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【初心者向け】レポート・卒論のための「論文検索サイト」使い分けガイド

レポートや卒論で文献を探そうとするとき、
学生が意外と早い段階で困るのが、

「どこで探せばよいのか分からない」

ということです。

Google Scholarは聞いたことがある。
CiNiiも見たことがある。

でも、実際に使おうとすると、
それぞれ何が違うのかが分かりにくい。

どれも論文を探すためのものではある。
けれど、役割は少しずつ違います。

大事なのは、
一つのサイトで全部済ませようとしないこと
です。

むしろ、目的に応じて使い分けたほうが効率的です。

今回は、日本語論文を探すときによく使うデータベースについて、
学生に説明するようなつもりで整理してみます



1.まずはGoogle Scholarから入る

最初に使いやすいのは、Google Scholarです。

これは自宅でも使えます。
ただし、大学内のインターネット接続環境のほうが、
読めるPDFが多いことがあります。

(※なお、多くの大学では「VPN接続」が導入されています。これを使うと自宅からでも大学契約の論文が読めます。所属先の大学で一度確認してみると良いでしょう。)

Google Scholarのよいところは、
そのキーワードが用いられていて、しかもよく引用されている論文が上位に出てきやすいことです。

つまり、

「まずどの論文から読めばよいのか?」

というときの手がかりになりやすい。

最初の入口として、かなり便利です。

たとえば、「成績 就職活動」で検索すると下記のように出てきます。

Google Scholarで「成績 就職活動」で検索した画面

さらに、「引用元」をたどることで、
その論文を引用している後続研究を見ることができます

下記は「被引用数:5」となっているところをクリックした画面です。

Google Scholarで上記論文を引用している論文の画面

これはかなり重要です。

ある論文を見つけて終わりではなく、
そこから新しい論文へと広げていけるからです。

また、検索結果には「☆」の近くに「引用」があります。
これをクリックすると文献情報が表示されるので、
引用文献リストを作るときのたたき台として使えます。


Google Scholarで「引用」を押した時の画面


ただし、ここは少し注意が必要です。

情報が足りないこともありますし、
表記がそのままでは使いにくいこともあります。

たとえば、上記画面でAPAのところをクリックして貼り付けると下記のようになります。

田澤実, & 梅崎修. (2012). 大学難易度と学業成績が就職活動の開始時期, 活動量, 活動結果に与える影響: 全国の文系学部の大学生を対象にして. 法政大学キャリアデザイン学部紀要, 9, 229-252.

出典:上記画面より「APA」からコピー&ペースト

引用文献のリスト表記は学問分野によって異なりますが、たとえば下記の様に整理し直すことがあります。

田澤実・梅崎修 (2012). 大学難易度と学業成績が就職活動の開始時期,活動量,活動結果に与える影響:全国の文系学部の大学生を対象にして 法政大学キャリアデザイン学部紀要, 9, 229–252.

出典:上記画面より一部修正


ですので、Google Scholarは、

重要そうな論文を見つける入口としては便利。

ただし、

書誌情報の最終確認まですべて任せるのは危ない。

そのくらいの距離感で使うのがよいと思います。

たとえば、巻数とかページ数が入っていないときもあります。
原典を読んでみて、最後は自分で確認する必要があります。


2.CiNii Researchは文献情報の確認に強い

次に、CiNii Researchです。

これも自宅から利用できます。
ただし、大学内の接続環境のほうが、
自宅からつなぐよりもPDFで閲覧できる文献が多いことがあります。

CiNii Researchの便利なところは、
文献についての情報が分かりやすいことです。

たとえば、

  • ページ数

などを確認したいときに、とても役立ちます。

ですから、引用文献リストを作るときには特に便利です。

たとえば、下記はCiNii Researchで検索した結果の画面です。

CiNii Researchで検索した画面

Google Scholarで論文を見つけ、
CiNii Researchで書誌情報を確認する

この流れはかなり使いやすいと思います。

論文探しというと、
どうしても「見つけること」ばかりに意識が向きます。

でも実際には、
最後に参考文献をきちんと整えることも大切です。

その意味で、CiNii Researchは、

探すためのデータベースであると同時に、整えるためのデータベース

でもあると思います。



3.J-STAGEは学会誌の論文に強い

J-STAGEも重要です。

Google ScholarやCiNii Researchでは出てこない論文が、
J-STAGEでは見つかることがあります。

とくに、
学会誌の論文を検索する
という意味では、かなり向いています。

国内の研究を見ていくとき、
学会誌に載っている論文をしっかり追いたい場面は多いです。

そのときにJ-STAGEは頼りになります。

たとえば、下記は日本キャリアデザイン学会の学会誌「キャリアデザイン研究」に掲載された査読付き論文です。


J-STAGEでの検索画面


さらに、「月間アクセス数ランキング」が参考になることもあります。

J-STAGEのキャリアデザイン研究の「月間アクセス数ランキング」画面

もちろん、アクセス数が高いからといって、
そのまま重要論文だと言い切れるわけではありません。

ただ、いま多く読まれている論文や、
注目されているテーマの雰囲気をつかむ手がかりにはなります。


4.IRDBは紀要や博士論文に強い

IRDB(学術機関リポジトリデータベース)は、
紀要や博士論文を探すときに便利です。

Google Scholar、CiNii Research、J-STAGEでは見つからない論文が、
ここで見つかることがあります。

しかも、かなり多くの論文がPDFで読めます

日本国内の学術機関リポジトリに登録されたコンテンツのメタデータを集めているため、
大学ごとの蓄積にアクセスしやすいのが特徴です。

日本語の研究テーマでは、
大学紀要に重要な論考が入っていることも少なくありません

著者名を入れて検索すると、紀要論文等の蓄積を一覧できます。


IRDBで「田澤実」で検索した画面

また、博士論文のように、
あるテーマをまとまった形で深く扱っている文献を探したいときにも有効
です。

たとえば、下記のように博士論文の要旨や講評を見ることができます。
(※ちなみに、私が副査として関わった博士論文です)

大学生の異文化接触とキャリア発達 -異文化アジリティを育む海外インターンシップの意味- | 学術機関リポジトリデータベース

IRDBの画面


ただし、ここには注意もあります。

IRDBは、学会誌のような
査読つき論文を探すためのデータベースではありません。

その意味で、検索範囲には特徴があります。

便利ではある。
しかし、見つかった文献を同じ重みで扱ってよいわけではない

そのような特徴があることを理解した上で使うのが良いと思います。


5.どう使い分けるとよいのか

かなり単純化すると、私は次のように考えています。

まずはGoogle Scholarで、

「このテーマでまず何を読めばよいか」

の見当をつける。

次に、必要に応じて引用元をたどり、
関連研究を広げていく。

書誌情報をきちんと確認したいときは、
CiNii Researchを見る。

学会誌の論文を探したいときは、
J-STAGEを使う。

紀要や博士論文まで含めて探したいときは、
IRDBを使う。

こう考えておくと、かなり見通しがよくなります。


6.一つのサイトで全部やろうとしない

学生がつまずくのは、
検索語だけが理由ではないと思っています。

むしろ、

それぞれのデータベースに違う役割がある

ということが見えにくいところに、難しさがある。

最初から一つで完結させようとすると、
どうしても苦しくなります。

そうではなく、

  • まず見つける

  • 次に広げる

  • そのあと本文にたどる

  • 最後に書誌情報を整える

というように、
作業を少し分けて考えたほうがよいのだと思います。


7.おわりに

日本語論文を探すときは、

「どのデータベースが一番いいか」

ではなく、

「どの目的に、どのデータベースが向いているか」

で考えたほうがうまくいきます。

Google Scholarは入口として便利。
CiNii Researchは書誌情報の確認に強い。
J-STAGEは学会誌に強い。
IRDBは紀要や博士論文に強い。

この使い分けが見えてくるだけでも、
論文探しはかなり楽になります。

一つのサイトですべてを済ませようとしないこと。
そして、それぞれの道具に、無理のない役割を持たせること。

日本語論文を探すときには、
その発想が意外と大事なのだと思います。


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