花曼荼羅の森
まだパンデミック中で、ほぼ引きこもりだった夏の思い出の一枚。
近所に住む日本人のお友達に、
「久しぶりに会わない? 私の散歩コースの、こっちの森に来ない?」
そう誘われて、彼女の家のそばの隠れ家的トレイルへ、お互いの犬を連れて散歩に出かけたときに撮ったものです。
初めて訪れたその森は、住宅街の真ん中にひっそりと位置していて、森の入り口が見つけにくいこともあり、いつもそばを運転していても、その森の存在に気づいていませんでした。
一歩森へ足を踏み入れると、空が隠れてしまうほど背の高いダグラスファーが密集していて、樹々の間は苔やシダ類で覆い尽くされ、リスたちが忙しく走り回っています。
森の中を迷路のように張り巡らされたトレイルは、歩き慣れた友達のガイドなしでは、迷子確定。
鳥たちのさえずりをBGMに、久々のおしゃべりを楽しみながら、谷に向かって足をすすめていくと、トレイル沿いにちょろちょろ水が流れる小川が出てきました。
谷底にかかっている小さな橋を渡って、道なりに左に曲がった先に、突然私の目の前に現れたのは、花曼荼羅。
古びたマンホールの蓋の上に、色とりどりの花びらを使って作った曼荼羅。
それを目にした瞬間、表現しようのない衝撃が身体を駆け抜けました。
「え〜!何これ? すごーーい!」
私の歓声が、人の気配のない森に響きます。
気軽に散歩に出かけた森の奥で、思いがけず目にした花曼荼羅。
言葉にできない衝撃を受けた、忘れられない日になりました。
時が経った今だからこそ、あの日のことを、
「自分の中の深いところで眠っていた感性が、ゆっくりと目を覚ました日。」
と表現できる気がします。
この後、私は、この場所を「花曼荼羅の森」と勝手に呼んで、
歩くのが好きな近しい友達を連れて行くようになりました。
友達の「え〜!何これ? すごーーい!」
という感動の声を一緒に味わうのも、また別の楽しみです。
