noteのネタは「探す」のではなく「ほぐす」――AIと作る執筆プロセス
noteを書き続けていると、ときどき聞かれることがあります。
「どうやって、そんなに記事のネタを見つけているのですか」
でも実感としては、最初から「これは記事になる」と確信していることは少ないです。
出発点はもっと小さなもの——なんとなく気になる、少し引っかかる、別の見方もできるのではないか。そういう、まだ記事にも論考にもなっていない小さな違和感です。
1.出発点は「違和感」
たとえば最近であれば、こんなことが気になりました。
運動会が午前中だけになったことは、本当に悪いことなのか。
生成AIに仕事を任せるとき、人間側には何が残るのか。
飲食店のタブレット注文は、子ども連れにとってむしろ不便な場面もあるのではないか。
どれも最初からきれいな結論があるわけではありません。「こう主張したい」というより「これが少し気になる」という感覚です。
記事の種は、完成した知識よりも違和感の中にあります。多くの人が当たり前だと思っていること、便利になったと言われているけれど実は別の不便さも生まれていること——そういうところに、書くべきことが隠れているのだと思います。
単なる愚痴や感想で終わることもあります。
当然、ボツになることもあります。
それでも、まず拾ってみる。
「これは、何が気になっているのだろう」と言葉にしてみる。
役に立つ記事を書こうとする前に、自分が何に引っかかっているかを確かめる。
そこが出発点です。
2.ChatGPTとは切り口を探すために話す
違和感を拾ったら、次にChatGPTに投げます。ただし「この記事を書いてください」とは頼みません。むしろ雑談に近いです。
「これ、どう思う?」
「この話、何が面白いのかな?」
「どこに焦点を当てると記事になる?」
私が探しているのは結論ではなく、切り口です。同じ出来事でも、どこから見るかで記事の意味は変わります。
たとえば「運動会が午前中だけになった」という話は、「学校行事の縮小」として見ることもできます。一方で、「短くなったからこそ構成に工夫が生まれた」とも言えます。玉入れとダンスを組み合わせた「ダンシング玉入れ」はその象徴です。
ChatGPTの返しに対して「それは違う」「近いけどずれている」「そちらの方が大事」と反応していく中で、自分の考えの輪郭が見えてきます。
ChatGPTは文章を代わりに書く道具ではなく、考えを外に出すための対話相手です。
3.「何を書くか」より「どこから入るか」
入り口が変わると、読まれ方が大きく変わります。
たとえば生成AIと大学教育について書くとき、「生成AI時代における形成的評価の重要性」と書くこともできます。でもnote記事としては、
「学生がAIでレポートを書いてくる」と嘆く前に。
という入り口の方が読者には届きやすいかもしれません。
そこから形成的評価や学生の主体性の話へ進むことはできます。
入り口は具体的でよい。読者が「これは自分にも関係ある」と思えるところから入り、そのあとで少しずつ抽象度を上げていく。この流れをかなり意識しています。
4.感想で終わらせず、自分の軸に接続する
日常の違和感をそのまま書くだけでは、感想で終わりがちです。そこで、出てきた話題を自分の研究・教育の関心に接続していきます。
生成AIの話であれば、「AIを使ったかどうかではなく、何を引き受けたのか」「問いの吟味はどこで起きているのか」という問いにつながることが多いです。
キャリア教育の話であれば、時間的展望や自己理解につながることが多いです。
違和感があった時点では気づかなくても、この接続の段階で、じつは自分の関心事との繋がりがあったことが見えてくることがあります。
こうして考えると、日常の気づきを書いているようでいて、実はかなりの部分で自分の軸に戻ってきています。
無理に理論を当てはめる必要はありません。ただ「なぜ自分はこれが気になったのか」「これまで考えてきたこととどこでつながるのか」を探っていくと、記事に厚みが出てきます。
5.「記事になるか」より「どの形なら記事になるか」
それでも、すべてがすぐ記事になるわけではありません。ただ最近は、「これは記事になるか」と考えるより「どの形なら記事になるか」と考えた方がよいと思っています。
1本の論考にする
前後編に分ける
実践記録として書く
軽いエッセイにする
このように、形を変えれば記事になることがあります。
素材が弱いのではなく、まだ器が見つかっていないだけの場合が多いのだと思います。
だからChatGPTとの対話では、内容だけでなく形式もよく相談します。これは1本で書けるか、シリーズにできるか、読者は学生か社会人か。同じ素材でも、器を変えると見え方が変わります。
6.まとめ
私のnote記事づくりは、本文を書き始める前に多くのことが起きています。
日常の違和感を拾い、ChatGPTとの雑談で切り口を探し、読者に届く入り口を考え、自分の軸に接続し、素材に合う形を見つける。
これらが見えてくると、本文を書く作業はずいぶん楽になります。
「ネタがない」と感じるとき、実は素材はあります。
ただ、どの形にすればよいかがまだ見えていないだけかもしれません。
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