見出し画像

ドラクエの勇者を陰で支える、「世界の応援システム」

ドラクエをやっていると、勇者は世界中を旅します。

町から町へ移動して、船に乗って海を渡り、知らない国へ行く。そして最後には魔王の城へ向かっていく。

でも、ふと考えてみると、

勇者って、どうやって世界中を旅してるんでしょう?

たとえば、船。

勇者が船を手に入れたら、それで海を自由に移動できます。

でも現実の世界だったら、船は勝手には動きません。

誰かが操縦しなければならないし、長い航海なら食料や水も必要です。船そのものの整備も必要になるでしょう。

天候が悪くなれば予定通りには進めない。

病気やケガをする人が出るかもしれない。

ゲームでは「船に乗る」という一つの操作で済んでいることの裏側に、実はいろんなものが隠れています。

しかも勇者が旅をするのは、一つの国だけではありません。

いくつもの町を訪れ、いくつもの国を通過する。

そこで、もう一つ気になることがあります。

勇者は、本当にどこの国でも歓迎されるんでしょうか?

勇者だからといって、外国に入れば必ず協力してもらえるとは限りません。

国によって法律も違う。

政治的な事情もある。

文化や価値観も違う。

魔王との戦いについて、国ごとに考え方が違っていても不思議ではありません。

「魔王を倒す」という目的は同じでも、「勇者をどう扱うか」まで全世界で一致しているとは限らないわけです。

それでもゲームの中では、勇者は町に入れば話を聞けるし、宿に泊まれる。武器も買えるし、必要になれば船にも乗れる。

そして、また次の町へ進んでいく。

この世界って、よく考えるとかなり不思議です。

勇者が冒険を続けられるように、ゲーム画面には映っていないところで、何か大きな仕組みが動いているのではないでしょうか。

私はこれを、「世界の応援システム」と呼んでみたいと思います。

もちろん、ゲームの中にそういう正式な制度があるという話ではありません。

勇者の冒険を成立させている、画面に映らない人や仕組みをまとめて、そう呼んでみるということです。

武器が売られているなら、それを作っている仕組みがある。

町に商品が並んでいるなら、どこかから運ばれてきている。

船が海を走るなら、それを動かす人や港がある。

そして、魔物が存在する世界なら、それに対応する人たちもいるはずです。

ゲームでは、一つひとつを細かく描く必要はありません。

プレイヤーが「武器を買う」と操作すれば、それで成立する。

「船に乗る」と操作すれば、海を渡れる。

「町に入る」と、その町には人がいて店が開いている。

でも、その一瞬の操作を現実の世界として考えてみると、いろんな仕組みが見えてくる。

勇者が冒険できるのは、勇者だけで世界を動かしているからではない。

むしろ、勇者が冒険できるように、世界のほうが動いているのではないか。

そう考えると、いつものドラクエが少し違って見えてきます。

そして、ここからが面白いところです。

ここまで考えると、ドラクエの「町」「国境」「船」「お金」まで、今まで見えていなかった世界が見えてきます。

ここからは、勇者の冒険を成立させている社会を、もう少し具体的に考えてみます。

冒険者は、魔物がいる世界でどんな役割を担っているのか。

船は、誰が動かしているのか。

魔王討伐にかかる費用は、誰が払っているのか。

そして、勇者が国境を越えて旅できるのは、どんな仕組みがあるからなのか。

ゲームでは一瞬で処理される部分を、現実の社会として考えてみます。

ここから有料です。


冒険者は、魔物がいる世界のインフラなのか

ドラクエの世界には、勇者以外にも冒険者がいると考えたほうが面白そうです。

なにしろ、そこら中に魔物がいます。

町の近くに出てくる魔物。

街道に出てくる魔物。

洞窟や遺跡に潜んでいる魔物。

これを全部、勇者だけが退治しているとしたら大変です。

勇者が魔王討伐をしている間にも、町の近くでは誰かが魔物と戦っていなければならない。

そう考えると、冒険者という職業そのものが、かなり重要になります。

町の周辺を守る人。

危険な場所を調査する人。

遠くまで荷物を運ぶ人。

魔物から採れる素材を集める人。

そうした人たちが世界のあちこちで活動している。

勇者は、その中でも特別な使命を持っている冒険者なのかもしれません。

つまり、勇者だけが「冒険」という仕事をしているのではない。

勇者の冒険を可能にする土台として、普通の冒険者たちの活動がある。

そんな世界だったとしたら、かなり面白いですよね。

船は「乗り物」ではなく、一つの組織

次に船です。

ゲームでは、船を手に入れれば行動範囲が一気に広がります。

でも船を「乗り物」ではなく「組織」として考えると、世界がまた変わって見えます。

船長がいる。

船員がいる。

荷物を扱う人がいる。

長い航海なら、食料や水を用意する必要もある。

船が壊れれば修理もしなければならない。

つまり、勇者が船を手に入れたというのは、実は「移動手段を手に入れた」というだけではないのかもしれません。

一つの組織を動かして、海を渡る権利を手に入れた。

そんな見方もできます。

そうなると、ゲーム画面に表示されている勇者パーティー4人も、実は遠征隊の中心メンバーにすぎないのかもしれません。

勇者たちは前線にいる。

その後ろには船を動かす人がいる。

さらにその活動を支える港や商人がいる。

ゲームでは見えていないだけで、一つの「冒険」が成立するまでには、かなり大きな仕組みがある。

そう考えると、船に乗るだけでも妙にワクワクしてきます。

魔王討伐には、いくらかかる?

そして、どうしても気になるのがお金です。

勇者が旅をするには、装備が必要です。

食料もいる。

宿にも泊まる。

船を使うなら、その維持にもお金がかかるでしょう。

では、その費用は誰が負担しているんでしょうか。

勇者が魔物を倒して稼いでいるのか。

王様が援助しているのか。

それぞれの国が支援しているのか。

あるいは、魔王によって世界全体が危機にさらされているから、国同士で費用を分担しているのか。

ここを考え始めると、ドラクエの世界に「経済」が見えてきます。

勇者がゴールドを手に入れる。

そのゴールドで武器を買う。

武器屋にはお金が入る。

武器屋は材料を仕入れる。

材料を作る人にもお金が流れる。

勇者が魔物を倒して得たゴールドが、町の中を巡っている。

ゲームでは単なる「所持金」の数字だったものが、現実の社会として考えると、経済活動になります。

ゴールドは、世界を動かす血液だったのかもしれません。

世界中の国は、本当に勇者を応援しているのか

そして最後に、国境です。

勇者が世界を旅できるなら、国をまたぐ必要があります。

では、各国は勇者をどう見ているんでしょう。

「魔王を倒してくれるなら大歓迎」という国もあるでしょう。

一方で、自国の事情を優先する国があってもおかしくありません。

勇者への協力には前向きだけれど、軍事的な支援まではできない。

魔王討伐には賛成だけれど、自国の資源を大量に提供する余裕はない。

あるいは、そもそも勇者のことを信用していない。

そんな国があったとしても不思議ではありません。

そう考えると、「魔王から世界を救う」という一つの目的の裏側に、それぞれの国の事情が存在することになります。

勇者が世界を旅するということは、単純に地図の上を移動しているだけではない。

それぞれの事情を持つ社会を通り抜けながら、冒険を続けている。

そんな世界だったら、魔王討伐の物語はさらに複雑になります。

魔物との戦いだけではありません。

国と国との関係。

お金の流れ。

冒険者たちの仕事。

船や港を動かす人たち。

そういうものまで含めて、ようやく「勇者の冒険」が成立する。

もちろんゲームでは、そこまで描かれていません。

でも、だからこそ想像できます。

勇者は、一人で世界を救っているわけではない。

ゲーム画面には映っていないけれど、勇者が冒険できる世界そのものが、勇者を支えている。

そう考えると、いつものドラクエを見ても、

「この船、何十人乗ってるんだろう」

「この国は、勇者をどう思ってるんだろう」

「この冒険の費用、誰が出してるんだろう」

そんなことが気になってきます。

画面に表示されているのは、世界のほんの一部分。

その外側には、まだ描かれていない世界が広がっている。

勇者の冒険を成立させている「世界の応援システム」。

ひょっとすると私たちは、ドラクエをプレイしているとき、知らないうちにその世界の一番表側だけを見ていたのかもしれません。

いいなと思ったら応援しよう!