日本史で最も出るのに、最も後回しにされる範囲|近現代の誤文訂正ドリル50問
日本史の学習には、構造的な欠陥があります。
最も出題される範囲が、最後に回ってくる。
近現代は共通テストでも私大でも配点が大きい。それなのに授業で扱われるのは秋以降で、演習量を積む前に本番が来る。「幕末までは得意だけど昭和が曖昧」という状態で受験する人が毎年大量に出るのは、努力不足ではなく順番の問題です。
そして近現代には、もう一つ厄介な性質があります。
内閣と政策がずれても、文としては自然に読めてしまう。
1927年、大蔵大臣井上準之助の失言をきっかけに取り付け騒ぎが起こり、金融恐慌に発展した。
この文に違和感を持てるでしょうか。
正解は「井上準之助」が誤りです。失言したのは片岡直温蔵相。井上準之助は1930年の金解禁を断行した人物で、3年ずれています。
どちらも昭和初期の蔵相で、どちらも経済政策に関わっている。だから知識が曖昧なまま読むと、すんなり通ってしまう。近現代の誤文は、この「もっともらしさ」で作られています。
この教材がやること
本書は50問すべてが、原則として誤文です。
やることは3つ。
1. 誤り箇所に線を引く
2. 正しい内容を言う
3. なぜそこが狙われたのかを言語化する
3つ目が核心です。正誤問題の誤りには7つの決まった型があり、そのほとんどがどれかに当てはまります。
|型 |内容 |近現代での典型例 |
|①年号ずらし |出来事の順序を入れ替える |条約改正の順序を変える |
|②人物すり替え |同時代の別人に差し替える |陸奥宗光と小村寿太郎を交換 |
|③内閣すり替え |政策を隣の内閣のものにする|二十一カ条を寺内内閣とする |
|④条約内容の混同|似た条約の条文を交換する |和親条約に通商条約の開港地を混ぜる|
|⑤数値改変 |税率・比率・年齢を変える |選挙権を20歳とする |
|⑥因果の逆転 |原因と結果を入れ替える |米騒動の結果シベリア出兵とする |
|⑦範囲の拡大 |「すべて」「初めて」を足す|原敬を「初の政党内閣」とする |
全50問に、どの型かが明記してあります。型が身につくと、初見の文でも「ここが怪しい」と当たりをつけられるようになります。
中身を確かめてください(サンプル2問)
サンプル1
1894年、外相小村寿太郎は日英通商航海条約を結んで領事裁判権の撤廃に成功し、あわせて関税自主権も完全に回復した。
• 誤り箇所:小村寿太郎/関税自主権も完全に回復
• 正しくは:1894年の日英通商航海条約は陸奥宗光による。このとき回復したのは領事裁判権の撤廃と関税の一部引き上げにとどまり、関税自主権の完全回復は1911年・小村寿太郎。
• 型:②人物すり替え/⑦成果の拡大
• +α:調印は日清戦争開戦(1894年8月)の直前(7月)。イギリスがロシア南下を警戒して応じた点が背景。
サンプル2
ポーツマス条約で日本は樺太全島と多額の賠償金を獲得したが、国民は不満を抱き日比谷焼打ち事件が起こった。
• 誤り箇所:樺太全島/多額の賠償金
• 正しくは:獲得したのは北緯50度以南の南樺太のみで、賠償金は一切得られなかった。だからこそ焼打ち事件が起きた。
• 型:⑥因果の不整合
• +α:他に韓国に対する指導・監督権、旅順・大連の租借権、長春以南の鉄道利権。全権は小村寿太郎、仲介はセオドア=ローズヴェルト。
この密度で50問あります。
|章 |範囲 |問数|
|---|---------|--|
|第1章|幕末 |8 |
|第2章|明治初期の諸改革 |10|
|第3章|立憲体制と条約改正|10|
|第4章|大正デモクラシー |8 |
|第5章|昭和戦前 |8 |
|第6章|戦後 |6 |
巻末には間違えやすいペア総整理の一覧表がついています。陸奥宗光と小村寿太郎、柳条湖事件と盧溝橋事件、皇道派と統制派。交換されやすい組だけを抜き出した表で、直前期はここだけ回せば足ります。
正文も混ぜてあります
50問のうち8問は、あえて正しい文です。
全問が誤文だと「どこかが間違っているはず」という前提で読む癖がつき、本番で機能しなくなります。正文には「本番ではここがこう改変される」という注記をつけてあるので、改変ポイントの予測練習になります。
こんな人に向いています
• 近現代の演習量が足りていない自覚がある
• 内閣と政策の対応が曖昧なまま来てしまった
• 共通テストで8割の壁を破りたい
• MARCH・関関同立・早慶上智の細かい選択肢に対応したい
向いていない人
• 近現代をまだ一度も通していない人
→ 先に教科書か講義で一周してください。本書はその後の演習用です。
• 産近甲龍・日東駒専レベルまでで十分な人
→ 難関私大向けに密度を上げているためオーバースペックです。
980円(50問/全問に解説・型の分析・補足つき)
古代・中世・近世・文化史編もそれぞれ980円で販売しています。
5巻セット(250問)は1,800円なので、2巻以上買う予定があればセットのほうが安くなります。
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