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soeji
③ナナホシテントウ_夜更かしカフェオレ
「いや、やっぱり歩けない!」
トトは防護服の中で、怒鳴った。
何度も繰り返されたやりとりに、普段は冷静なトトも感情的になっている。
「だ・か・ら…」わからず屋のぼうやに噛み砕いて聴かせるように、ゆっくりと発話しようと試みるがフードに取り付けられたインカムから、それに被せるように「あと、2ブロック」と乾いた音声が聞こえてくる。
「もういいよ!」トトはさっきよりも声を高めて怒鳴るが、その音波は密閉された防護服内でトトの鼓膜を大きく振動させるだけで、インカムの向こうには、振動の大きさは意味をなす情報としては届いていないようだ。
「あと、1.9ブロック」
トトは回収班として、問題の交差点に派遣されたのだが、交差点の3ブロック先で回収車が立ち往生してしまい、下車して交差点に向かおうとしている。
この後に及んで回収車は役に立たないことは分かっていたが、もう1ブロック程度までは進めると本部の連中は考えていたようで、自走式の回収機は用意されず、旧式の300kgもあるポータブル?回収機を交差点まで引きずることになってしまった。
「あと、1.8ブロック」
「もう限界なんですけど」
「あと、1.7ブロック」
「息が上がりっぱなしですが?」
「バイタルは安定している、あと1.6ブロック」
「足の感覚が麻痺してきた」
「大丈夫、感覚はこちらで制御している、あと1.5ブロック」
「なら感情も制御してよ」
「それはできない。あと1.4ブロック。1ブロックまで近づいたら、回収機の安全装置を解除しろ。解除キーを回収車から持って降りてたなら…」
「早く言えよ!」
