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はるをかんじ、あのこをおもう

私は「春」という季節が好きではなかった。
今も正直なところ苦手だけれど。


学生時代、その気持ちは今よりずっと色濃い物だった。


使い古し、慣れ親しんだものに愛着を感じることが多い私は、新しいものに入れ替わることに、違和感を覚えるから。


新年度。
クラス替え。
初めての教室の匂い。
新しい教科書。
自分に馴染まない、机や椅子。


そして新しいクラスメイト達。


対人コミュニケーションが苦手な私にとって、新しいクラスでまた一から人間関係を構築していくことがとても苦痛だった。


色んな経験をすることで、今では無理して自分に合わない人と時間を共有する必要はないことを知ったし、一人で有意義な時間を過ごすこともできるようになったけれど、学生時代はまだまだ未熟で。クラスで一人過ごすことはやはり勇気がいることだった。


友達はたくさんいないといけない。
そういう、不必要な自分で勝手に作ったルールに支配されていた。


小学校5年の時、互いに大親友と呼べる友人ができた。
思春期にさしかかり、口うるさい両親の顔色を窺って過ごす自宅の居心地が悪かったことも手伝って、親友の存在は「学校」を、魅力のない色褪せた場所から、一番私らしくいられる場所に変化させてくれた。


もう一つ付け加えるとするなら。
友人のおかげで、気が合わないと感じている人と、無理をして一緒にいるというストレスから解放された。その友人がいるからという理由だけではなくて。その友人が友達は無理をして作るものではないと教えてくれたから。


中学からは私と友人が同じ学校に通ったことは一度もない。


友人は私立の中高、そして遠く離れた大学に進学し、就職。そのままその土地で結婚した。私は大学進学、就職で一度は地元を離れたけれど、結婚し今はまた地元で暮らしている。


だけど私たちは今でも親友だ。
生活する場所も、学んだことも、経験したことも、性格が真逆な私たちは共感し合えることも実は少ないのだけれど。


ずっと親友。
側にいなくても心が繋がっているから距離なんて関係ない。


春の風を感じて、ふと思う。


照れくさくて伝えられないこの気持ちが
春生まれのあの子に届きますように。


#第2回灯火杯

第2回灯火杯に参加させて頂きました。
よろしくお願い致します。


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