「9月10日までが夏休み」ではない。
世間では、大学教員の夏休みは長い、と思われている。多分。
実際、長い。学生の夏休みとほぼ重なるので、授業がない期間だけを数えれば、一般の会社員よりはるかに長い。
ただし、授業がないことと、大学に行かなくてよいこと、まして仕事をしなくてよいことは、まったく別の話である。
人によって仕事はいろいろあるだろうが、私の場合、今年の夏は四つほど課題を設定している。おもなものは原稿書きである。
要するに大学教員の夏休みとは、休暇というより、授業がないうちに普段できない仕事を片づける期間なのである。
ところが、その夏休みもそろそろ終わりである。
自分の後期授業の開始日は9月16日なのだが、その前に教授会や学位記授与式などの予定が入っていることを考えると、実質的な夏休みは9月10日までだろう。
そう考えてカレンダーを眺めてみる。あと13日。
「もう13日しかない」
と思った。これはいけない。物事は考えようである。「もう13日しかない」ではなく、
「あと13日もある」
と考えればよい。13日もあれば、かなりのことができる。
そこで、さらに考えた。
そもそも、なぜ9月10日までが夏休みなのだろう。授業が始まるから?
しかし、授業が始まっても夏休みに設定した課題が終わっていなければ、それはまだ「夏休みの課題」をやっている最中ではないか。
だったら、夏休みの課題が終わったときが、夏休みの終わりと定義すればよい。これはなかなか画期的な発想である。
9月になっても夏休み。後期授業が始まっても夏休み。秋になっても、夏休みの課題をやっている限り夏休みである。年を越しても終わらなければ、まだ夏休みである。そして、もし来年の夏までに課題が終わらなかったらどうなるのか。次の夏休みが始まってしまう。つまり、二つの夏休みが接続する。
こうして夏休みは永遠になる。
……などという馬鹿なことを考えていないで、原稿を書こう。
