生成AI時代の消費者調査フローについて考えてみた
こんにちは。合同会社マルセロ 代表の駒瀬です。経営者、事業責任者に対する事業及びマーケティングの伴走コンサルティング、壁打ち、月額制顧問等のサービスを提供しています。
きっかけは、LinkedIn経由で頂いた1通のメッセージ。
早稲田大学の学生さんから、「リアルな顧客フィードバックを収集して、企業のマーケティングをサポートするプロダクトの開発を検討している。ついては、企業の現場における顧客フィードバック活用の実態を教えて欲しい」という内容。
純粋に面白そうだなと思い、「チャットでのやり取りは効率悪いので、サクッとZoomしましょう」と逆提案し、昨日、面談しました。
彼の課題認識は、以下の通り。
通常の定量調査では、核心を突いた消費者インサイトを抽出できないのでは?そこをサポートするプロダクトの開発を検討中。
なるほど。さて、ここから、どう話を展開していこうか?と瞬時に脳が活性化。この瞬間が、私の大好物です。
おっしゃる通り、定量調査ではインサイト抽出は困難です。通常は、定性調査を活用します。定性調査とは、以前はグループインタビュー、現在はオンラインデプスインタビューが主流。必要に応じ、エスノグラフィー(行動観察)を組み合わせます。
前提として、定性調査と定量調査の使い分けを整理しましょう。
1.定性調査
主に仮説構築に向けたインサイト収集を目的に実施。定性調査は、サンプル数が少ない分、回答者の選定が肝。ここを間違えると、有益な情報を引き出せない。
その為には、事前に仮説インパクト表を作っておく必要がある。仮説とはプロダクトが解決するペイン(困りごと)。だれが、どういうシーンで、何に困っているか。それに対して現状用いている解決策が何で、それに対する不満点は?
仮説インパクト表とは、上述の各仮説をリスト化し、重要度と確信度で採点(◎、〇、△、×)したスコア表。重要度とは、その仮説が打ち手に与えるインパクト。確信度とは、どの程度、その仮説に自信があるか。
デプス調査は時間が限られているので、「重要度が高く、確信度が低い」仮説を優先してヒアリングを行う。逆に、重要度が低い仮説は後回しで良い。
2.定量調査
上述の定性調査を経て、ブラッシュアップした仮説を定量化して、更に確信度を高める目的で実施(仮説検証)。理想的には、上述の定性段階で十分な確信度に到達し、定量調査が不要となる状態。
ただし、組織で仕事をする際は、関係者説得の際に、定量データが求められるので、多くの場合、定量調査を実施することになる。
「定量調査を実施して実態を知る」のではなく、「自分が構築した仮説に対し、他者を説得する」ために実施する。従って、8~9割は、「想定内」の結果となる状態を目指す。
個人的には、定量調査に使う予算は、広告・販促に使いたいといつも思っていたが、現実は、中々そうもいかない。。。
この説明で、かなり理解が深まったようです。そして、「自分の認識が甘かった」と白状。
それを聞いて、私は、将来有望と感じました。自分の至らなさを認め、素直に教えを乞える人は、私のこれまでの経験上、間違いなく成長します。
その上で、1点、質問を頂きました。
10名程度の定性調査で、仮説を見極めるのでは難しいのでは?
これまでに、何度、このやり取りをしてきたことか。。。
書籍「LTVの罠」垣内勇威著から、以下を引用しつつ、私の経験上、全く同意見であると解説しました。
N数(サンプル数)が少ない問題は、実際に定性調査を見たことがある人からは絶対に出てこない反応です。なぜなら通常5人くらいの調査をすれば、8割以上の発見点が見つかるからです。6~10人目になると、被験者が同じことばかり言うので、かなり飽きてきます。11人目を超えると、被験者が次に何を言うか予測できるようになります。
加えて、今は、生成AIがあり、特にディープリサーチを活用すれば、かなり高精度の調査仮説が作れるはず。従って、以下のフローで進めれば良いのでは?とアドバイスしました。
生成AIと壁打ちしながらアイデア探索を行う
仮説インパクト表を作成する
仮説インパクト表を生成AIに評価してもらう(壁打ち)
並行して、ディープリサーチで市場、競合、参入障壁、関連法規等を把握する
仮説インパクト表に対し、一次情報で仮説を補強する目的で定性調査(デプスインタビュー)を実施する
多くの関係者の説得が必要な案件の場合は、定量調査を実施し、調査結果を説得に活用する
以上、生成AI時代の消費者調査フローについて考えてみました。
最後に、良質な仮説を作れるようになる為には、日々の「思考の筋トレ」が重要であるという話から、「スタンドFMの活用」と小山薫堂さん提唱の「勝手にテコ入れ」を紹介しました。
考えを整理する良い機会を与えて頂いたことに感謝です。
<参考情報>
■定性調査の重要性を解説した垣内勇威さんの書籍「LTVの罠」
■「勝手にテコ入れ」を解説した小山薫堂さんの著書「考えないヒント」
■スタンドFMの活用法を紹介した、私の過去記事
■ネオマーケティング社の定性調査に関する記事も充実しています。
■お仕事の依頼は、こちらから
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