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【番外編】お家を買うまで(♯7)ー スカウター

1.戦闘力

 思ったほど、というよりは、単に不動産市場に疎かったということなのだろう、思い描いていた金額での購入は現実的ではない、それを思い知らされた。
 では、市場で戦えるだけの「戦闘力」が自分に備わっているか、それを知らなくては戦場も選べない……。金融機関がいくら融資してくれるのか知らなくては話にならない、というわけで、金融機関のホームページから住宅ローンの事前審査を申し込んだ。
 実は、数年前に一度、住宅ローンの相談で窓口を訪ねたことがあった。
 ただ、その当時は、家を買うのか、賃貸暮らしを続けるのか、両方の選択肢が同程度の重みを持っていたのだが、今は違う。
 「家を買うことで勝ち筋を見つけ」なくてはならない状況に追い込まれていた。
 「いくらまで借りられますか?」では、あまりにも漠然としすぎて、冷やかしと捉えられかねないため、まずは、手取り年収の5倍程度の金額で打診してみた。
 後日の返答はあっさりしたものだった。全ての金融機関から「融資可能」との回答だった。
 一方、手取り年収の5倍で購入できる物件は、かなり限られていた。融資OKとされた金額から3から5割は上乗せしなければ「ダメですよ」。不動産情報サイトはそう主張していた。
 とりあえず足がかりとなる金額は判明した。
 次は、融資金額の上限を確認することだ、上限をつかめれば、物件の検索に弾みがつくに違いない。あるいは、戦場に立つことすら拒絶される結果になるかもしれない。
 いずれにせよ、この先の立ち回りが見ててくるはずだ。

2.敵でもなく味方でもなく

 思い返せば、一連の流れで、直接人と会うのは初めてだった。
 源泉徴収票と健康保険証(医療機関では、マイナ保険証に切り替わっていたので、本来の用途では使えないが)を持って、事前のアポどおり金融機関の窓口を訪ねた。
 窓口では源泉徴収票を基に額面年収を、健康保険証にて勤続年数を担当者へ伝えた。
 「あなた、本当に返済できるの?」
 との問いへ回答できるよう、預金通帳などの保有資産を示すものも携えていったが、各金融機関の担当者とも、年収以外の項目は審査対象外とでもいうように、わたしの保有資産には無関心だった。
 予めネットで予習していたこともあり、金融機関によって、融資期間が異なることは想像していた。
 ある銀行では、65年から物件の築年数を引いた年数が返済の最長期間とされており、物件の築年数は不問とする金融機関もあった。
 完済年齢については、80歳未満と85歳未満とで綺麗に分かれた。
 話を聞いているうちに、どうやら、属性(職業)と年収、完済年齢、物件の築年数の4要素で融資金額や期間を決めるようで、その他は参考程度にしかならないようだった。
 もちろん、人によっては、保有資産が好条件を引き出す大きな要素となるだろうが、少なくとも、わたしに関しては違うようだった。
 都合、3つの金融機関の窓口を訪問した。
 おずおずと、事前審査で申し出た金額の5割増しを打診した。
 いずれの金融機関でも「大丈夫ですよ」。あっさりとした物言いに、却って拍子抜けした。
 しかしながら、5割増しでようやく「予選突破」のレベルだ。
 ダメもとで、倍額ラインに探りを入れてみる。
 「物件次第ですね」「返済はきつくなりますよ」
 ノーではないが、手放しで歓迎しているわけでもなさそうだった。
 淡々としたやり取りが続くなか、とある金融機関の担当者の言葉が引っかかった。
 「親御さんとの同居のためとのことですが、ローン返済もありますが、もしものために、医療費や介護費用も別途確保しておいた方がいいですよ」
 正論である。しかも、こちらを気遣ってくれる温かみも感じられた。
 が、わたしにとっては、「その親のせいで盤石なプランを破棄したのだ」と、担当者の心遣いを理解しつつ、理不尽な反発心も湧き上がった。
 今にして思えば、ベテラン融資審査員としてのありがたいお言葉にもかかわらずだ。
 何にせよ、条件はあれど「戦闘力」の倍増が可能だという事実は、選択肢の充実に直結するものだった。
 金融機関を後にして、再びネットの海に飛び込むことにした。

3.予選会場へ

 3つの金融機関の融資基準から算定すると、返済期間は15年から30年といった幅になりそうだった。
 次に、ネットにたくさん転がっている「住宅ローンシミュレーター」を使って、返済期間と借入金額、金利はとりあえず1.5%として何度か試算してみた。
 「築年数は30年まで」「金額は額面年収の5倍まで」
 収入と生活費から導き出したキャッシュフローを前提として、2つの条件を大きな柱に据えた。
 いずれの金融機関も「リフォーム費用は原則含められない」という事もあり、築年数30年超の「築古+リフォーム」パターンは一気に分が悪くなった。
 リフォームの内容と相場についてもネットで検索したが、3ケタ万円の半ばから、4ケタ万円の大台まで幅広く、発注の手間などを考えると、変数が多かった。
 そのため、徐々に「リフォーム済み物件」vs「リフォーム不要物件」の構図に収斂されていった。

 そうしたスタンスでネット検索に明け暮れる日々だったが、ある日、非常に興味深い物件情報にぶち当たった。
 まさかの「同じマンションの異なる2部屋」が、同時に市場へ姿を現したのだ。


▽番外編のまとめです。

▽これまでの投資歴のエッセイです。お読みいただければ幸いです。

▽2026年1月より。年1回の取崩しと月2回の定点観測の記録です。

▽AIと共同作業でポートフォリオを作成。月1回の定点観測を継続中。

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hi-g いただいたチップは、今後の執筆活動に充てたいと思います。ありがとうございました。