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第95回社会経済史学会全国大会@専修大学生田キャンパス参加記録

5月9日、朝イチで司会担当が入っていたため、少し早めに出発し、8時45分頃には会場に到着。

司会を担当した第1報告(第5会場)は、髙橋直央(東大・院)さんの「戦時期・占領期日本の出版産業と日本出版配給株式会社」。戦時・占領期の出版統制と流通機構を扱う報告で、質疑も3つほど出ていたが、時間内できちんと整理しながら応答しており、非常に安定感があった。司会担当の私は会場では質問せず、アフターセッションの時間を使って報告者にコメントした。とくに、「公益」という考え方の位置付けと、それに対する政策・施策の関係を整理すると議論がさらに見えやすくなるのではないかとアドヴァイス。

次に聞いたのは、第5会場第3報告。白鷗大学の長井景太郎さんによる「高度成長期における悪臭公害の検討ー三重県四日市市における行政対応を中心にー」という報告。高度成長期公害研究というと水俣病や四日市ぜんそくなどが中心になりがちだが、「悪臭」という切り口は興味深かった。こちらでもとくに当時の厚生大臣であった園田直に関していくつか質問を。また懇親会会場でも色々とお話ができて良かった。長井さんは私の先輩である片岡豊さんの後任で、早稲田の後輩ということ。これも何かのご縁であろう。

午後、第4報告は第2会場で栗林聡さん(東大・院)による「戦時期日本占領地通貨政策における現金通貨政策」という報告を聴講。ただ、これは正直かなり難しく、十分には追いきれなかった。

一方、同会場第5報告であった早稲田大学/東北大学の結城武延さんによる「戦間期日本における株式市場の機能とショック伝播ー日次・個別銘柄データによる多角的検証ー」は非常に盛況で、教室がほぼ満杯。イヴェントスタディを用いた分析結果が印象的で、金融史・経済史の方法論もかなり変わってきていることを実感する。

そして第6報告が自分の報告。ギャラリーは13名ほどだったが、ほとんど知った顔ばかりで、ある意味ではホームゲームに近い雰囲気でもあった。文京学院大学の島田さん、城西大学の辻さん、木村昌人先生らにもご参加いただきありがたい限り。

報告後は、文京学院大学の島田さんとともにLSEのジャネット・ハンターさんの特別講演(History, Public Discourse and Competitive Advantage: British Analysis of Japan’s Economy through the Twentieth Century)を聴講。その後の雑談の中で出た「G.C.アレンって、中村君の平沼と同じじゃん」という島田さんの一言は、かなり鋭い指摘だったように思う。歴史学派の方法論、また比較史的な視野を持ちながら日本経済を捉えようとする姿勢という意味では、確かに通じる部分があると感じた。


5月10日午後、池尾先生オーガナイズのパネルのコメンテーターとして登壇。台湾中央研究院のお二人の報告については立教大学の湊さんがコメントを担当されたため、私は池尾報告と上宮報告へのコメントを担当した。

事前には「10分持たないかもしれない」と思っていたのだが、実際には少しオーバーしてしまったようで反省。コメントというのは短くまとめる方が難しい。

会場のギャラリー自体は15名弱と決して多くはなかったが、質問は活発で、議論自体はかなり面白かったと思う。ただ、パネル全体としては、もう少し問題設定の共有があっても良かったかもしれない。その点は個別報告というより、オーガナイズ側の設計の問題だろう。

もっとも、個々の報告はどれも刺激的であった。なお、池尾報告については、タイトルに掲げられていた「戦後日本の労働政策への遺産」という論点が、本報告ではやや後景化していた印象も受けた。

ともあれ2日間の大会運営にご尽力くださった大会実行委員会の皆さま、会場校のスタッフの皆さんには感謝である。

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