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Interview vol.24今地春乃さん(神戸元町商店街連合会事務局/『まちラボ』)「わたしの軸は、“みんなで一つのものを作る”」

 第24回は、神戸元町商店街連合会事務局/まち活拠点『まちラボ』地域連携担当の今地春乃さんです。




大学時代に今地さんが立ち上げた、よさこいサークル

■高校時代に興味を持った商店街の活性化


―――今地さんは山口出身で、大学進学を機に神戸に来られたそうですね。
今地:高校時代、商店街に興味を持ち、商店街で何か賑わいを創生するようなことに携わりたいと思うようになり、大学では神戸学院大学現代社会学部で学ぶことにしました。でも入学したらボランティアや他にも興味を持てることがたくさんあったので、商店街のことは一旦忘れている状況だったんです。他にもよさこいのサークルを作ったり…。

―――よさこい、いいですね!以前から踊っていたのですか?
今地:よさこいを踊ったことのない人が集まった“なんちゃって”よさこいサークルでしたが、ダンス経験者がわたしだけだったので、まずはソーラン節からという感じで大学1〜2年時に活動していました。3年で映画づくりをし、4年になってようやく商店街での活動に戻ってきたんです。

―――なるほど。地元山口でも商店街は結構残っていたのですか?
今地:新幹線の徳山駅周辺に商店街(徳山銀座商店街)があり、横の筋に行くと、そこからも商店街が伸びているような感じで、元町商店街とは違って入り組んでいるんですよ。わたしが地元にいた頃は、結構寂れていたのが寂しいのと、その感じがいいなという両方の想いがあり、商店街そのものに興味を抱きはじめたのです。

また、高校で通っていた町にも商店街があったのですが、そこは「かつて商店街があってね」と言われないとわからないぐらい、今やただ普通の道になっている場所があり、商店街が再び盛り返すためにはどうすればいいだろうと考えるようになりました。当時習っていたダンス教室で、よくイベント出演もしていたので、ダンスイベントを自分で企画・出演するなど、イベントを使った商店街の活性化ができたらいいなという想いも芽生えていたんです。神戸で実際にやってみると、イベントで集客してもそれは一過性のものだし、準備から何から大変と感じているので、今はどうしたらいいのか模索しているところです。


黒板にタイトル『1A戦隊ヤッカゼー』が!

■みんなで作り上げる映画が美しい思い出に


―――今地さんと言えば、元町映画館のサメ映画祭やサメ映画上映時はいつも応援していただき、サメ映画を構想中とも聞いていますが、いつから映画を撮り始めたのですか?
今地:実は高校時代に15分ぐらいの短編『1A戦隊ヤッカゼー』を撮りました。1年A組で、担任の先生が学級通信(ヤカゼ)(やればできる・必ずできる・絶対できるの略でした)を出していたので、そこからつけたタイトルです。映画の撮り方を何もわからず、思うがままに撮りました。ただ特撮みたいにしたかったので、●●レンジャーが登場させたり、みんなで衣装を作ったりと楽しかったですね。映画は色々な人としゃべって、議論しながら作り上げていくもので、それがとても楽しかったので美しい思い出として残りました。

大学ではもっと大きな規模でやってみたいと思っていたら、当時、脚本の書ける大親友や、編集ができるゼミ同期がいたことや、学内のコンペに入選し、制作費を援助いただいたこともあり、1時間半の長編『MOTI VE』を一本撮ることができました。ただ、大学とやる気をテーマにした内容だったことで、様々なチェックが入ってしまい、当初自分たちが作ろうと思っていた内容で撮ることができなかった。こちらの意図していたことがうまく伝わらなかったことに原因があるのかもしれませんが。

―――苦い経験だったようですが、その中で何か学びはありましたか?
今地:『1A戦隊ヤッカゼー』に比べると映画の規模が大きくなったので、演劇部や映画研究会、小説研究会にも声をかけたので、関わる人の幅が広がりました。そのため色々な調整が必要でしたが、コミュニケーションを含めて、映画を作るという体験が高校のときと同様良いものだったんです。だから、これからも時々映画を撮っていけたらいいなという気持ちになりました。


『MOTI VE』の撮影風景

■任意団体「考える人」立ち上げとまちラボへの就職


―――この体験が今のサメ映画を撮りたいという気持ちに繋がっているんですね。商店街に話を戻すと、4年といえば就活の時期ですが?
今地:わたしの場合、ちょうどコロナと重なってしまい、就活もままならず、学校にも行けないのでみんながどうしているのかも分からなかった。以前から兵庫県のふるさとづくり青年隊というプロジェクトに参加し、様々な地域にボランティアに出かけて行く側だったのですが、当時、担当の県職員の方から受け入れ側として動いてみないかと声がけがあったんです。まちづくりで何かやりたいことを考えて団体を作り、他地域からボランティアしたいことを受け付けるという企画運営者としての打診で、そのときに元町商店街4、5、6丁目を活性化する任意団体「考える人」を立ち上げました。

―――映画チア部の商店街版とも言えそうです。

今地:そうなんです。そこで初めて、元町商店街連合会の方にお会いして、こんなことがやりたいと相談し、フリーペーパーを作ったり、動画を撮影して公開することもやりました。商店街で活動しながら、そこで映画を撮ろうと思い、『紡ぐ』という30分ぐらいのオムニバス映画を作ったのが4年秋のことで、結果的にこの作品が商店街の方の目に留まり、その後、元町商店街のPVを撮ることに繋がったんです。


―――商店街で活動することが次の展開に繋がっていますね。
今地:大学4年の秋時点でまだ先のことは決まっていなかったのですが、元町商店街の方からこうべまちづくり会館内にあるまちラボを勧めていただき、現館長(当時はまちラボ図書担当スタッフ)との面接を経て2021年4月よりまちラボのスタッフとして働くことになりました。

元々、大学でまちづくりの講義を受講していたのですが、その先生が元町映画館の設計にも携わった浅見雅之さんで、まちラボの現場責任者なんです(特定非営利活動法人神戸まちづくり研究所事務局長(当時。今は会館運営担当副理事長)。まちラボを紹介する講義もあったので、それもここに来るきっかけになっています。当時はまさかわたしがまちラボで勤めることになるとは誰も思っていなかったし、就職が決まらなくても神戸にいるつもりで部屋を契約していたので、卒業式の翌日に内定をいただいたときは、本当にホッとしました。映画が撮り終わり、お金もやることもなくなった2021年1月から3月までは本当に暗黒期でしたが、実はそこでサメ映画に出会っているんです。


■サメ映画、元町映画館との出会い


―――なんと!
今地:Twitterで「ミスティック・シールド!」や『ウィジャ・シャーク /霊界サメ大戦』がバズっていた頃で、本当に病んでいたので面白そうだと思って観たんです。この破茶滅茶さでパッケージにまでなっているのなら、わたしは全然大丈夫だし、生きていていいんだと勇気付けられました。そこから、高校や大学で映画を撮っていたので、今度はサメ映画だと思い、まちラボに就職してしばらくしてから、周りに「サメ映画を作りたい」と言うようになりました。

―――だから、サメ映画を神戸で作ろうとしていることをみんな知っているんですね(笑)ちなみに学生時代、元町映画館とは何か繋がりがありましたか?
今地:さきほどの「考える人」を立ち上げたあたりから、元町商店街へ頻繁に足を運ぶようになり、動画撮影の際には許可を取りに訪れたり、当時支配人だった林未来さんのインタビューを撮影させてもらいました。オムニバス映画『紡ぐ』では元町映画館発起人の堀忠さんに出演してもらったんです。

―――まさに企画者としての繋がり方ですね。
今地:映画で言えば、元町映画館では『まっぱだか』を鑑賞し、舞台挨拶に来ていた主演の津田晴香さんにご挨拶できたことが、後にわたしが携わった神戸元町商店街公式PV『meet you!〜今日も♪明日も♪元町♪〜』のご出演に繋がりました。


あと高校時代まで通っていた地元のダンス教室の先輩、吉開さんの短編集「吉開菜央特集:Dancing Films」も観に行きました。

■オープンダイアローグは「悶々と」。書きながら自分の気持ちを整理


―――舞台挨拶の交流が、次の展開のきっかけになったのは嬉しいです。ダンサーでもある吉開さんが先輩だったとは!かなり本格的にダンスに打ち込んでいたんですね。
今回インタビューさせていただくきっかけになったのが、元町映画館で2022年9月からスタートしたオープンダイアローグです。今地さんが書くグラフィックレコーディング(参加者の発言を模造紙一枚に似顔絵付きで記録)は、毎回参加者のみなさんやゲスト(監督)、映画館スタッフに大好評ですよ。

今地:映画の内容に即した内容なので、このテーマをファシリテーターの中村紀彦さんがどのように膨らませるのかと思いながら、参加しています。毎回考えさせられるテーマを選んでおられるので、事前に作品のスクリーナーを拝見し、悶々としながら書いています。ある意味、その悶々とした感じを、作品観賞後の参加者のみなさんと共有し、書きながら自分の気持ちを整理している部分もあり、すごくいい企画をまちラボに持ってきていただき、いつもありがたいと思っています。


オープンダイアローグの最初は自己紹介から。
今地さんの参加者似顔絵もグラフィックレコーディングに欠かせない!


―――確かに、どれも多様な意見が出そうなテーマですから、悶々としてしますよね。

今地:特に最初の2回ぐらいは(#01【映画『WHOLE』から“ハーフ”を考える】/#02【映画『フタリノセカイ』とパートナーシップ制度】)、事前にスクリーナーを拝見し、あまりにも悶々として担当窓口だった林さんに感想文を送っていたときもありました。林さんには驚かれましたが、一緒に悶々としてくれて嬉しかったです。

―――ミニシアターで上映される作品は、スッキリと終わる作品よりも、観終わって悶々とする作品が比較的多いですし。
今地:悶々すると言えば、元町映画館で毎年年末に『ハッピーアワー』を上映されていますよね。友達に勧められ、第一部から第三部までぶっ通しで観たのですが、すごく悶々としたんですよ。出口で映画館スタッフの高橋さんから「どうでしたか?」と聞かれたのですが、「えっ?幸せって何ですか?」と絶句してしまいました。

―――そこまで衝撃的だったとは!
今地:これだけ(映画が)長かったのに、誰一人すっきりとした終わり方ではないのが衝撃的でした。というのも、元々ダンスの多いミュージカル映画が好きで、大体がハッピーエンドで終わるので、悶々と終わることにわたし自身が慣れていなかった。「あと1時間ぐらいで、どんでん返しが来て、ハッピーエンドになるだろう」と期待していたのに、最後の最後までハッピーエンドにならないのかーいと(笑)

中央の今地さんを囲む古川建太館長(右)、ZINEを作るホヤボーイこと
大原一哲さん(左)ようこそまちラボへ!

■まちラボへ、自分の自慢をしに来てくれる人が増えてほしい


―――それが濱口監督作品の醍醐味、逆に褒め言葉かもしれません。改めて、まちラボについてご紹介ください。
今地:まちラボは、元々は「まち活拠点まちラボ」という名称でした。「まち活拠点」とはまちで活動する人を応援する拠点であり、まちで活動する人の拠点でもあります。わたしも拠点として使わせてもらっていた経験があるので、もっと使っていただけるように学生のみなさんにも声かけをしています。スタッフも親身に相談に乗り、かつ何でも面白がってくれるし、おしゃべり・飲食OKなんです。加えてコンセントや無料Wi-Fiも完備しているので、もっとアクティブに使っていただけたらと思います。


ZINEコーナーには神戸や旅にちなんだ人気ZINEが続々入荷!自由に閲覧できる


―――街中で気軽に立ち寄れる拠点ですよね。

今地:ひとりで作業される方が多いので、時々こちらから声をかけてお茶会をすることもあるんですよ。「お茶を淹れたから、飲みませんか」と。そういうことがきっかけで、まちラボから新しいコミュニティーが生まれたらとも思っています。

また「これを作りました!」とか「あれをやってみました!」のような自慢したいことが誰にでも受け入れてもらえる場所だと思うので、ZINE(個人が発行する出版物)コーナーも作っています。「街のことを知ってほしい!」など個人の想いをオープンにしていいよと言ってくれる場所はなかなかないと思うんです。もっと大きな声で言っていこうよという風に背中を押してくれる場所がまちラボです。わたし自身もそういう拠点に助けられているし、これからも自分の自慢をしに来てくれる人が増えてほしいですね。


今年の元町夜市は7月22日(火)開催!

■誕生150年を迎えた元町商店街のこれから


―――今地さんは今、神戸元町商店街連合会 事務局として活動されています。2024年に神戸の「元町通」誕生150年を記念し、イベントが大々的に開催されましたね。
今地:150年という歴史の重みを残しながら、次の世代にどれだけ伝えていけるか。そのためには伝え方を変えていく必要があるということで、「モトマチモダンガールプロジェクト」が生まれました。日々、色々な考えを持った方がおられるなと痛感しています。みなさんの商売がうまくいくように、元町商店街の色として包み込むというのは、なかなか難しい。今は、商店街のイメージを新しい色に塗り替えていくタイミングなので、どんな色がいいんだろうとか、どういう風にすればいいのだろうとか。また色を変えると言っても、昔の色がいいという人もいるでしょうし、変化をどう伝えていくかが課題です。1.2キロ、300店舗ある商店街なので、うまく情報が行き届かないこともあり、どのように円滑に情報を伝えていくのかを考え、実行するのがわたしの役目だと思っています。

―――7月は元町夜市がありますね。

今地:神戸元町商店街としては大きなイベントになるので、みなさんも今から準備に忙しくされていますし、これから事務局も説明会などの準備に入るところです。ハラハラもしますが、夜市はやはり楽しいですからね。

―――元町夜市は本当に大勢の人たちが訪れて活気のあるイベントです。
今地:これからもぜひ続いてほしいと思いますし、元町には元町夜市があると街の人の誇りにもなっているので、その気持ちも大切にしたいですね。夜市で商店街に来てくれた人が、またそれ以外のときに買い物へ来てくれるような良い循環が生まれたらいいなと思っています。


深緑をバックに、モトマチモダンガールのロゴが映える元町商店街(4丁目)の様子

■軸は「みんなで一つのものを作る」


―――今地さんご自身の今後の展望は?
今地:故郷である山口県周南市の商店街を何とかしたいという想いがあり、帰る機会を伺ってはいますが、せっかく帰るならもっと大きく成長してからという気持ちがあります。
神戸でもう少し実績を積むとしても、どういう風に積めばいいのかを考え中です。「まちづくりの人」と一言でいっても非常に幅が広いですよね。ラボは建築関係の人が多いですし、商店街は商業流通や経理・経営の色が強いので、その間にいると、どちらも自分とは少し違うと感じています。もっとソフトなまちづくりに携わるところに行ければとも考えているところで、サメ映画作りもそろそろ進めていきたいです。塩屋のみなさんにも、「どうですか?」と聞かれているので(笑)わたしの軸は、みんなで一つのものを作るというところだと思います。

―――みんなでと言えば、さきほど話が出た神戸元町商店街公式PVも商店街の店主たちが出演し、歌ったり、踊ったりしていましたね。
今地:もっとミュージカルらしくしたかったのですが(笑)。今まで培ってきたものを活かせたという点では、公式PV『meet you!〜今日も♪明日も♪元町♪〜』を作った時点でわたしの人生の第一部は「完」だと思っており、第二部について悩んでいるところです。

―――今地さんの人生第二部を楽しみにしています。
今地:ありがとうございます。最後に、先ほどお話しした堀さんご出演の『紡ぐ』がこの秋、大阪のMATERIALタニマチにて上映していただけることになりました。またご注目ください!
https://material-event.com/


徳山の商店街でもサメ!


サメ増殖中!


(2025年5月29日収録)

<今地春乃さんプロフィール>


1998年生まれ。地元は山口県、大学進学で神戸に。こうべまちづくり会館と神戸元町商店街連合会に勤めています。商店街という場所が好き。塩屋でサメ映画を撮るべく迷走中!

Text江口由美

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