忘れたくない過去がある
身体がベッドとくっついているような感覚。気づけば窓の外は暗くなっていた。ああ、今日も何もできなかった。それでもわたしは掃除もできてない部屋で、起きあがれずにいる。シンクに積まれた皿の匂いが鼻につく。それすら片付けられない自分が情けない。
そこに帰宅した夫が、今日もうんざりした顔をする。わかってる。疲れて帰ってきて、これを見て嫌な気持ちになるのも。でも、わたしだって好きでこうしてるわけじゃない。言い訳と苦しさを心の奥に閉じ込めて、今日もまたわたしは自分が嫌いになった。
今日もできなかった。明日もできないかもしれない。そう思うと、余計に身体が固まってしまいそうになる。あの頃は自分を責めることばかりしていた。何もできないわたしが悪い。迷惑ばかりかける存在。消えて許されるなら早く消えたかった。真っ暗で出口なんてどこにもなかった。そんな毎日がしばらく続いた。
あれから月日は流れて、わたしは少しずつ明かりを取り戻していき、あの時のことを笑い話にできるまでに復活した。今はもうシンクに皿が積まれたままになることもない。わたしは洗い物をしながら、noteの構想を考え、掃除機をかけながら、読んだ本のことを振り返ってる。毎日がとても充実している。毎日が楽しいって心から言えるのは生まれてはじめてのことかもしれない。
でも、時々不安になることがある。今が楽しすぎてあの時の苦しさや、つらさを忘れてしまうんじゃないかって。あの時に戻りたいとは思っていないし、戻りたくない。でも、わたしにとっては忘れたくない過去だ。
忘れたくない過去がある。
今が充実して楽しくて大切だからこそ、あの頃に戻りたくない気持ちも強くなっていく。もし忘れてしまったら、あの時に戻ってしまうんじゃないかって心のどこかで心配してる。きっと、戻りたくないという不安や恐怖から自分を守るために、予防線を張っているのかもしれない。
たとえつらかった過去でも、あのときの自分を忘れたくない。ちゃんとできなかった過去でも、そこにはわたしが生きのびた証があるから。そんな自分を置き去りにすることへの切なさもあるのかもしれない。あの苦しさを経験した過去があるから、楽しく暮らせてる今の毎日があるんだと思うから。だからわたしにとっては忘れたくない過去なんだと思う。
あなたにも忘れたくない過去はありますか?
わたしは今日も、その過去と一緒に生きています。
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過去の自分に手を伸ばすような気持ちで書きました。

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