ヴォクス・マキナの伝説をTRPG側から解説してみた Season4 Week1(第1~3話)
序文
すみませんでしたああああああああああああああああ!!!!!!!!!!
シーズン4がとっくに公開されてたのに気づいたのは公開1カ月以上経ってからのことでした!
前シーズンから今回までの間の目立った出来事と言えば、続編シリーズの『マイティ・ナイン』が始まった事程度ですかね。そっちが始まって、ヴォクス・マキナ側は扱う内容がD&D本編に食い込む内容が多いのでライセンス的に露骨すぎて扱えないと思って、てっきりこちらは打ち切りになったとばかり思っていた私がバカでした。
マイティ・ナイン側もしっかり解説しておりますので是非。
さて気を取り直しましてまず初見の方へ:
この記事は「ヴォクス・マキナの伝説をTRPG側から解説してみた」(シーズン1~3編)の続きです。過去のシーズンの内容に加え、原作となるTRPG配信シリーズ『Critical Role』についても紹介しているため、まだの場合はこちらから順に読むことをお勧めします。
新キャラクター
タリオン
フルネーム:タリオン・ダリントン/Taryon Darrington
(タリオン・ゲイリー・ダリントン/Taryon Gary Darringtonとも)
種族:ヒューマン
ヴォクス・マキナを探して酒場に現れた英雄志望の男、タリオン。スキャンランに代わり一行に加わることになります。
一見ペーぺーの新人といった印象ですが、データ上のキャラクターレベルにもある程度反映されています(「キャラクターのレベルアップ」参照)。
なお、原典でのプレイヤーはスキャンランと同じ方ですが、本作の英語版ボイスは別の方のようです。
クラス:アーティフィサー
タリオンのクラスは「アーティフィサー」。以前パーシーの項でも説明はしましたが、改めて。
「artifice」とは「技巧」のことであり、アーティフィサーは技巧によって魔法のアイテムを生み出す職人です。機械が前面に押し出される事も多くありますが、データ上は魔法のアイテムなら何でもいいはずです。
基本ルールには登場しないクラスであり、追加クラスらしく、ゲーム上はその場で作ったか、自前の万能アイテムの効果かといった具合で自前のアイテムを使っているという設定で呪文を少し使用することができたり、能力の一部として既存含め様々な魔法のアイテムを手に入れることもできる、少しイレギュラーなクラスです。
何か有名な作品で例えるなら、『ファイナルファンタジーVI』のエドガーと言って理解してくれる読者の方はいらっしゃるでしょうか?「アトリエ」シリーズ全般と言ってもいいかもしれませんね。ファンタジー界のアイアンマン/トニー・スターク(マーベル・コミックス)とも言うべきキャラクターを作る場合もこのクラスです。(もうちょっと若い子もわかる内容にした方がいいかな…?)
なお、アーティフィサーはサプリメント(追加の書籍)で新たに登場したクラスですが、原典のセッション当時は収録の書籍がまだ発売されておらず、キャンペーン中に公式に公開されたプレイテスト用データでプレイされていました。そのため、発売後に配信された特別単発回でデータ面が作り直されており、本作での能力面もそちらに準拠しているようです。
サブクラス:バトル・スミス
その単発回に登場した際のタリオンは、アーティフィサーの中でも「バトル・スミス」に該当します。
バトル・スミスはより戦闘に特化したアイテム作り、特に戦闘マシンを生み出すことに特化した技術者です。
ゲーム上の最大の特徴は、スチール・ディフェンダーと呼ばれる人造の相棒を従えること。ただ戦うだけでなく、味方の隣に立って攻撃を妨害することもできます。
しかし、タリオンのスチール・ディフェンダーであるドティは戦うだけでなく冒険を記録もしてくれるのがキャラクターとよくかみ合っていて好きです。
キャラクターのレベルアップ
1年の経過を挟むタイミングも含め、今後3話以上、原作セッションでは十数回分、今後の展開にスムーズにつなげるためにまた順番が大きくシャッフルされているようなので、ここでは一旦開始時点でのレベルだけ紹介します。
シーズン4開始時点に相当する原典セッション開始の第84回時点で、ヴェクス、ヴァクス、グロッグ、ケイレス、ケイレス、パーシー、スキャンランがレベル16、パイクだけまだ15です。
タリオンは、初登場時点では設定の関係上か、レベルが13と大きく差がついています(ペーペーにしてはだいぶ強いのですが)。
個別解説:第1話
小ネタ:マーサー卿
舞踏会でパーシーに話しかける貴族の一人。
「マーサー卿」と呼ばれていましたが、元ネタは原作ダンジョンマスターのマシュー・マーサー氏でしょうか?顔つきもどことなく似ているような…。

アイテム/呪文:煙玉/フォッグ・クラウド?(タリオン)
追い剝ぎ相手に馬車から煙玉を投げ放つタリオン。
まあ単純にそういうアイテムがあったと考えることもできますが、アーティフィサーはアイテムとして呪文を使うという事を考慮すれば、「フォッグ・クラウド」の呪文と考えることもできます。まあ、効果は見ての通りただ霧を発生させるだけです。
アーティフィサーの呪文リストには含まれていないのですが…。
アイテム/呪文:ディスペル・マジック(タリオン)
そして煙を消し去るアイテムも使用するタリオン。
アーティフィサーの呪文の使い方を考慮するなら、過去のシーズンでも紹介したディスペル・マジックの呪文と考えることもできるでしょう。
モンスター:グルームストーカー
ヴェクスが調査中、顔のない生物に遭遇します。
英語の字幕では「Gloomstalker」と書かれており、調べたところエクサンドリアの世界固有のモンスターのようです。ただ、原典では目はあり、影から影で渡る能力を持っていたり、群れで狩りをするという情報もあり、アニメ用の改変が入っているようです。
呪文:エンラージ/リデュース?(タリオン)
小さい野盗を「もっと小さくして」と息巻くタリオン。
アーティフィサーの使用可能呪文にエンラージ/リデュースがあるので、それにあたるアイテムを持っていたのでしょう。「拡大」なら相手の生物のサイズが2倍、「縮小」なら1/2になり、一部の判定やダメージに影響します。しかし、判定やダメージに関わる以上にサイズの変化が冒険に役立ってくれる事もあるかもしれません。
アイテム:魔法のランタン(パーシー)
パーシーが暗所の作業で使用した魔法のランタン。見る限りオイル要らず、スイッチ式で便利な品のようです。
基本ルールにもランタンの魔法のアイテム「ランタン・オヴ・リヴィーリング」こそありますが、オイルを使用するのは変わりませんし、魔法で姿の見えないものを見ることができるようになるという特性が使用されている訳でもないので特定できません。
アイテム/呪文:飛行のアメシストと予知のサファイア/フライ等(タリオン)
タリオンが飛行や予知の力を持った宝石を紹介していますが、アーティフィサーの呪文通りに考えるなら、飛行はシーズン2でも紹介したフライなのは明確ですが、予知の呪文ははっきりしません。「相手の動きを予測する」のであればフォアサイトですが、アーティフィサーの使える呪文レベルの範疇を超えてしまっています。
アイテム/呪文:サンダーストーン/シャター?(タリオン/グロッグ)
グロッグが適当に選んで投げた宝石は刺さるだけでボロ家を一撃で破壊する強力なものでした。
英語では「Sunder Stone」、「sunder」とは「分断」「切り離す」「隔てる」などの意味なので、物体を破壊するアイテムと考えるべきでしょうか。
呪文として考えるなら、物体を破壊する呪文といえばシーズン2でも紹介したシャターの呪文ですが、これはアーティフィサーのリストにはありません。
個別解説:第2話
呪文:風のバリア?(ケイレス)
波に飲み込まれそうな船を大きな風のバリアで守るケイレス。
守るように風が生まれる呪文といえばウォーディング・ウィンドですがサイズや効果内容などが噛み合わず、コントロール・ウィンズは範囲は広くても風は一方向だけ、ワールウィンドは名前通り竜巻。公式のもの全般を見てもどれも合致しません。
アイテム:水中呼吸の首飾り(試練の場)
水の試練を受けるため、ケイレスとヴァクスは水中呼吸の首飾りを受け取ります。
D&Dの基本ルールの範疇でもキャップ・オヴ・ウォーター・ブリージングという、頭の周りに泡を作り出すことで水中で呼吸できるようにする魔法のアイテムがあります。
あるいは、ウォーター・ブリージングの呪文の効果をもたらすアイテムと考えることもできます。ドルイドも使用できる呪文なので、ドルイドの修行と関わる地で使用されていても納得感があります。
設定:水の次元
第2話で登場した「水の次元」についてはSeason 2 #2の記事とほぼ同様になるため割愛します。
モンスター:クラーケン
ケイレスが水の次元で出会い、母の事も覚えていた巨大な影。ケイレス曰く「クラーケン」だそうです。
大航海時代、ノルウェー近海での伝承から生まれたクラーケンは、他の作品でもお馴染みかもしれませんが…D&Dにおけるクラーケンとは、神々の争いのために生み出された海の怪物です。物質界の深海に潜むなら、海の生物はその意思によって操られ、水面の天気はその意思のまま。浮上すれば文明一つ滅ぼす事すら容易。時に他の矮小な生物から、クラーケン自身もまた神として崇められるレベルの存在です。
呪文:ディスペル・マジック(パイク)
ディテクト・マジックで発見した幻術を破り、狂気に陥った司祭の部屋の真実を暴くパイク。
何度も紹介したディスペル・マジックの呪文は、幅広いクラスで使うことができます。
呪文:ミラージュ・アーケイン(部屋の仕掛け)
司祭の部屋の血文字や儀式の祭壇は魔法で偽装されていました。
特定の空間を他の何かに見せかけるといえば幻術呪文ですが、以前紹介したミラージュ・アーケインならできます。
ただ、部屋の主が去ってからどれほど経ったかは正確には不明ですが、維持する人もいないのに少し効果時間が長すぎる(1回の使用で10日)ようには見えます。
さらに、これ程までに不誠実な力は、エヴァーライトのような存在のクレリックの呪文リストの範疇ではなく、やはり何か邪悪な力が働いているように思えます。
呪文:酸の霧?(部屋の仕掛け)
さらに解呪対策なのか、部屋に酸の霧か炎らしきものが漏れ出していきます。
D&Dで霧と言えばクラウドキルですが、これは毒ガスです。
酸で攻撃する呪文もあるといえばありますが、どれも霧や炎ではありません。
呪文:アーケイン・ロック(部屋の仕掛け)
そして、当然逃がさないために勝手に扉が閉まるようにもなっていました。
扉を魔法で閉め、物理的に開けられなくするアーケイン・ロックの呪文と言えるでしょう。この場合は必要ありませんが、これで閉めた扉にはパスワードを設定することもできます。あくまで「鍵が開かない」だけなので、扉を破れないとはルール上はどこにも書いてはいませんが…。
ちなみにこちらもクレリックの呪文ではありません。
呪文:グリフ・オヴ・ウォーディング(部屋の仕掛け)
こういった解呪対策の罠を仕掛けるために、グリフ・オヴ・ウォーディングという呪文を利用されたのかもしれません。
先んじて魔法の紋を描き、条件を指定しておくことで、条件を満たした際、自分の別の呪文が発動するようにするというもので、ここでは「他人が秘密を見た時」と指定したのでしょう。
なお、グリフ・オヴ・ウォーディングはクレリックの呪文リストにも含まれます。
元素の自然の化身:ウォーター・エレメンタル(ケイレス)
水の精霊と化し、クラーケンを押し返すケイレスですが、ウォーター・エレメンタルも「元素の自然の化身」の変身対象の一つに含まれています。ここまで3つ登場しましたが、エアー・エレメンタルへの変身は見せてくれるのでしょうか?
第3話
呪文:死霊光線?(敵の魔術師)
戴冠式の会場に現れ、市民を襲う魔術師たち。光線は受けた者の生命力を奪い取って殺してしまいます。
あのような殺し方はおおむねD&Dでは[死霊]ダメージにあたると考えられますが、いかんせん光線という形など表現が曖昧なため、特定しきれません。
呪文/アイテム:こんにゃろメェ~/リング・オヴ・ザ・ラム?(タリオン)
タリオンは黄金色に輝く羊を召喚してネクロマンサーの軍団と戦います。
原文では”The Battering Ram”とあり、英語のbattering ram(破城槌)とram(雄羊)の洒落になっています。
大きな魔法のエネルギー体を召喚して質量に任せて攻撃するというのは呪文では見当たりませんが、魔法のアイテムならリング・オヴ・ザ・ラムがあります。
まさに雄羊型の霊体を飛ばし、敵を吹き飛ばしながら攻撃したり、破城槌よろしく物体を破壊できるアイテムで、これを使い切りにしたものと考えることができます。
(その後本当にヤギが敵の服を食べているのはまあ映像的なジョークでしょう…)
呪文:フライ?ウィンド・ウォーク?(ケイレス)
舞台の端の高台、足に風をまとって飛んでくるケイレス。
単純に空を飛ぶだけならフライの呪文に見えますが、フライはドルイドの呪文リストにはありません。ドルイドの、風に関連してかつ飛行も可能な呪文というとウィンド・ウォークですが、これは雲に姿を変えると説明されており、解除の所要時間も1分遅いです。
呪文:ウォール・オヴ・ストーン(地のアシャリのリーダー)
安全を確保するため、地のアシャリのリーダーが石の壁を作り出します。
これはシーズン3 第9話で紹介したウォール・オヴ・ストーンの呪文でしょう。地の民のリーダーなので当然、といったところでしょうか。
呪文:プロデュース・フレイム(ケイレス)
その手に火を生み出し、ネクロマンサーに猛攻を仕掛けるケイレス。
小規模な火を手に生み出す呪文といえばSeason 3 Week3でも軽く触れたプロデュース・フレイムです。その手に火を生み出して明かりにするもよし、投げつけて攻撃するもよしの初級呪文です。
なお、ドルイド呪文ではあるものの、ケイレス本人は原典では使用してないようです。
呪文:ミスティ・ステップ?(敵の魔術師、ケイレス)
その火をかわすように瞬間移動するネクロマンサー。
短距離なので過去のシーズンでも何度か紹介したミスティ・ステップの呪文のように見えます。
この後引きで追跡するシーンではケイレスも似たような魔法を使っています。
呪文:シールド(敵の魔術師)
続いて魔術師は火の攻撃を防ぐ障壁を生み出します。
度々紹介してきたシールドの呪文ですが、ルール処理の関係上、プロデュース・フレイムの投擲はしっかり防ぐことができます。
呪文:ウォール・オヴ・アイス(敵の魔術師)
さらにケイレスを遮るように氷の壁を生み出します。
サイズ感的にルールの記述(最低高さ3m×横幅3m)からは少し小さいように見えますが、ウォール・オヴ・アイスの呪文でしょうか?「ウォール」系の呪文の中では最高位の呪文で、敵の位置によっては冷気によるダメージを与えながら壁を生み出すことができます。
呪文:ディメンジョン・ドア(敵の魔術師)
いざラウンド2と言わんばかりの大柄な戦士とグロッグ。そこに魔術師が割って入り瞬間移動で戦士を連れて行ってしまいます。
他人を連れて離脱できるという点では、過去のシーズンでも紹介したディメンジョン・ドアのようにも見えます。
あとがき
望まぬ形で再会となったヴォクス・マキナ一行。タリオンにいい見せ場はあるのか?といったところでWeek 2に進みます。
改めて、1か月以上の遅れになってしまい申し訳ありませんでした。しかししっかり解説はしますので気長にお待ちください。
我らは彼の血。我らは彼の血。我らは彼の血。我らは彼の血。我らは彼の血。我らは彼の血。我らは彼の血。我らは彼の血。我らは彼の血。我らは彼の血。

