⑨ナナホシテントウ_南Yok
そして、ここ「高次元知覚研究所」は、その「ソレ」を人工的に制御しようと目論む機関である。彼らは、「ソレ」の原因となる未知の素粒子が、人間の脳に干渉し、認識や記憶を強制的に共有させる現象を研究している。
今まさに、被験体の一人であるトトが、その実験の渦中で精神の混濁に苦しんでいた。
怒りと安らぎ。任務と日常。憎しみと慈しみ。 相反する記憶と感情が、脳内で同時に再生され、互いを打ち消し合っていく。 頭が割れそうだ。夢なら早く覚めてくれ。
管制室でモニターを眺める研究員が、冷静に主任へ報告する。
「主任!被験体C(ユル)の精神抵抗が強すぎます。」
ユル、モミ、トト…。彼らは全員、別々のカプセルに浮かぶ被験体。 あの交差点は、「ソレ」の力を介して人工的に構築された精神世界。目的は、人間の「願望」や「欲望」が、どこまで現実を書き換えられるかを見極めるための実験なのである。
