負けるが勝ちということ
誰かとぶつかったとき、どう考えても自分は悪くない。
そんな場面では、なかなか「ごめんなさい」とは言えないものです。
「なんでこちらが謝らなきゃいけないんだ」
と思うのも、無理はありません。
もちろん、本当に自分に非がないのなら謝る必要はありません。
たとえば、相手の言い方に腹が立ったとしても、
「さっきは言い方がきつくなって、ごめん」
と、自分の部分だけ謝ることはできます。
これは、相手の言い分を全部認めることではありません。
「あなたが悪いと思う。でも、ここについては私が謝る」
そんな謝り方があってもいいのです。
これを分けて考えることができるようになると、謝ることがずいぶん楽になります。
そして、謝る目的も違って見えてきます。
謝罪は「負けを認めること」ではなく、こじれてしまった関係を元に戻すための一つの手段です。
意地を張って何日も気まずい時間を過ごすくらいなら、自分から一言、
「さっきはごめん」と言ってみる。
それだけで、張りつめていた空気が少し緩むはずです。
ただし、これは何でも自分が悪いことにしてしまえばいい、という話ではありません。
いつも自分から謝って終わらせていると、問題そのものが解決しません。
空気が緩んだ瞬間、
「ここは私が悪かった。でも、これは嫌だった」
とこちらの考えをしっかり伝えるのです。
昔は「謝ったほうが負け」のように考えていたこともありました。
でも、今になって思うのは、勝ち負けを決めることより、その後を気持ちよく過ごせるほうが大事だということです。
何日も腹を立てて、頭の中で相手への不満を繰り返していると、、自分の時間と気力が少しずつ削られていきます。
だったら、必要なところだけ謝って、あとは手放しましょう。
「負けるが勝ち」という意味は、そういうことだと思います。
自分の非を認めるところは認め、それでも言うべきことは言う。
そんなふうに、自分で関係の舵を取ることです。
「ごめんなさい」と言えることより、
「ここは私が悪かった。でも、ここは違う」
と言ってコミュニケーションを少しずつ深めていく。
夫婦や異性関係においてはこれがとても大切です。
そんな柔らかさを持っているほうが、意地を張り続けるより、ずっと身軽に楽しく生きられるのではないでしょうか。
