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NotebookLMと音声入力でつくるリフレクション――体験の熱が冷める前に、言葉にして残す


すべての体験を記録すればよい、とは思っていません。

でも、「これはあとからちゃんと振り返りたい」と思う出来事に出会ったとき、書く前にまず話して残しておくことが役立ちます。

NotebookLMは、その粗い言葉を、少し距離を置いて見直せるかたちに整えてくれます。


研修や勉強会、研究会、あるいは誰かとの対話のあと、
「今日はかなり学びがあったな」と思うことがあります。

その場では、たしかに何かを感じている。
印象に残った言葉もある。
自分なりに引っかかった点もある。
「これはあとでちゃんと振り返りたい」と思う。

でも、そういう大事な体験に限って、あとになるとうまく言葉にできなくなることがあります

帰宅して机に向かうころには少し熱が落ちている。
翌日になると、印象は残っていても、どこがどうよかったのかは曖昧になっている。
数日経つと、「何か大事だった気がする」という感覚だけが残って、中身は少しずつ遠のいていく。

振り返りが続かないのは、意志が弱いからではないのだと思います。
むしろ、振り返りを最初から「整った文章で書くもの」と考えすぎているからではないでしょうか

私は最近、NotebookLMと音声入力を組み合わせることで、この問題にひとつの手応えを感じるようになりました。

  1. 先に話す。

  2. あとで整理する。

  3. さらに、その整理されたものを見ながら、もう一度考える。

この流れをつくることで、体験の直後にはまだ言葉になりきらなかったものが、あとから少しずつ見えてくることがあります。

それは単なる記録ではありません。
むしろ、自分が何に反応し、何を大事にしていたのかを見直していくための方法です。

今回は、NotebookLMと音声入力を使ってつくる、私なりのリフレクションのやり方を書いてみます。


なお、以下には、事前にGoogleアカウントを作成済であり、NotebookLMが利用できる状態になっていることを想定します

スマートフォンを利用されている方は
NotebookLMのアプリをインストールし、
スマートフォンからでもパソコンからでもアクセスできる状態になっていることが望ましいです。



1.振り返りは、最初からうまく書けなくていい

振り返りというと、つい

  • 何を学んだか

  • 何が印象に残ったか

  • 今後どう活かすか

を、きちんと文章にまとめることだと思いがちです。

もちろん、それも大事です。
けれど、体験の直後の自分は、そこまで整っていないことが多い。

「あの場面が妙に気になった」
「あの言い方が刺さった」
「うまく言えないけれど、何か引っかかっている」
「内容そのものより、進め方のほうに学びを感じた」

こうしたものは、その場ではまだ“考え”になりきっていません。
もっと言えば、まだ“問い”にもなっていないことがあります。

でも、私はそこにこそ大事なものがあると思っています。

最初から整った振り返りだけを求めると、そうした未整理の感覚は、うまく言葉にできないまま消えていきます。

だからこそ、

  1. まずは粗いままでいいから外に出す。

  2. それを、あとから見直せる形で残しておく。

この順番が大事なのだと思います。


2.なぜ「書く」前に「話す」のか

そのための方法として、私がかなり有効だと感じているのが、音声入力です。

理由は単純で、話すほうが速いからです。
……と言いたいところですが、本当に大事なのはそこだけではありません。

音声のよさは、まだ整っていない反応を、そのまま外に出しやすいことにあります。

書こうとすると、人はどうしても整えようとします。
言葉を選び、順序を考え、余計なものを削ろうとする。
その過程はもちろん必要ですが、体験の直後には、それがかえって邪魔になることがあります。

一方で、話すときには、もう少し生のままで出せます。

「あれはよかった」
「でも、どこがよかったのかはまだうまく言えない」
「内容ももちろんそうだけど、むしろ場のつくり方のほうに学びがあった気がする」

そういう、まだ半分しか言葉になっていないものでも、音声なら出しやすい。

実際にやってみると、書くと止まるのに、話すと意外なほど出てきます。
そして、その粗い言葉のなかに、自分の関心や違和感の輪郭が残っています。


3.NotebookLMは、記録の道具というより「少し距離を置いて返してくる相手」である

ここで役に立つのが、NotebookLMです。

NotebookLMは、PDFやテキスト、音声ファイルなど、自分がアップロードした資料をもとに対話できるAIツールです。
一般的な生成AIと比べると、「自分が入れた資料の範囲で考える」という性質が強いため、振り返りの支援にかなり向いていると感じています。

私にとってNotebookLMの面白さは、単に要約してくれることではありません。

自分の話したことが、少し距離を置いたかたちで、構造化されて返ってくる。
この点が大きいのです。

人は、自分の体験の只中にいるときには、それをうまく見渡せません。
でも、自分が話したことをAIが整理して返してくれると、自分の経験が少し外から見えるようになります。

そのとき初めて、

  • 自分はどこに強く反応していたのか

  • 何を学んだと思っていたのか

  • 何がまだモヤモヤとして残っているのか

  • 内容よりも形式に注目していたのはなぜか

といったことが見えてくる。

だからNotebookLMは、単なる保存庫ではなく、振り返りを一緒に進める相手として使えるのだと思います。


4.まず大事なのは、音声より先に「資料」を入れておくこと

これは実際に使ってみて、かなり重要だと感じた点です。

ここでは
HPで開催概要が公開されているイベントに参加し、
登壇者の講話を聞いたことを事例としてみます。

音声ファイルを入れる前に、その体験に関連する資料をNotebookLMに先に読み込ませておきます。

たとえば、

  • 当日のプログラム(たとえばHPで公開されているもの)

  • 公開されている登壇者等のプロフィール

  • 当日、自分で作成したメモ(印象に残った発言など)

  • 講演で紹介された内容のうち、ネットで公開されている資料

  • その他、自分が扱ってよいと判断できるテキストデータ等

などです。

こうしておくと、AIがすでに背景を理解した状態で音声を処理してくれます。

固有名詞や専門用語の精度も上がりやすく、その後の対話もかなりスムーズになります。

つまり、文字起こしの誤変換が少なくなるということです。

もちろん、ここに何を入れてもよい、という意味ではありません。

所属先にAIポリシーがある場合はそれに従う必要がありますし、著作権や機密性には注意が必要です。

また、講演者がたとえばQRコードでpdf資料を配布したとしても、発表者や作成者の側には、AIに読み込ませることへのためらいや抵抗感があるかもしれません。
(これから書籍等でまとめるような内容が含まれている可能性もあります)

そのため、最初は自分のメモや、公的機関の公開資料のような、比較的扱いやすいものから始めるのが無難だと思います。


5.音声で残すときのコツ

実際に録音するときには、ただ思いつくままに話すだけでもよいのですが、少しだけ意識しておくと、あとで振り返りの質がかなり変わります。

1)「事実」と「思考」を分けて話す

たとえば、
「〇〇さんが、△△という形で進行していた」
というのは事実です。

一方で、
「最初は意外に感じたが、参加者の主体性を引き出すために、あえてそうしているのだと思った」
というのは、自分の解釈や思考です。

この2つを意識して分けて話しておくと、あとでNotebookLMに
「事実と考えを対応させて整理してください」
と頼んだとき、かなり見通しよく返ってきます。

2)「やったこと」だけでなく「やらなかったこと」も話す

これは、実際にやってみてかなり面白かった点です。

人は、何をしたかを語るとき以上に、なぜそれをしなかったのかを語るときに、自分の価値観やスタンスをよく表します。

たとえば、

  • 周りの反応を確認したかったのでその場では質問しなかった

  • すぐに結論づけることを避け、様子を見ることにした

  • 初対面なので名刺交換時に自己アピールしすぎないようにした

こうした「しなかったこと」には、その人なりの判断があります。

そして、あとから見返すと、そういう部分にこそ「自分はどういう関わり方を大事にしているのか」が出ていることがあります。

3)できるだけ時系列に沿って話す

音声では話が飛びやすいので、
「まず何があって、次に何があったか」を意識しておくと、後でかなり整理しやすくなります。

これはAIのためでもありますが、同時に、自分の体験をたどり直すためでもあります。

4)「内容」だけでなく「形式」にも触れる

私たちはつい、「何を学んだか」という内容ばかりを振り返りがちです。
けれど実際には、

  • どう進めていたか

  • どのタイミングで問いを投げていたか

  • どんな資料の見せ方をしていたか

  • どんな場の空気をつくっていたか

といった形式のほうに、大きな学びがあることも多い。

特に教育や研修、ワークショップのような場では、内容だけでなく、進め方そのものが重要です。

5)思いついたら、後から付け足してもよい

およそ時系列順に沿って起こったことを話し終え、事実と思考を分けながら整理したと思ったタイミングで録音を終えます。

しかし、「あ、そういえばまだあれを話してなかった」と思い出すことがしばしばあります。

そういうときは、後から堂々と音声ファイルを付け足せばよいでしょう。



6.音声入力の仕方


自分のしゃべった内容を音声ファイルにする方法は複数あります。

ここでは、音声ファイルをNotebookLMにアップロードする代表例を紹介します。

1)ICレコーダーとパソコンを利用する


私の場合は、ICレコーダーを使っています。
電池切れのリスクがデメリットですが、「録音ミスが少ない」という最大のメリットがあります。

長くしゃべって、言いたいことが言えた気がするというときに
じつは録音されていなかったときのダメージは大きいです。

録音がされているかどうか、今、何分ぐらいしゃべっているか
視覚的に最も確認がしやすく、手軽さがあるのがICレコーダーです。

その音声ファイルを、USB経由でPCに送り、そこからNotebookLMにアップロードします。

音声ファイルが長すぎる場合には、いくつかに分割してからアップロードします。

(※やり方は「音声ファイル 分割」などと検索すれば、いくつか出てきますので自分に合ったやり方でやればよいと思います)

2)iPhoneの「ボイスメモ」とNotebookLMアプリを利用する


もう少し手軽にやるやり方もあります。

  1. iPhoneの「ボイスメモ」で録音

  2. 「名称変更」でファイル名を半角英数文字にしておく(例:001.m4a)

  3. 「共有」から「NotebookLM」を選択して「新規作成」

  4. 先ほどの名称変更されたファイルがアップロードされる

※半角英数文字に変更する理由は文字化け防止ですが、環境等によっては不要かもしれません。

iPhoneひとつで完結できる点がメリットです。

ただし、以下の点がデメリットになるかもしれません。

  • 音声ファイルの分割が必要になった時にその場でしにくい

  • 大容量だとスマートフォンのみの回線は時間がかかる


7.音声を入れたら、まずは「全体像」を返してもらう

録音した音声ファイルをNotebookLMにアップロードしたら、最初は細かいことを聞かず、まず全体像を返してもらいます。

たとえば、
「音声ファイルの概要をまとめてください」
このくらいで十分です。

※もし「001.m4a」のように名称変更していたら、
「001 概要」
だけでもうまくいくことがあります。

まず、自分が話したことが、どのようなまとまりとして返ってくるかを見ます。
すると、自分の体験が少し客観化されます。

「ああ、自分はこの出来事を中心に語っていたのか」
「印象に残ったと言いながら、実際には別の部分に多く時間を使っていたのか」
「何度も同じテーマに戻っているのは、それだけ気になっているからか」

こうしたことが見えてきます。


8.本番は、そのあとにNotebookLMと対話すること

ここがいちばん大事なところです。

要約を眺めて終わりにしない。
整理されたテキストを手がかりにして、さらに問い返していく。

たとえば、

  • 「この中で、私が強く反応していたテーマを抽出してください」

  • 「事実と、私の解釈を分けて整理してください」

  • 「私がモヤモヤしたまま残している点を挙げてください」

  • 「今後の実践につながりそうな示唆を整理してください」

  • 「内容面の学びと、形式面の学びを分けてください」

といった問いかけです。

このやり取りをしていると、単なるまとめではなく、少しずつ“自分の思考の癖”が見えてきます。

しかも、先に資料を入れておけば、

  • 「配布資料に書かれていた考え方と、私の体験はどうつながっていますか」

  • 「この発表の理論的なポイントと、私が印象に残した部分を対応させてください」

といった聞き方もできます。


9.最後に必要なのは、人間による「意味づけ」である

もちろん、AIの出力はそのまま鵜呑みにできるものではありません。

固有名詞の認識にズレがあることもありますし、ニュアンスが少し違うこともあります。
要約としては正しくても、自分にとって大事だったポイントが薄くなることもあります。

だから最後は、必ず自分の目で読む
必要なら直す
そのうえで、改めて考える

ここで本当に大切なのは、AIが整理してくれた内容を見ながら、

  • 自分は次に何をしたいのか

  • どこに価値を感じていたのか

  • 何が引っかかったまま残っているのか

  • 自分はどういう関わり方をよしとしているのか

を、自分の側で意味づけることです。

AIは整理してくれます。
でも、意味を与えるのは人間です


10.これは「記録術」ではなく、自己理解の補助線なのだと思う

このやり方の面白さは、音声で熱を残し、AIでそれを少し冷静に見直せることにあります。

熱だけでは、感情の記録で終わりやすい。
整理だけでは、そのときの生々しい反応が失われやすい。

でも、この2つをつなぐことで、
「自分にとって、あの体験は何だったのか」を、あとからもう一度考えられるようになります

そしてときには、
何を学んだか以上に、

自分が何に反応したのか
どのような場や関わり方に価値を感じるのか
どのようなスタンスで仕事や学びに向き合おうとしているのか

が見えてくることがあります。

そう考えると、これは単なる効率化の話ではありません。

NotebookLMと音声入力を組み合わせることは、体験を整理するための方法であると同時に、自分の輪郭を少しずつ見直していくための方法でもあるのだと思います。

まずは、
「今日はこれはちゃんと残しておきたい」
と思う出来事に出会った日に、10分だけ話してみる。

うまくまとまっていなくてもいい。
話が少し飛んでもいい。
「えー」や「えっと」が多くてもいい

大事なのは、そのときの反応を消える前に外へ出しておくことです。

そこから先は、NotebookLMと少し対話しながら、あとから考えていけばいい。

振り返りは、最初から完成していなくてよい。
むしろ、あとから少しずつ見えてくるからこそ、意味がある。

私は今のところ、そんなふうに感じています。

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