の誤送信」

  8. 個人ワーク:自分の職場のヒヤリハットをSHELモデルで分析する

  9. 対策の考え方:仕組みで防ぐ5つの視点(フールプルーフ・フェイルセーフ・心理的安全性など)

  10. まとめと明日からのアクションプラン

スライド2:気を付けるだけでは解決しない理由
スライド5:事例_誤請求書の発行

ここから先は有料エリアです

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。ここから先の有料エリアでは、上記でご紹介した研修資料の実データをダウンロードいただけます。

ダウンロードいただけるデータ

  • 研修用PowerPointスライド(.pptx/全10枚・各スライドにノート形式の解説文=台本付き)

  • 個人学習用ノート付きPDF(スライドと解説文が1枚ずつ対になった、そのまま印刷・配布できる形式)

ご購入前に必ずお読みください(ご利用条件)

本資料をより効果的に、かつ安心してご活用いただくために、以下の条件を必ずご確認ください。

  • 自社に合わせたカスタマイズを推奨します:本資料はあくまでひな形です。事例(誤請求書・誤送信など)や用語を、貴社の実際のマニュアル・業種・過去のヒヤリハットに合わせて書き換えていただくことで、受講者の納得感が大きく高まります。ぜひ自由にアレンジしてご活用ください。

  • 再販・他者への配布は禁止です:本資料そのもの、またはその大部分を用いた形での、有償・無償を問わない第三者への再販・譲渡・配布はお断りしております。ご購入いただいた企業・組織内でのご利用に限定してください。グループ会社や関連会社など、購入企業以外の組織で使用される場合は、それぞれの組織でご購入いただく形をお願いいたします。

  • インターネット上へのアップロードは禁止です:本資料の全部または一部を、自社HP・ブログ・SNS・社外向けオンライン研修プラットフォームなど、不特定多数がアクセスできる場所にアップロード・公開することは禁止です。社内イントラネットや社内グループウェアなど、社内の限定された範囲での共有は問題ありません。

  • 著作権について:本資料の著作権は作成者に帰属します。購入いただいた組織内での自己学習・チーム回覧・社内研修への利用と、業務上必要な範囲での改変は自由に行っていただけますが、上記の再販・アップロードに関する条件は必ず守っていただくようお願いいたします。

参考文献

本記事および資料の内容は、以下の文献に基づいています。

  • Reason, J. (1990) Human Error. Cambridge University Press.

  • Reason, J. (1997) Managing the Risks of Organizational Accidents. Ashgate Publishing.

  • Edwards, E. (1972) Man and machine: Systems for safety. Proceedings of British Airline Pilots Association Technical Symposium.

  • Hawkins, F. H. (1987) Human Factors in Flight. Gower Technical Press.

  • Institute of Medicine (1999) To Err Is Human: Building a Safer Health System. National Academy Press.

おわりに

「またミスをした」と個人を責めることは、短期的には問題を収束させたように見えます。しかし、それは問題を見えなくしただけで、根本的な原因は組織の中に残り続けます。医療の現場では、「人は誰でも間違える」という前提のもとで、ミスが起きにくい仕組みを設計し、ミスが起きても被害が広がらない仕組みを重ねることで、安全を守り続けてきました。この考え方は、業種を問わず、あらゆる職場に応用できます。本資料が、貴社のヒューマンエラー対策の第一歩となれば幸いです。


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