ハインリヒ・ヒムラーのポズナン演説(ポーゼン演説)と、その否定論について。
註:上の写真は、今回のポズナン演説のものではありません。こちらによると、1944年10月に国民突撃隊に訓示を述べている時のものだそうです。本記事は2020年10月31日に公開したものですが、今回(2023年7月)、翻訳を含め全面的に改訂しています。
この記事で扱う「ハインリヒ・ヒムラーのポズナン演説(ポーゼン演説)」とは、ヒムラーがユダヤ人絶滅について、ナチスがしばしば用いた隠語表現を用いずに、ヒムラーが直接的な表現を用いて語った演説とされるものです。この演説は録音記録が残っていて、間違いなくヒムラーが語ったものであるとされています。
以下に英語版ウィキペディアから、冒頭と概要部分だけを翻訳紹介します。
ポーゼン演説は、ナチス・ドイツの親衛隊全国指導者のハインリヒ・ヒムラーが1943年10月4日と6日に、ドイツ占領下のポーゼン(ポズナン)の市庁舎で行った2つの演説である。この録音は、ヒトラー内閣の閣僚が、絶滅収容所でのユダヤ人絶滅の継続について語った最初の文書として知られている。この記録は、ドイツ政府がホロコーストを望み、計画し、実行したことを示している。
概要
1943年10月のポーゼン演説は、親衛隊全国指導者ハインリヒ・ヒムラーがナチ党幹部の前で行った、様々な形で得られた132の演説のうちの2つである[1]。最初の演説は92人のSS将校の前で、2回目の演説は国家指導者(Reichsleiters)や大管区指導者(Gauleiters)、その他の政府代表の前で行われた[2]。これらは、ヒムラーの「最終的解決の設計者」としての役割と、今後SS国家によって支援されるエリート民族の先見性を示すものであり、戦時中のヒムラーの演説の中で最も重要なもののいくつかを構成している[3]。
ユダヤ人虐殺はどちらの作品でも中心的なテーマではないが、どちらもユダヤ人虐殺に関連して歴史的な意味を持つ。ヒムラーは通常の婉曲表現[4]を排し、ナチスの歴史的使命として描いた大量殺人によるユダヤ人絶滅について明確に語った。この関係は、1943年12月から1944年6月にかけてドイツ国防軍の指揮官に対して行われた5つの演説で明らかになった[5]。文献上では、1970年まで最初の演説だけが「ポーゼン演説」として知られていた。このとき発覚した第二演説は、しばしば第一演説と間違えられたり、同一視されたりする[要出典]。
このポーゼン演説は、結構長いそうなのですが、ホロコースト議論で扱われるのはそのうちの2分程度の部分だけです。この部分で、ヒムラーは「つまり「ユダヤ人の疎開(Judenevakuierung)」のことであり、ユダヤ民族の絶滅(Ausrottung)である」と述べているので、絶滅主義者(つまり普通の歴史家たち)は、ヒムラーがユダヤ人絶滅を直接語っている、しかも隠語である「疎開(evakuierung)」は「絶滅(Ausrottung)」のことだとも語っているので、これは紛れも無いナチスドイツによるユダヤ人絶滅の証拠だと見做します。
もちろん、否定派はそうは読みません。否定派は一般に、こうした証拠について二つの戦略を採ります。一つは、その証拠とされる対象を「捏造」とする方法です。しかしポーゼン演説は録音記録が残っているので、捏造とするのはなかなか難しいものがあるため、第二の方法である「解釈」に訴えます。この解釈は、修正主義者によってその内容は異なる(下記註参照)のですが、一般的にはドイツ語の「Ausrottung」という単語の翻訳には様々な訳し方があることを利用し、正史派は訳を誤っているとします。
註:
ドイツ人は、「Ausrottung」を文字通りにしか読めない(当たり前の話ですが)ので、非ドイツ人のように「誤訳」をする事はできません。ドイツ人の否定派は、文脈の解釈によって証拠であることを否定します。しかしこの話は、日本語で言えば「殺す」を考えると分かりやすいと思います。「殺す」には、「生物を死に至らしめる」の意味ですが、他の表現でも用いられ、「牽制球で塁上のランナーを殺す」「誉め殺し」などのような様々な他の用法もあります。ところが、例えば「殺戮」と書くと、この言葉には「生物を死に至らしめる」のニュアンスが非常に強くなり、他の意味では用いにくくなります。「Ausrottung」というドイツ語はこれと似ていて、他の使い方もできなくはありませんが、今回の翻訳記事中に出てくる独英辞書に列挙された日本語意味を見ればわかるように、「Ausrottung」は非常に強い意味を持つのです。また、「殺す」はその強い印象から、例えば「自殺」という表現を用いず「自死」という表現に置き換えられることがあります。あるいは、サッカーでは今では「オウンゴール」と呼ばれているのが、以前は「自殺点」だったことを思い出すと良いかもしれません。このように、その言葉が持つ本来の意味・目的・印象などを考えれば、否定派がおよそ不適当なことを言っていることがわかりやすくなるかと思います。
それでは、ポーゼン演説の紹介とともに、否定派の解釈の仕方、それへの反論などを見ていきましょう。なお、ポーゼン演説の日本語への翻訳については、その翻訳自体が問題となることから、出来る限り機械翻訳(DeepL)のままとしたかったのですが、DeepLではうまく訳せないことがあったり、分かり難い文章になってしまうことがあったため、いつも通り、こちらの方で翻訳をし直しています。
▼翻訳開始▼
ハインリヒ・ヒムラーのポズナン演説全文
以下は、1943年10月4日のハインリッヒ・ヒムラーのポズナン演説のQuickTimeムービーの全文である。
1943年10月4日
ポズナン、ポーランド
ナチス・ドイツで2番目の権力を持つハインリヒ・ヒムラー全国指導者親衛隊長は、親衛隊幹部と3時間にわたって秘密会議を開いた。
ヒムラーの記録は戦争を生き延びた。それは現在、メリーランド州カレッジパークの国立公文書館にある。
あなたが聞いているものは編集されていない。
ヒムラーは兵器工場についての話を終えている。
彼は、ユダヤ人絶滅に期待する忠誠心を将校たちに思い出させようとしている。
翻訳者註:以下は、原文記事ではドイツ語文と英語文が横に隣り合うように二列に並べられていますが、noteではそのような編集は不可能なので、
上段白抜き丸数字:ドイツ語(からの日本語訳)
下段黒ぬき丸数字:英訳(からの日本語訳)
として一文・センテンス毎に示しています。日本語に訳すにあたっては、ドイツ語の「Ausrottung」は、多くの否定派がそのようには訳さないとして拒否している「絶滅」の言葉を当てています。否定派の訳し方については後述しています。
①私はまた、皆さんの前で、非常に困難な章についても率直に述べたいと思う。
❶私はまた、ここで皆さんに非常に難しいテーマを率直に申し上げたい。
②それは我々の間で話すべきことなのに、公の場では決して話さない。
❷それは我々の間で議論されるべきことなのに、それにもかかわらず、我々は決して公の場でそれを口にしない。
③ちょうど6月30日、我々が命令された義務を果たすことに躊躇せず、失敗した仲間を壁際に追いやり、射殺したように。
❸ちょうど6月30日、我々が命令されたとおりに任務を遂行し、失敗した仲間を壁際に立たせ、射殺することに躊躇しなかったように。
④我々はそのことについて話したことがないし、これからも話すことはないだろう。
❹これまで我々は話したこともないし、これからも話すことはないだろう。
⑤それは神から授かった機転であり、機転を利かせることの自然さであったから、我々の間では決して話題にすることはなく、口にすることもなく、誰もが震え上がり、次に命じられたとき、必要なときにはまた同じことをすると誰もがはっきり言ったのだ。
❺それは、ありがたいことに、我々にとって当然の機転の一種であり、その機転の当然の結論であり、我々の間でそのことについて会話したことは一度もなく、口にしたこともなく、誰もが戦慄し、次もまた、命令され必要であれば、同じことをすると誰もが明言していた。
⑥つまり「ユダヤ人の疎開(Judenevakuierung)」のことであり、ユダヤ民族の絶滅(Ausrottung)である。
❻私が言っているのは、「ユダヤ人の疎開(Jewish evacuation)」、つまりユダヤ人の絶滅(extermination)についてである。
⑦言うのは簡単なことだ。「ユダヤ人は絶滅される(ausgerottet)」、 党の同志なら誰でも言うだろう、「それは明らかで、我々のプログラムにもある、ユダヤ人を排除し、絶滅だ(Ausrottung)、やりましょう、プファッ!、些細なことだが」と。
❼それは簡単に言うことのひとつだ。「ユダヤ人は絶滅させられている(exterminated)」、どの党員も言うだろう、「完全に明らかに、それは我々の計画の一部だ、 我々はユダヤ人を排除し、絶滅させる(exterminating)、はっ!、些細なことだがな」と。
⑧そして、8000万人の善良なドイツ人がやってきて、誰もがまともなユダヤ人を手に入れた。言うんだ:他のやつらはみんな豚だ。そしてここに素晴らしいユダヤ人がいる。
❽そして、8000万人の真っ当なドイツ人たちがやってきて、それぞれにまともなユダヤ人がいる。他の連中はみんな豚だが、ここには一流のユダヤ人がいる。
⑨そして誰もそれを見ず、誰もそれを経験しなかった。100体の死体が一緒に横たわっているとき、500体の死体が横たわっているとき、1000体の死体が横たわっているとき、それが何を意味するのか、ほとんどの人は知っているだろう。そして、このことに耐え忍び、例外的な人間的弱点を除けば、まともであり続けたことが、我々をタフにし、決して口にされることのない栄光なのだ。
❾そして誰もそれを見たことがなく、耐えたことがない。あなた方の多くは、100の死体が一緒に横たわるとき、500の死体が横たわるとき、1000の死体が横たわるときの意味を知っているだろう。そしてこれを見届け、--人間的な弱さを除いて--まともであり続けたことは、我々を結束させ、決して語られることのない栄光の1ページとなった。
⑩なぜなら、もし今日でもユダヤ人が秘密破壊工作員、扇動家、扇動家として各都市に存在し、空襲にさらされ、戦争の重荷を背負い、窮乏にあえいでいるとしたら、われわれにとってどれほど困難なことであるか、われわれは知っているからである。もしユダヤ人がまだドイツの国体に居座っていたとしたら、我々はおそらく16/17年の段階に達していただろう。
➓なぜなら、もし今日、爆弾攻撃や戦争の重荷や窮乏の中にあるすべての都市に、秘密の破壊工作員、扇動者、扇動者としてのユダヤ人がまだいたとしたら、事態がどれほど困難なものになるか、我々は知っているからだ。もしユダヤ人がまだドイツ国民の体内に存在していたとしたら、我々はおそらく1916-17年と同じ段階にいただろう。
⑪彼らが持っていた富を、我々は彼らから奪った、 そして私は厳命した、ポール親衛隊大将が実行したことで、我々はこれらの富を完全に帝国に引き渡した、 国に支払う。我々はそこから何も得ていない。失敗した人は、私が最初に与えた命令に従って、次のことを行うだろう、その刻印をひとつでも受けた者は死ぬ運命にある。
⓫我々は彼らの持っていた富を取り上げ、私は厳命した、ポール親衛隊大将が実行したことだ、 我々はこれらの富を完全に帝国に、国家に引き渡した。我々は彼らから何も奪っていない。これに反した少数の者は、命令に従って[裁かれる]、冒頭で述べたとおりだ: この刻印を1つでも取る者は死人である。
⑫一方、親衛隊の何人かは失敗した。その数はそれほど多くないので、彼らは死刑になるだろう、容赦なく! 我々には道徳的権利がある、我々を殺そうとした連中を殺す、国民に対する義務があった。しかし、毛皮、印、タバコ、時計、その他何であろうと、自分自身を豊かにする権利はない。我々にはそれがない。なぜなら、病原菌を絶滅する(ausrotten)ために、病原菌に感染して死んでしまうという結末は避けたいからだ。
⓬何人かのSS隊員がこの命令に反抗している。その数はそれほど多くはなく、彼らは死者となるだろう、容赦なく! 我々には道義的な権利があり、 我々を殺そうとした連中を殺す、国民に対する義務があった。しかし、毛皮一枚、印一つ、タバコ一本、時計一本、どんなものでも自分たちを豊かにする権利はない。我々にはないものだ。なぜなら、せっかく病原菌を絶滅させる(exterminated)のに、同じ病原菌に感染して病気になったり死んだりするのは避けたいからだ。
⑬そこでは、少しでも腐敗が入り込んだり、定着したりするようなことは決してない。しかし、ひとつが定着すべきところでは、一緒にそれを焼き尽くそう。しかし、全体として言えることはある: 我々はこの最も困難な仕事を、国民への愛のために行ってきた。そして、我々の内面、魂、人格にいかなる損害も与えていない。
⓭腐敗したものが少しでも我々に接触したり、我々の中に根を下ろしたりするのを、私は決して見ることはない。逆に、それが根を下ろそうとするところでは、一緒に焼き尽くそう。しかし、全体として言えることはある:我々は、国民の愛のために、この最も困難な任務を遂行してきた。そして我々は、我々の内面、我々の魂、我々の人格にいかなる欠陥も背負っていない。
▲翻訳終了▲
▼翻訳開始▼
ポズナン(ポーゼン)でのハインリヒ・ヒムラーの演説
「我々はユダヤ人を排除し、
彼らを絶滅させてしまうんだ、
はっ! 些細なことだがな」
1943年10月4日、ハインリヒ・ヒムラー親衛隊全国指導者は、ポーランドのポズナンで開かれた親衛隊将校の秘密会議で演説を行った。この演説で彼は、現在進行中のユダヤ人絶滅について率直に語った。
これは、ホロコーストに関する最も恐ろしい文書のひとつである。
ホロコースト歴史プロジェクトは、QuickTimeムービー形式の視聴覚プレゼンテーションを用意した。オリジナルのドイツ語と翻訳された英語のテキストが、オーディオレコードの再生に合わせて表示される。この動画とそれに付随する背景情報は、学生や研究者、あるいはこの歴史的文書に興味を持つすべての人のために公開されている。
ハインリヒ・ヒムラーの伝記を読むと興味を持たれるかもしれない。
スピーチ全文(日本語訳は前項の記事)は英語とドイツ語でも読める。
私たちの翻訳についての質問は? ホロコースト否定論者は、想像的な解釈によって、この演説の意味を回避しようとしている。私たちは、ヒムラーの演説と「ausrotten」についての解説(日本語訳は後述)を提供している。
ムービー
(翻訳者註:ヒムラーの演説録音記録の動画ダウンロードは原文サイトから行ってください)
何を聞いているのか
この5分半でヒムラーが何を言っているのかを理解するために、彼の意味の概略をざっと読んでおくとよいだろう。この言い換えは口語的すぎるかもしれないが、構成は理解を助けるかもしれない:
難しい秘密も率直に話す
「長いナイフの夜」(6月30日)も難しかった
しかし、私たちは当然、それを秘密にしておくことを知っていた
誰もが自分の義務を知っていた「ユダヤ人の疎開」はユダヤ人の絶滅である
軽く考えすぎる人もいる
「善良なユダヤ人」のために例外を作ろうとする者もいる
彼らは殺害と死体を目撃していない
私たちはそれを見てきたユダヤ人はドイツを機能不全に陥れる。
ユダヤ人は第一次世界大戦で我々を裏切ったユダヤの富はすべて国家のため
私たち(個人)は盗まない。
数人が盗用し、処刑されている
そんなことをすれば、誰でも処刑される
我々には殺す義務はあるが、利益を得る権利はない
ユダヤ人の富は我々に伝染する
われわれはドイツを愛するためにこれを行うのであって、個人的な利益のために行うのではない
だから我々は強く純粋であり続ける
この文章から厳密に推測すると、当時進行中であったホロコーストに言及したヒムラーの意図は明らかであった。彼は、殺人を犯している部下である将校たちに、犠牲者からの窃盗をゼロ容認する方針を徹底するよう促していたのである。その過程で、彼はこの作戦における秘密主義と冷酷さの両方の重要性を強調した。
しかし、ここにも裏がある。ヒムラーは、この非公開の会議の前に、この作戦を公然と説明することで、聴衆も犯罪に巻き込まれることを確実にしたのである。罪の意識を広めるのは、よく知られた説得のテクニックである。ギャングが新メンバーに重大な犯罪を犯させるといわれるように、ヒムラーは、聴いている全員に、自分たちはみんな一緒だとわからせていたのである。
その絆の重要性は、彼が秘密について頻繁に言及していることや、「我々」(まともで、堅く、栄光に満ち、秘密を守るための自明の「機転」を持つ)と「彼ら」(ふさわしくないSS隊員、病気で、失敗し、処刑された)の区別からも明らかである。
その場にいた将校の「ほとんど」が、100人、500人、1000人の犠牲者の死体を見たかどうかは疑問である。この発言が事実であろうとなかろうと、殺戮に参加していない聴衆は少数派であると感じさせられ、その結果、ヒムラーはおそらく、犯されている恐怖について発言しにくくなることを期待していたのであろう。
注意点
「ポーゼン」対「ポズナン」: ポズナンは会議が開かれた町のポーランド名である。ポーゼンは、1939年にドイツ軍が現在のポーランドの西半分に侵攻し、占領した際につけた名前である。どちらの名前も正しい。

「6月30日」:「6月30日」が1934年の「長いナイフの夜」を指していることは、当時聞いていた誰もが知っていただろう。その日、ヒトラーはSAのリーダーであったエルンスト・レームとその仲間の少なくとも77人の「裏切り者」の逮捕と処刑を命じた。レームがその組織を率いてナチス政府に対抗しようとするのを恐れたからだ。
ヒムラーはここで、ナチ党から裏切り者を粛清するという困難な仕事を、何百万人ものユダヤ人の大量殺害と比較している。いずれにせよ、将校や兵士は命令されたとおりに行動し、沈黙を守らなければならない、と言っているのだ。
Aus...schaltung:ヒムラーは、ユダヤ人絶滅を軽んじるドイツ人を嘲笑しながら、「Aus...schaltung der Juden, Ausrottung, machen wir」(ユダヤ人の排除、絶滅こそわれわれがやっていることだ)と言って、ドイツ人を真似た。彼が 「Ausschaltung」(排除)という言葉の途中で躊躇しているのは、プライベートで話しているのだから、両方の言葉を使っても構わないという、素早い心の確認であるようだ。
これは、1943年2月18日にベルリンのスポルトパラストで行われた、ヨーゼフ・ゲッベルスによる有名な、そして非常に公的な「総力戦」演説の一瞬を彷彿とさせる、 そこで彼は「Ausrottung des Judentums」(「ユダヤ人の絶滅」)と言い始めたが、すぐに「Ausschaltung」に切り替えた。この短いMP3で聴くことができる結果は、「Ausrott...schaltung des Judentums」(ユダヤ人の絶め...排除)のようなものだった。
笑い? ヒムラーが「一流のユダヤ人」を知っていると思っているドイツ人がいると皮肉った後、聴衆から笑い声のようなものが聞こえる。しばらくして、同じような音がする。私たちの意見では、どちらの音かを確実に判断するのは難しい。(ヒムラーや観客の)咳かもしれないし、マイクの近くの何かが動いたのかもしれない。しかしながら、このタイミングは不穏当で、少なくとも最初の音は確かに笑い声に聞こえる。
「[裁かれる]」:ドイツ語の動詞は文末に現れるが、話し言葉の文章が複雑になりすぎると、動詞が抜けてしまうことがある。ヒムラーはこの文章で実際に動詞を口にすることはない。しかし、彼の意図する意味は明らかである。
録音について
演説は蓄音機式のディスクかテープに録音された。リチャード・ブライトマンは(『大量虐殺の設計者』1991年、242頁に)、「赤い酸化テープ」が戦争後期にヒムラーによって使われたと書いている。しかし、ブライトマンのこの情報の出典は示されていない。
アメリカ国立公文書館によれば、ディスクが最もよく使われているが、これはテープがオリジナル・ソースになることもあったということだろう:
オリジナル・レコーディングのほとんどは、2台1組のディスク・レコーディング・マシンで行われた。…すべての素材はテープに録音し直された。
ヒムラーの録音は、コレクションの中で最も数が多い(オリジナルのディスクとテープが500本以上)だけでなく...
特にヒムラーが「gnadenlos」(容赦なく)と叫んだときなど、演説の大きな部分でかすかに前後の反響が聞こえる。これは、リールに巻かれた2、3層のテープからにじみ出た磁気的な印象によるもので、私たちの録音ソースがテープの上で何年も経過したことを示している。それがヒムラーのオリジナルテープなのか、1970年代に作られた国立公文書館のマスターテープなのかは、現時点では不明である。
同じ国立公文書館のウェブページに、このスピーチのリストがある:
12. Himmler, Heinrich. "Speech to the SS Officers" ("Rede zu den SS Fuhrern"). Posen, Oct. 4, 1943. Approx. 190 min. Item 242-256, 242-259, 242-257, 242-251, 242-252, 242-249, 242-264, 242-263, 242-250, 242-266, 242-180. The speech has been published in IMT, Trial of the Major War Criminals (Nuernberg, 1947-49), vol. 29, p. 110-173.
この記録のコピーは、メリーランド州カレッジパークの国立公文書館に手紙で注文することができる。研究者への注記:この原稿を書いている時点(2004年3月)では、Record Group 242のすべてがオンラインで検索できるわけではない。
質問?
ヒムラー演説、そのQuickTimeプレゼンテーション、またはこのウェブページの解説について質問があれば、気軽にEメール(註:このアドレスはメールアドレスではありません。THHP(The Holocaust History Project)は主催者のハリー・W・マザールの逝去に伴い閉鎖され、PHDN(Pratique de l’Histoire et Dévoiements Négationnistes)がTHHPサイトを保管公開しているだけです。このリンクは、THHPが実施していたQ&Aに差し替えられています)にて問い合わせてほしい。
▲翻訳終了▲
▼翻訳開始▼
ホロコースト否定、ポズナン演説、そして我々の翻訳
ホロコースト否定論者は、ヨーロッパのユダヤ人を絶滅させるというナチスの計画はなかったと主張する。ポズナン(「ポーゼン」とも表記される)で行われたこの演説(日本語訳は前項の記事)を説明するのは非常に難しい。――その中で、ハインリヒ・ヒムラーは「ユダヤ人の絶滅」について語り、「我々はユダヤ人を排除する、絶滅させる」と率直に語っている。
この演説を否定するために、ホロコースト否定派はその翻訳に異議を唱えるだろう。だから、読者は、ヒムラーの正確な言葉を読むために立ち止まるべきである:
翻訳者註:以下は、原文記事ではドイツ語文と英語文が横に隣り合うように二列に並べられていますが、noteではそのような編集は不可能なので、
上段白丸:ドイツ語
下段黒丸:英訳
として一文・センテンス毎に示し、その下に日本語訳を示しています。ドイツ語の「Ausrottung」は、多くの否定派がそのようには訳さないとして拒否している「絶滅」の言葉を当てています。否定派の訳し方については後述しています。
○Ich meine die "Judenevakuierung": die Ausrottung des jüdischen Volkes.
つまり、「ユダヤ人の疎開」、すなわちユダヤ民族の絶滅である。
●I am talking about the "Jewish evacuation": the extermination of the Jewish people.
私が言っているのは、「ユダヤ人の疎開」、つまりユダヤ人の絶滅についてである。
○...ganz klar, steht in unserem Programm drin, Ausschaltung der Juden, Ausrottung, machen wir...
......はっきり言って、それは我々のプログラムにある、 ユダヤ人の排除、絶滅、そうしよう......
● ...perfectly clear, it's part of our plans, we're eliminating the Jews, exterminating them...
...完全に明らかに、これは我々の計画の一部であり、ユダヤ人を排除し、絶滅させる...
○...wir hatten die Pflicht unserem Volk gengenüber das zu tun, dieses Volk, das uns umbringen wollte, umzubringen.
....我々を殺そうとした連中を殺す、国民に対する義務があった。
●...we had the duty to our people to do it, to kill this people who wanted to kill us.
...我々を殺そうとした連中を殺す、国民に対する義務があった。
○...wir wollen nicht am Schluss, weil wir den Bazillus ausrotten, an dem Bazillus krank werden und sterben.
....我々は、病原菌を絶滅させるために、病原菌によって病気になり、死ぬという結末は避けたい。
● ...at the end of this, we don't want, because we exterminated the bacillus, to become sick and die from the same bacillus.
......最後に、私たちは病原菌を絶滅させたからといって、同じ病原菌に感染して病気になり、死にたくはない。
ホロコースト否定論者は、証拠を詭弁で覆い隠すことを知らないわけではなく、この演説も例外ではない。彼らの主張は大きく分けて3つある。
まず、彼らは時折、このスピーチは偽造だと主張する。
そんなことはあり得ない――原盤はメリーランド州カレッジパークの米国国立公文書館に所蔵されている。希望者は、筆者のように国立公文書記録協会に手紙を送り、カセットテープのコピーを入手することができる。声は明らかにヒムラーのものであり、演説のメモは3時間全体(この部分を含む)をカバーしており、このテープが偽造あるいは編集されたものであることを示す証拠は何一つない。
この道を歩もうとする否定派でさえ、足元をすくわれる。例えば、デヴィッド・アーヴィングは1988年の証言台(註:ツンデル裁判のこと)で、スピーチは正確だったかと質問された。アーヴィングは自己満足の機会を逃さない人だったが、自分の見当違いの疑いを、ヒムラーの手書きのメモと記録についての、ちょっとしたたかな解説にとどめた。
彼はおそらく録音を聞いていなかっただろうし、その完全性を非難することもできなかった。
第二に、ヒムラーは単に文字通りに受け取ってはいけない――彼は誇張していた、あるいは比喩的に話していたのだ、と主張しようとする。
これは不可解だ。この議論をしようとする人たちは、演説を聞いたり読んだりしたことがあるのだろうか?
ハインリヒ・ヒムラーは、ユダヤ人がバクテリアのように絶滅させられていること、死体が一度に何百と積み重なっていること、ユダヤ人を殺さなければならないこと、これはSSにとって偉大で秘密の栄光であることなど、明白な事実を語っている。装飾や比喩的な表現だと主張しても説得力はない。
なぜ彼が? 彼はSS隊員に、強くあれ、しゃべるな、盗むな、と言うためにこの話題に触れているのだ。もし誰かが美辞麗句を強調するために論点を誇張するなら、それはその人が主張しようとしている点を誇張しているのであって、別の点を誇張しているのではない。
ヒムラーはこの箇所で、ユダヤ人の死体から「毛皮一枚、印一つ、煙草一本」を持ち去ったSS隊員に対する罰として死を描写した。SSがタバコを1本取ったからといって、本当に自軍の兵士を射殺するだろうか? おそらくそんなことはないだろう。これがヒムラーの主張を後押しした。
しかし、ホロコーストの範囲や効果を誇張したり、ユダヤ人に対する国家の最終的な意図について真っ赤な嘘をついたりすることはないだろう。
実際、もしユダヤ人が実際に絶滅させられていなかったとしたら、ナチス政権に関する連合国側の最悪のプロパガンダを観客が確認するのは、控えめに言っても気が散って混乱しただろう。ヒムラーにしてみれば、自分が言いたかったことがわからなくなり、SS将校の聴衆にユダヤ人に関する自分たちの任務とはいったい何なのかと疑問を抱かせることになっただろう。
それは非常に馬鹿げているので、この議論は意味がない。
第三に、彼らは、「Ausrottung」という言葉は実際には「絶滅」を意味するのではなく、「強制移住」や「強制送還」を意味すると主張している。たとえば、デヴィッド・アーヴィングはこう言っている:
アーヴィングは、「stamping out」(根絶する)あるいは「rooting out」(根絶やしにする)というのが本当の意味だと主張している。
「誤訳」が主な主張であり、それを崩すのは簡単だ。これら以外にも主張はある(そしてそれらはすべて、この主要な3つがそうであるように、互いに矛盾しがちである)。しかし、これらは主要な3つである。
そこで、訳語、特に「Ausrottung」という単語をよく見てみよう。
動詞「ausrotten」またはその名詞「Ausrottung」は、生物に関する文脈では、殺すことを指す。そして、単なる殺戮ではなく、特に徹底的な破壊であり、何かを根絶し、二度と復活できないようにする方法である。
これは通常「絶滅」と訳され、「Ausrottung」の完全で取り消し不能な消滅という性格をおそらく見逃しているが、おそらく最良の英訳であろう。
ホロコースト否定派の主張は、「Ausrottung」とは単にユダヤ人の強制送還のことであり、ユダヤ人を殺すことではない。言い換えれば、彼らはこう言うであろう:
翻訳者註:以下では問題になるのが英訳なので、英訳のみ日本語翻訳を追加した。
正しい
○Ich meine die "Judenevakuierung": die Ausrottung des jüdischen Volkes.
●I am talking about the "Jewish evacuation": the extermination of the Jewish people.
私が言っているのは、「ユダヤ人の疎開」、つまりユダヤ人の絶滅についてである。
○...ganz klar, steht in unserem Program drin, Ausschaltung der Juden, Ausrottung, machen wir...
●...perfectly clear, it's part of our plans, we're eliminating the Jews, exterminating them...
...完全に明らかに、これは我々の計画の一部であり、ユダヤ人を排除し、絶滅させる...
...彼らはそれをこう読むことを好むだろう:
誤り
○Ich meine die Judenevakuierung, die Ausrottung des jüdischen Volkes.
●I am talking about the Jewish evacuation, the deportation of the Jewish people.
私が言っているのは、「ユダヤ人の疎開」、つまりユダヤ人の強制送還についてである。
○...ganz klar, steht in unserem Program drin, Ausschaltung der Juden, Ausrottung, machen wir...
●...perfectly clear, it's part of our plans, we're "cutting out" the Jews, uprooting them...
...完全に明らかに、それは我々の計画の一部だ、我々はユダヤ人を「切り捨て」、彼らを根絶やしにしている...
ヒムラーが1943年にこのようなことを言うのは、ホロコーストの歴史という広い文脈の中では意味をなさないが、もちろん、その歴史はホロコースト否定派が否定していることなので、それはちょっと無視しておこう。彼らの翻訳が成り立たない具体的な理由をいくつかあげてみよう。
まず、単純に間違っている。私たちの言葉を鵜呑みにせず、ドイツ語を母国語とする人に聞いてみよう。(あるいはグーグルに聞いてみよう)。ドイツ語を母国語とする人たちは誰もこんなことには引っかからないし、ドイツ語を否定する人たちがドイツ語圏の聴衆にあえてそれを提案したこともない。
ドイツのホロコースト否定論者は、ドイツ語で書いているので、もちろん 「ausrotten」の意味を知っている。彼らは、殺戮、絶滅、消滅を表現するためにこの言葉を使う。ドイツのホロコースト否定論者が「ausrotten」をどのように表現しているのか、その例(日本語訳は後述)を挙げてみよう。
まだ読んでいるということは、おそらくドイツ語を母国語としない人だろう。健全な懐疑主義は良いことだ! 読み続けてみよう。
第二の理由は、ヒムラーの演説の流れに意味がないからである。彼が最初にユダヤ人の「Ausrottung」に言及したとき、ヒムラーは聴衆に完全な秘密の重要性を印象づけるために、丸々1分を費やしたところであった。(彼は、ナチスの大義に対する裏切り者がヒトラーの命令で逮捕され、銃殺された『長いナイフの夜』の記憶さえ呼び起こし、ナチスの戦争マシンでは、上官が下級将校を処刑することに何の問題もないことを、SS少将の聴衆に思い起こさせる。)
ドイツがユダヤ人の強制送還を望んでいることは、世界中の誰もが何年も前から知っていた。もし彼が話していたのが強制送還のことだけなら、なぜ彼は将校たちに秘密主義を強調したのだろうか?
暗号語「Judenevakuierung」の意味を説明するヒムラーの声に耳を傾けてほしい:誰もが聞いたことがあり、ほとんどの人が暗号だと知っているその暗号の言葉に、彼の声が上がる;ドラマチックな演出のために、彼は少し間を置いた;そして、それが本当に「絶滅」を意味していることを明かすと、声のトーンが落ちる。ここに婉曲表現があり、ここにその意味があると彼は述べている。
同じことを言葉を変えて二度言っただけだとしたら、なぜ最初のバージョンはストレートに言い、二度目のバージョンは重厚に言うのだろうか?
第三に、「ausrotten」(絶滅させる)という動詞は、2回だけでなく、この部分で3回使われている。最初の2回は名詞形の「die Ausrottung」(絶滅)である。3回目は最後のほうで、ヒムラーがこう言っている:
○...wir wollen nicht am Schluss, weil wir den Bazillus ausrotten, an dem Bazillus krank werden und sterben.
●...at the end of this, we don't want, because we (ausrotten) the bacillus, to become sick and die from the same bacillus.
......最後に、私たちは病原菌を(「ausrotten」)させたからといって、同じ病原菌に感染して病気になり、死にたくはない。
病原菌が強制送還されるなどというこの文章をうまく翻訳することは不可能だ。というのも、「ausrotten」は、病原菌であれユダヤ人であれ、生き物の文脈で使われる場合、殺すことによってそれらを完全に破壊することを意味するからである。
第四に、あらゆる優れたドイツ語辞書が、「ausrotten」は生物に適用され、殺害、絶滅、破壊を意味することを認めている。これは1972年のシュプラッハ・ブロックハウスで、名詞形「Ausrottung」を定義している:


die Ausrottung: völlige Vernichtung.
「Völlige Vernichtung」は「完全消滅」を意味する。
ホロコースト否定論者はたいてい、「ausrotten」は戦後意味が変わったと言う。(例えば、デイヴィッド・アーヴィングはこの戦術を試みており、「「ausrotten」という言葉は、1994年の今となっては一つの意味を持つが、アドルフ・ヒトラーが使っていた時代には全く違う意味だった」と書いている。)
では、1935年の同じ辞書を調べてみよう:


die Ausrottung: völlige Vernichtung.
変わったのは書体だけ。
しかし、シュプラッハ・ブロックハウスは小さな辞書であり、大した文脈を提供していない。より完全な辞書である『ミュレ・サンダース』を見てみよう。この辞書もドイツ語から英語への辞書なので、英語を話す人(この単語で混乱するのはこの人たちだけだろう)に最も役立つだろう。
以下は1906年と1974年の翻訳である:
翻訳者註:以下の引用内に追記した日本語訳は、その日本語訳が完全に対応するわけではなく、分かりやすくなるように示しているだけです。要は、これら独英辞書の中に「exterminate」系の意味が書いてあるということです。英語系の話者でないと分かり難い話なので、何となくで意味をとらえれば良いと思います。

ausrotten: I. 1. Unkraut [weeds]: to root out or up, to outroot, to uproot ...(根絶または根絶する、根絶する、根こそぎにする..) Volksstämme [races], Wölfe [wolves]: to exterminate.(絶滅させる)
2. fig. Mißbräuche [abuses]: to extirpate, eradicate, deracinate(根絶し、根絶し、非難し), auch: to weed out(淘汰するために); (zerstören, vernichten) to destroy(滅ぼす), annihilate(消滅させる).
II. das Ausrotten, die Ausrottung: rooting out(根こそぎ), &c; fig. extirpation, extermination, deracination, destruction(撲滅、絶滅、根絶、破壊).
Ausrotter: extirpator, exterminator(根絶させる者、絶滅させる者), &c; weeder-out; destroyer(破壊者).
Ausrottungskrieg: war of extermination(殲滅戦)

ausrotten: I. 1. (Unkraut [weeds] etc.) uproot(根こそぎ), tear (od. pull) (s.th.) up by the roots, root (s.th.) up(根で(引っ張る)(sth。)を引き裂き、根(s.th.)を上にする).
2. (Volk [a people], Rasse [race], etc.) exterminate(絶滅させる), wipe out(拭い取る), extirpate(駆逐): diese Krankheit rottete die ganze Bevölkerung aus this disease wiped out the entire population(疫病は人を滅ぼす); die Urbevölkerung des Landes wurde ausgerottet the native population of the country was exterminated (od. killed off)(国の先住民は絶滅した(または殺された)); etwas mit Stumpf und Stiel ausrotten auch fig. to destroy s.th. root and branch.
3. (Tiere [animals]) extirpate(駆除する).
4. (Übel [evils] etc) eradicate, stamp out, root out, extirpate, exterminate(根絶し、打ち抜き、根絶し、撲滅する、絶滅させる): ein Vorurteil ausrotten to eradicate a prejudice(偏見を根絶する); eine Krankheit ausrotten to(病を断つ) stamp (od. wipe) out a disease; dieses Übel muß man mit der Wurzel ausrotten this evil must be uprooted(禍根を断ち切らねばならない); diese Unsitte ist nich auszurotten this bad habit is ineradicable(悪癖は治らない).
[...]
Ausrottung: 1. cf. Ausrotten.
2. (eines Volkes [of a people], einer Rasse [of a race] etc) extermination, extirpation(絶滅、撲滅): systematische Ausrottung von Völkern [systematic Ausrottung of a people] (od. eines Volkes [of a people]) genocide.
3. (von Tieren [animals]) extirpation(撲滅).
4. fig. eradication, extermination, extirpation(消滅、絶滅、撲滅).
5. med. (eines Tumors [of a tumor] etc) extirpation, eradication(撲滅、消滅)
これらの詳細が、ひとつの単純な真実を裏付けている。Unkraut(雑草)、Volksstämme(雑草)、Volk(雑草)、Rasse(種族)、Wolfe(狼)、Tiere(動物)、Tumors(腫瘍)など、この単語は生き物について論じるときに殺すことを意味する。
1906年の辞書の定義の後半にある、「Ausrottung」という名詞形のラフに惑わされてはいけない。賢明な読者は、文脈ごとに詳しく説明されている動詞の形から意味を推測し、可能な意味の範囲を確認するために名詞の形だけを必要とする。extirpation、extermination、deracination、destructionのうち、どの意味を選ぶかは、動詞と一緒に与えられている文脈によって決めることができる。これらの単語が一緒に並べられているからといって、読者が文脈から一つの意味を選び取るべきだということにはならない。
また、「extirpate」という訳語に惑わされてはいけない。一般的な英単語ではないが、簡単な意味がある: 「完全に破壊する;根こそぎ引き抜く;外科手術で切り取る;同義語:exterminateを参照」(Merriam-Webster(註:こちらのリンクは最新(2023年)のMerriam-Websterによるもので、この記事の作成時期である2004年よりも大幅に変更されていることに注意))。
では、「ausrotten」が文字通り殺すことを意味しないのはどんな場合なのだろうか? 文字通り殺すことができないものに適用される場合だけなのである。
Mißbräuchen(虐待)やÜbel(悪)に適用される場合、比喩的なものを除けば、観念は生きていないのだから、実際に生命が絶たれることはありえない。このような文脈では、ausrottenは依然として完全な破壊を意味するが、観念の消滅を表現するには、より適切な「stamp out」、「deracinate」、「erhaustinate」などの用語で訳すのが最適である。
ホロコースト否定論者は、比喩的な文脈からもっとも無害に聞こえる訳語を選び出し、ヒムラーが文字通りユダヤ人の運命を描写したかのように装うことがある。騙されてはならない。
あるいは、Unkraut(雑草)の文脈に特化した定義を選び、ユダヤ人は単に「根こそぎ刈り取られた」と言うだろう。(しかし考えて欲しいのだが、雑草を完全に枯らして、二度と戻らないようにするにはどうすればいいのだろうか?)
あるいは、ドイツ語の語源学者のふりをして、単語の音節をひとつひとつ分析する。「aus」と 「rotten」は英語の「out」と「root」と同義語であるが、この複合語は15世紀以降、そのままの意味しか持たなかった。
「aus-rotten」が組み合わさって「up-root」を意味するというのは、ラテン語の「ex」(out of)と「terminus」(borders)が組み合わさって「ex-terminate"(ex-terminate)...つまり「強制送還」を意味すると主張するアメリカ人否定論者と同じくらい理にかなっている。――えっ? 英語読者のあなたが二度見したなら、ドイツ語読者が「ausrotten」を 人間を「uproot」(根こそぎ)にすると読み違えたときの反応と同じだ。ただの間違いなだけだ。
そして最後に、こんな議論は必要ない。
「ausrotten」という言葉だけでは十分でないかのように、ヒムラーはこう続けている:
○...wir hatten die Pflicht unserem Volk gengenüber das zu tun, dieses Volk, das uns umbringen wollte, umzubringen.
●...we had the duty to our people to do it, to kill this people who wanted to kill us.
...我々を殺そうとした連中を殺す、国民に対する義務があった。
ドイツ語の「umbringen」は単に「殺す」という意味だ。この翻訳に疑問の余地はない。一件落着。
▲翻訳終了▲
▼翻訳開始▼
ドイツ語母語話者の「ausrotten」の読み方
IHRは「die Juden ausrotten」を
「ユダヤ人を絶滅させる」
と訳している。
「ausrotten」(あるいは「Ausrottung」)という言葉の意味(日本語訳はこの記事中の最初の翻訳記事)を調べながら、ドイツ人自身がこの言葉をどのように使っているかを見ることは有益である。
特に、誤訳を捏造するのは英語圏のホロコースト否定論者なのだから、ドイツ語圏の同業者の発言を見れば、彼らの学識レベルについて何かわかるかもしれない。
2つ例を挙げてみよう。
最初に、ドイツのホロコースト否定論者であるギュンター・デッカート(ドイツの過激派右翼政党NPDの元議長)の話をしよう。アデレード・インスティテュートの否定サイトでは、ドイツ語を話さない人たちが 「ausrotten」を説明しようとする実にひどい試みの後、彼はドイツ語でこんなコメントを書いている:
ギュンターのコメント
"ausrotten" = ausmerzen = vernichten. Hier sollte man keine Haarspalterei betreiben. "Ausrotten" hat mit "Rottenführer" = Gruppenführer nicht zu tun. Es muß indes nicht konkret gemeint sein; es kann auch abstrakt verstanden werden H. wollte zweifelsohne die Juden im Deutschen Reich und in seinen Einflußgebieten loswerden.
Hätte er sie ausrotten wollen, dann dürfte es keine Überlebenden dort geben, wo "er was zu sagen hatte".
私たちの翻訳
「ausrotten」=根絶する=全滅させる。疑問の余地はない。
There should be no hair-splitting about that. 「Ausrotten」は 「Rottenführer」=「Gruppenführer」とは何の関係もない。しかし、それは具体的な意味である必要はない;それは抽象的に理解されるかもしれない。間違いなく、H.[ヒトラー]はドイツ帝国とその勢力圏内のユダヤ人を排除したかったのだ。
もし彼がユダヤ人を「ausrotten」にしたかったのなら、彼がそれについて何か言うような生存者はいないはずだ。
デッカートは、「ausrotten」の訳語についてとやかく言うことはできない、「ausrotten」は単に「全滅させる」という意味だ、と正しく指摘している。
(さらに、彼はヒトラーはユダヤ人絶滅について「抽象的に」語ったのだろうと主張する。ポズナンでのヒムラーの演説の場合、そうでなかったことは明らかだ(日本語訳は前項の翻訳記事)。また、「ナチスがユダヤ人を殺そうとしていたのなら、生きているユダヤ人は一人もいなかっただろう」という古い議論(以下の註を参照)にも納得がいかない――マジで? ゼロ? そのためには、ナチスの超人ぶりを信じることが必要だが、ほとんどの人はそれを望んでいない。)
翻訳者註:「古い議論」とは、否定派は「ヒトラー、ナチスドイツがユダヤ人の絶滅をやっていたというのであれば、ヨーロッパからユダヤ人は一人残らず消えていたはずだ。なのに生存者がたくさんいるではないか!」としばしば言っていたようです。あるいは、アウシュヴィッツでは絶滅させられずに囚人登録されて生かされていたユダヤ人も大勢いたので、「ユダヤ人絶滅ではないじゃないか!」のようなバリエーションもあります。しかし、少なくとも、「正史派」でそんなことを言っている人は一人もいません。詳細な説明はここではしませんが、確かに、一般世間的に漠然と広がっているホロコーストのイメージは、ナチスドイツはユダヤ人をガス室などで大量虐殺していた、だけがあるとは思えます。しかしそれは、単なる誤解に過ぎないのです。ところがその誤解を勝手に定説だと思い込んで「実際には違うじゃないか!おかしいじゃないか!」として、不勉強なままでホロコーストを否定する人の多いこと、多いこと…。
次に、ホロコースト否定の中心的なドイツ語著作の一つである、1979年の『Der Auschwitz Mythos: Legende oder Wirklichkeit? (アウシュヴィッツ神話:伝説か現実か?)』を書いたヴィルヘルム・シュテークリヒの話をしよう。
第2章で、シュテークリヒはアドルフ・ヒトラーが本当は平和主義者であったことを説明し、アドルフ・ヒトラーを更生させる。ヒトラーが1939年に、戦争は「ヨーロッパにおけるユダヤ民族の絶滅」をもたらすと誓ったとき――シュテークリヒはこうしてヒトラーが平和を愛していることを証明している――、ヒトラーは「Vernichtung」という言葉を「全滅」という意味で使った。
これは単純な翻訳である: 「Vernichtung」は確かに「全滅」を意味する。
ヒトラーの脅威について論じる際、シュテークリヒは「Ausrottung」という言葉を「Vernichtung」の同義語として交換可能として使っている――当時のナチスもそう話していたからだ。
そして、この著作の英訳では、他のホロコースト否定論者は、「Ausrottung」を正しく訳している。この言葉は殺人を意味し、彼らの翻訳もそれを反映している:
シュテークリヒの原文(○)とIHRの翻訳(●)(及び、英訳からの日本語訳(◉))
○Hitlers erste Äußerungen, in denen er in bezug auf "die Juden" oder "das Judentum" ganz allgemein und zugleich konkret von "Vernichtung" oder "Ausrottung" spricht, stammen aus dem Jahre 1939...
●The first remarks in which Hitler specifically uses the words "annihilation" ("Vernichtung") and "eradication" ("Ausrottung") in relation to "the Jews" or "Jewry" were made in 1939...
◉ヒトラーが「ユダヤ人」あるいは「ユダヤ人集団」に関して「全滅」(Vernichtung)や「根絶」(Ausrottung)という言葉を具体的に使った最初の発言は、1939年のこと…
○"Wenn es dem internationalen Finanzjudentum innerhalb und außerhalb Europas gelingen sollte, die Völker noch einmal in einen Weltkrieg zu stürzen, dann wird das Ergebnis nicht die Bolschewisierung der Erde und damit der Sieg des Judentums sein, sondern die Vernichtung der jüdischen Rasse in Europa."
●"If international finance-Jewry, inside and outside Europe, should once again succeed in plunging the nations into a world war, the result will not be the Bolshevization of the earth, and with that the victory of Jewry, but rather the annihilation of the Jewish race in Europe."
◉「もしヨーロッパ内外の国際金融ユダヤが再び諸国を世界大戦に陥れることに成功すれば、その結果は地球のボリシェヴィゼーションではなく、ユダヤの勝利でもなく、むしろヨーロッパにおけるユダヤ民族の全滅であろう。」
○... So meint denn auch Härtle, daß mit diesem Text allenfalls der unbedingte Friedenswille Hitlers bewiesen werden könne; dieser habe nicht den Krieg herbeiführen wollen, um die Juden ausrotten zu können, sondern er habe mit der Judenvernichtung gedroht, um einen Krieg zu verhindern. Mit dem von ihm in diesem Zusammenhang gewählten Begriff "Vernichtung" paßte Hitler sich nur dem Wortschatz seiner zionistischen Gegner an.
●... Heinrich Hartle interprets this text as a sign of Hitler's deep committment to peace. He believes Hitler did not intend to cause a war in order to annihilate the Jews, but raised the spectre of their annihilation in order to prevent a war. In using the word "annihilation," Hitler was only borrowing from the vocabulary of his Zionist foes.
◉... ハインリッヒ・ヘルトレは、この文章をヒトラーの平和への深い決意の表れだと解釈している。彼は、ヒトラーはユダヤ人を全滅させるために戦争を引き起こそうとしたのではなく、戦争を防ぐためにユダヤ人絶滅の恐怖を煽ったのだと考えている。ヒトラーは「全滅」という言葉を使ったのは、シオニストの敵の語彙を借りているに過ぎない。
なお、翻訳者は当初、「Ausrottung」の意味として、少し不利な「根絶」を提示していた。しかし、二番目の用法によれば、シュテークリヒが 「ausrotten」をユダヤ人の完全な殺戮を指して使っていることは明らかである。「ausrotten」は「vernichten」、すなわち「全滅」の同義語として使われている。
(彼はさらに、1939年のヒトラーの演説の意味は文脈を無視したものだと指摘するが、ヒトラーが平和主義者だったと考える人は何でも信じるだろう。ここで重要なのは、シュテークリヒが「ausrotten」という言葉をどのように使っているかということであって、実際に「Ausrottung」の脅威があったか、あるいは「Ausrottung」が起こったと考えているかどうかではない)
否定派はこの2つの文章をウェブ上で公開しているので、読者に確認してもらいたい。これがドイツ語の原文で、これが翻訳である。
これは、ホロコーストを否定する書籍の中で最も読まれているもののひとつで、ドイツ語で出版されている。この翻訳文の著作権は、ホロコーストを否定する最古の団体の一つである歴史評論研究所(the Institute for Historical Review:IHR)にあり、最大の否定サイトの一つであるCODOHに掲載されている。
英語圏の方はご注意を。否定派は、あなたが見ていないだろうと思える時には、こうやって「ausrotten」という単語を正しい意味で使うのだ。
▲翻訳終了▲
最後に、最初の翻訳文で示した日本語訳を、以下に日本語訳だけをまとめて示します。ドイツ語、および英語からの翻訳の双方を考慮しつつ、私の方で意訳を加えています。
私はまた、ここで皆さんに非常に難しいテーマを率直に申し上げたい。それは我々の間で議論されるべきことであるにもかかわらず、我々は公の場でそれを決して口外しないことである。ちょうど、6月30日のあの夜、我々が命令されたとおりに任務を遂行し、失敗した仲間を壁際に立たせ、射殺することに躊躇しなかった。我々はそのことについて話してこなかったし、これからも話すことはないだろう。それは神から授かった機転であり、自然に機転を利かせたまでのことだから、我々の間でそのことについて会話したことは一度もなく、口にしたこともなく、誰もが戦慄し、次もまた、命令され必要であれば、同じことをすると誰もが明言していたのである。つまり私が今述べているのは「ユダヤ人の疎開」のことであり、ユダヤ民族の絶滅のことである。言うのは簡単だ。「ユダヤ人は絶滅だ」、どの党員も言うだろう、「明確に、それは我々の計画の一部だ、 我々はユダヤ人を排除し、絶滅させる、ははっ!、些細なことだがな」と。そして、8000万人の善良なドイツ人がやってきて、誰もがまともなユダヤ人を手に入れる。そして言う、「他のやつらはみんな豚だが、ここにいる私の手に入れたユダヤ人は素晴らしいのだ」と。ところが、それらのドイツ人たちは誰もそれを見ず、誰もそれを経験しなかったのだ。100体の死体が一緒に横たわっているとき、500体の死体が横たわっているとき、1000体の死体が横たわっているとき、それが何を意味するのか、ほとんどの人は知っているだろう。そして、このことに耐え忍び、例外的な人間的弱点を除けば、まともであり続けたことが、我々の結束を強固にし、それこそが決して口外され得ない栄光なのである。なぜなら、もし今日、爆弾攻撃や戦争の重荷や窮乏の中にあるすべての都市に、秘密の破壊工作員、扇動者、扇動者としてのユダヤ人がまだいたとしたら、事態がどれほど困難なものになるか、我々は知っているからだ。もしユダヤ人がまだドイツ国民の体内に存在していたとしたら、我々はおそらく1916-17年と同じ段階にいたに違いない。彼らが持っていた富を、我々は彼らから奪い取り、 その上で私は厳命した、ポール親衛隊大将が実行したことではあるが、我々はこれらの富を完全に帝国、 つまり国家のものにしたのである。我々親衛隊のメンバーははそこから何一つ得ていないのである。しかしこれに背いたメンバーは、私が最初に与えた命令に従って裁かれるだけである。有罪をひとつでも受けた者は死ぬ運命にある。実際に、親衛隊の何人かはしくじった。その数はそれほど多くないが、彼らは容赦無く死刑になるだろう! 我々には道徳的権利がある、我々を殺そうとした連中を殺す、国民に対する義務として行ったのである。しかし、毛皮、印、タバコ、時計、その他何であろうと、自分自身を豊かにする権利はないのだ。我々にはそれはあってはならない。なぜなら、病原菌を絶滅するために、病原菌に感染して死んでしまうという結末は避けたいからだ。 腐敗したものが少しでも我々に接触したり、我々の中に根を下ろしたりするのを、私は決して見ることはあってはならない。逆に、それが根を下ろそうとするところでは、一緒に焼き尽くそうではないか。しかし、全体として言えることはある。我々は、国民の愛のために、この最も困難な任務を遂行してきた。そして我々は、我々の内面、我々の魂、我々の人格にいかなる欠陥も背負っていないのである。
私の意訳が不適当な可能性もないわけではありませんが、出来るだけ穏当に、少なくはしたつもりです。ともかく、ここにある「絶滅」をいったいどうやって、「それは「根絶やし」と読むのであって、ユダヤ人をドイツ支配下からいなくすることだけを意味し、つまりそれがユダヤ人の強制疎開の目的だとヒムラーは言っているだけなのです」と理解するのでしょうか? それが「決して口外できないこと」なんですか? 長いナイフの夜では何が行われたのですか? 他にも言いたい事は山ほどありますが、どう読んでもヒムラーはユダヤ人絶滅について語っているとしか読みようがありません。
