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外国人の日本語教育に100億円? そのお困りごと、誰が解決する問題ですか?

「それ、私の仕事なんですか?」

会社で働いていると、一度くらいそう思ったことはないでしょうか。

別の部署で起きた問題なのに、なぜか自分たちが対応する。

本人が覚えるべきことなのに、なぜか会社が研修を用意する。

取引先の都合で発生した仕事なのに、なぜかこちらが人と時間とお金を使って解決する。

そして、一度引き受けると、それはいつの間にか、

「会社がやって当たり前の仕事」

になっていく。

私は、こういう場面を見るたびに、一つの問いが抜け落ちているように感じます。

「そのお困りごと、そもそも誰が解決する問題なんですか?」

今回は、外国人向けの日本語教育をめぐるニュースから、この「問題の持ち主」について考えてみたいと思います。

これは政治の話だけではありません。

むしろ、会社で新しい仕事を引き受ける人、部下から相談を受ける管理職、施策をつくる本部社員にこそ関係する話です。

なぜなら、

「困っている人がいる」と「私たちが解決すべき問題である」は、同じではないからです。


外国人の日本語教育に「100億円以上」

きっかけは、YouTubeで見た「外国人の日本語教育に100億円」という話でした。

報道によれば、文部科学省は在留外国人への日本語教育支援を大幅に拡充し、小中学校に入る前後の子どもに日本語を集中的に教える「プレクラス」や、自治体の日本語教育体制の整備などを進め、2027年度予算の概算要求に関連経費100億円以上を盛り込む方針だとされています。

まだ「100億円の予算が成立した」という話ではありません。

ここは重要です。

YouTube動画の中でも、「まだ概算要求の段階」と説明されています。

外国人政策を担当する松島みどり総理大臣補佐官は、外国から連れてこられた子どもたちが、日本語が分からないまま学校に入り、学校から離れてしまうことなどを問題として挙げています。

そして、これまで自治体に任せてきた外国人向け日本語教育を、国が主導して進める考えを示しています。

私はここで立ち止まりました。

外国から日本に来た。

日本語が分からない。

学校で困った。

生活で困った。

それは確かに「お困りごと」でしょう。

でも――。

そのお困りごとは、誰が解決する問題なのでしょうか?



「困っている」から、なぜ「国が解決する」になるのか

誤解してほしくありません。

私は、

「外国人が困っていても放っておけばいい」

と言いたいわけではありません。

子どもが日本語を理解できず、学校の授業についていけない。

コミュニケーションが取れない。

地域社会で摩擦が起きる。

それによって、日本人の先生や児童生徒、地域住民にも負担が生じる。

だから政府が関与する合理性はあります。

実際、文科省は以前から、在留外国人の増加を背景に、日本語教育や外国人児童生徒への教育を充実させる政策を進めてきました。2026年度の概算要求でも、この分野について44億円を要求していました。

それでも私は、一つの問いを飛ばしてはいけないと思うのです。

「誰のお困りごとか」ではありません。

もう一歩先です。

「誰が解決する問題なのか?」

です。

日本に住むなら、日本語を勉強する。

まず本人や家族が努力する。

外国人を採用する企業なら、その企業にも一定の責任がある。

それでも解決できない部分を自治体や国が支える。

そういう順番だって考えられます。

ところが、

「困っている人がいる」

から、

「では国が仕組みをつくりましょう」

へ一気に進んでしまうと、その途中にあるはずの、

「誰が責任を持つ問題なのか」

という議論が見えにくくなります。


ちなみに、「日本人の税金100億円」と決めつけるのも違う

ここは、調べていて重要だと思ったので書いておきます。

松島氏は8月18日、自身の説明の中で、日本語・生活学習プログラムの財源について、日本国民の税金ではなく、引き上げた在留資格更新手数料を活用し、外国人を雇う会社にも責任を求めるという趣旨を述べています。

ですから、

「日本人から集めた税金100億円を、そのまま外国人に配る」

という単純な話として扱うのは正確ではありません。

私はむしろ、こちらの方が大切だと思います。

財源を外国人本人や企業にも負担させるのなら、それは一つの考え方でしょう。

でも、財源の話と、

「その問題を行政がどこまで引き受けるべきなのか」

は別問題です。

お金の出どころだけ変えれば、「問題の持ち主」が決まるわけではありません。



これ、会社でも毎日起きていませんか?

ここからが、この記事で一番伝えたいことです。

たとえば、ある社員が上司に言いました。

「Excelが使えなくて困っています」

困っています。

では、会社が研修を用意しましょう。

別の社員が言いました。

「プレゼンが苦手です」

困っています。

では、外部講師を呼びましょう。

また別の社員が言いました。

「この仕事をやったことがありません」

困っています。

では、誰かを一人つけましょう。

一つひとつだけ見れば、親切な会社です。

でも、その前に確認することがあります。

それは、本当に会社が解決する問題でしょうか?

本人が勉強すべきことかもしれない。

採用時点で確認すべき能力だったかもしれない。

上司が日常業務の中で教える問題かもしれない。

会社全体で教育制度をつくるべき問題かもしれない。

答えはケースによって違います。

重要なのは、

「困っています」と言われた瞬間に、会社の仕事にしないことです。


管理職は「何でも解決する人」ではない

これは管理職にも言えます。

部下が、

「Aさんとうまくいきません」

と言った。

上司がすぐAさんを呼び出す。

「仕事が多すぎます」

と言った。

すぐ別の社員に仕事を振る。

「この仕事、難しいです」

と言った。

上司が代わりにやる。

これを続けていたら、どうなるでしょう。

部下のお困りごとは減るでしょう。

でも同時に、

本人が解決すべき問題まで、上司の仕事になっていきます。

私は、管理職の大切な仕事の一つは、

「困っているなら私が解決してあげる」

ではなく、

「これは誰が解決する問題なのかを見極めること」

だと思っています。

自分で解決する問題。

部下本人に考えさせる問題。

チームで解決する問題。

会社に上げる問題。

そして、

「それは会社が引き受ける問題ではありません」と言うべきもの。

その仕分けが必要なのです。



「良いこと」と「私たちがやるべきこと」は違う

外国人の子どもに日本語を教える。

それ自体は、良いことでしょう。

困っている人を助ける。

それも良いことです。

でも、組織を運営するとき、

「良いことだからやる」

だけでは済みません。

人も限られている。

時間も限られている。

お金も限られている。

だからこそ、

「それは重要です」

の次に、

「それを解決するのは誰ですか?」

と聞かなければならない。

これは国でも会社でも同じではないでしょうか。

すべてのお困りごとを引き受けることはできません。

だったら、

誰の、どのお困りごとを、誰の責任で解決するのか。

そこを決めることこそ、マネジメントなのだと思います。


明日、職場で一度だけ聞いてみてください

誰かから、

「○○で困っています」

と言われたとき。

すぐに、

「じゃあどうしましょうか」

と解決策を考えない。

その前に、一度だけ聞いてみる。

「これは、誰が解決する問題なんだろう?」

それだけで、仕事の見え方がかなり変わります。

本人が考えるべきことまで会社が抱えていないか。

他部署の責任まで自分たちが引き受けていないか。

取引先のお困りごとのために、自社の社員が疲弊していないか。

上司が部下のお困りごとを全部背負っていないか。

「やるべきこと」を増やす前に、

「やらなくていいこと」を見つける。

それも、仕事です。


このnoteをフォローすると、ニュースの見え方が「仕事」に変わります

私はこのnoteで、

「このニュースについて、私はこう思います」

だけを書きたいわけではありません。

ニュースを見て、

「これ、会社でも起きていないか?」

まで持ち帰ります。

政治。

企業不祥事。

裁判。

炎上。

経営者の発言。

社会で起きている出来事を材料に、

明日の仕事で使える“問い”に変換する。

今回なら、

「そのお困りごと、誰が解決する問題ですか?」

です。

ニュースは翌日には古くなります。

でも、そこから取り出した「仕事の考え方」は、明日も使えます。

そんな問いをこれからも積み上げていきます。

ニュースを読むだけで終わらせず、自分の仕事に持って帰りたい方は、フォローしておいてください。

次に似た出来事が起きたとき、

「あ、これ前に読んだあの構造だ」

と気づけるようになります。


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部長と課長、何が違うの?――困って相談したのに「あなたの問題でしょ」と返す上司たち

「上司に相談したら『あなたの問題でしょ』――管理職って、何のためにいるんですか?」

今回の記事と、ぜひセットで読んでほしいテーマです。

今回私は、

「何でも会社や上司が引き受ければいいわけではない」

と書きました。

では逆に、

上司が何でも、

「それ、あなたの問題でしょ」

と突き放すのは正しいのでしょうか。

もちろん違います。

重要なのは、

「誰の問題なのか」を正しく仕分けること。

部下自身が解決すべき問題なのか。

管理職が引き受けるべき問題なのか。

組織として解決すべき問題なのか。

この二つの記事を続けて読むと、

「管理職は、どこまで部下のお困りごとを引き受けるべきなのか」

が、より立体的に見えてくると思います。


今日の問い。

あなたの会社がいま一生懸命解決しているその問題。

本当に、あなたの会社が解決する問題ですか?

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