見出し画像

家庭の事情なんか知るものか。感想。映画「レディ・オア・ノット」。

公  開:2019年
監  督: マット・ベティネッリ=オルピン/タイラー・ジレット
上映時間:95分
ジャンル:ホラー/サイコ/


赤の他人と結婚して、相手の家を知るっていうのは、一種の異文化交流といえなくもありません。

自分の常識は、他人の非常識とはよく言ったもので、その家の伝統であるとか、しきたりというのは、他人からみると奇妙なものだったりします。

しかし、相手の家庭で暮らすようなことがあれば、郷に入っては郷に従えというやつで、やっぱり、納得できないことであったとしても、笑って我慢して、こらえていかなければならないことも多いはずです。

それが、伝統のある富豪の家ともなれば、異常なしきたりであったとしても、仕方がないことでしょう。

主人公であるグレースは、ル・ドマス家という大富豪の息子と挙式をあげるのですが、その家には、家族が増えた場合に、ゲームをしなければならない、というしきたりがありました。

「レディ・オア・ノット」は、なぜか花嫁を一家全員で殺しにかかるという、とんでもないホラーサイコ映画となっています。

果たして、花嫁は無事に逃げることができるのか。

ネタバレをしつつ、感想を描いていきますので、気になる方は、是非、ご覧になってからもどってきてもらえればと思います。


しり上がりに面白い

本作品は、ある意味でつっこみ満載の作品となっています。

ル・ベイルという人物から受け取った箱で財産を築いた一族は、掟に従って花嫁を殺そうとするのですが、実に手際が悪いです。

間違って、家の従者をヘッドショットしてしまいますし、使用人が通っていた通路に花嫁が逃げる可能性を考えていない。

使っている武器はゲームが開始された当初のものを使うのですが、そもそも使い方がよくわからない。
そのうち、普通に現代の武器をつかいはじめる。

「かくれんぼ」というゲームが選ばれなければ、ほのぼのとした新婦を含めた家族のお遊びになっただろう設定ですので、本来、家族の人たちは人殺しをするような人物ではないのでしょうが、普通に武装を始めます。

しかし、手際が悪すぎて、しらけてしまいそうになるのですが、本作品は、冒頭よりも、後になればなるほど面白くなるタイプの作品です。

主人公であるグレースも、あまり思慮深いタイプではなさそうなふるまいをしていたのですが、自分の命が狙われているとわかってから、徐々に変化をはじめます。

花嫁衣裳とゴア表現

「レディ・オア・ノット」の見どころの一つとして、テンポのいい映像表現と、音楽の使い方がうまい、というのはあるのですが、それ以上に、いわゆるゴア表現が痛々しくて良い、というのがあります。

血がドバドバでたりする表現をゴアというのですが、このゴア表現が実に痛々しいです。

主人公であるグレースは、手を銃で撃たれて丸い穴が開いてしまったり、死体だらけの汚い穴に落下したりします。

必死に我慢しながら、這い上がろうとすると、そこには飛び出た釘があって、ざっくりと突き刺さったり、屋敷の庭から脱出する際に柵があるのですが、柵を通り抜けようとして身体が裂けていくあたりは、もう、見ていられないほどです。

本作品は、悪魔の契約に基づいて儀式を遂行している、というかなり滑稽な設定で行われているので、ついつい観客側も正気に戻りそうになってしまうのですが、時々でてくるリアルすぎる表現によって、怖いもの見たさで先が気になってしまうようになります。

そして、物語の冒頭では純白であった花嫁衣裳は、どんどんと薄汚れて、最後には血まみれになっていきます。

まるで、映画「キャリー」を思わせる血みどろの状態ですが、なんとなく弱弱しかった主人公が、最後に、精神的に強く、たくましい瞳でたばこを吸う姿は、物語のラスト含めて納得してしまうこと請け合いの格好良さです。

いわゆる人間狩り

本作品は、いわゆる「人間狩り」というジャンルの作品に分類されます。

「裸のジャングル」であるとか「アポカリプス」なんかが、まさにど真ん中でありますが、「レディ・オア・ノット」は、複数の人間が、一人の花嫁をかくれんぼというよりは、たんなる狩りの対象としてしまっています。

金髪美女であるグレースが、逃げられないとわかって、純白のドレスに弾帯ベルトを体に掛け、銃をもって覚悟を決めるシーンがあるのですが、このシーンは、絶対にやりたかったシーンなのだろうな、とつい思ってしまうほどキメキメの画面となっています。

また、痛みを堪えながら、どん底から這い上がろうとするシーンなど、本作品は、たんに逃げ惑うヒロインではなく、勇ましく戦うところもまた魅力の作品となっています。

駄目男よ、爆発しろ

主人公のグレースは、ル・ドマス家のアレックスと結婚するのですが、そのアレックスは、かなりダメ男だったりします。

一見、男らしくてハンサムに思うのですが、時間が経過するにつれて、その違和感が増大していくのもポイントでしょう。

本作品の面白いところは、悪魔の契約のおかげで一族が繁栄しているから、理不尽な儀式でもやめることができない、という設定にあります。

物語の冒頭ではそのあたりがよくわからないので、手際が悪くて、たんなるブラックコメディかと思ってしまうのですが、実は、本作品が、「ローズマリーの赤ちゃん」のような、悪魔崇拝の様相を呈した作品であることがわかってしまうのです。

画作りがいい感じのB級映画感が漂う本作品ですが、登場人物のおかしさも全部納得してしまいそうになります。

最終的には、その家のローカルルールなんて、知らねぇよ、と全てを捨てる強い女性主人公の物語が「レディ・オア・ノット」となっています。

ゴア表現がちょっと強めにはなっているので、苦手は人は苦手だとは思いますが、刺激が強いけれど、最後はすっきりするような物語をみたい場合は、楽しめる作品となっています。

以上、花嫁は生贄に。感想。映画「レディ・オア・ノット」、感想でした!

いいなと思ったら応援しよう!