「値上げすると客が離れる」と思っている経営者へ
原材料費が上がる。
人件費が上がる。
仕入れ価格も、
光熱費も上がる。
それでも「お客様のために」と、価格を据え置いてしまう経営者は少なくありません。
けれど、一度立ち止まって考えてみてください。
「値上げしないこと」=「お客様を大切にすること」なのでしょうか?
私はそうとは限らないと思っています。
むしろ場合によっては、値上げしないことのほうが、お客様を裏切る結果になることがあります。
値上げしないことにも、コストがある
想像してみてください。
あなたには、お気に入りのスタッフがいて、いつ行っても笑顔で迎えてくれる、行くだけで安心する店があるとします。
ところが、その店が利益を出せなくなったらどうなるでしょうか。
・人件費を十分に払えず、スタッフが辞めていく
・新しい人を採用できない
・設備が古くなっても直せない
・教育にお金をかけられない
こうして少しずつサービスが落ちていき、最後にはその店自体がなくなってしまう。
それは、あなたにとって嬉しいことでしょうか。
値上げを避けた結果として利益が減れば、経営者は何かを削らざるを得なくなります。
最初は経営者自身の我慢で済んでも、やがて設備投資、教育費、採用、スタッフの待遇と、削る対象は現場に広がっていきます。現場が疲弊し、優秀な人ほど辞めていき、サービスの質が落ちる。
それでは「お客様のために値上げしなかった」とは言えないはずです。
もちろん、根拠のない便乗値上げを肯定しているわけではありません。
大切なのは適正な価格にすること、そしてその価格に見合う価値を提供し続けることです。
値上げは単なる価格変更ではなく、スタッフの待遇や採用・教育・設備投資を守り、店を続けていくための経営判断でもあります。
消費税10%のとき、私も値上げが怖かった
実は私自身も、値上げが怖かった一人です。
消費税が10%になったタイミングで、人件費も物価も仕入れ価格も上がっていました。
長く利用してくださっているお客様に「値上げします」と伝えるのは、正直怖いものでした。
それでも、このまま価格を据え置けば「お客様を守る」どころか経営そのものが苦しくなると感じ、思い切って価格を見直すことにしました。
ただし、全商品を一律で値上げしたわけではありません。
・既存のお客様には、お得感のあるパッケージを用意
・新規のお客様には、メニュー価格を20%以上引き上げ
かなり思い切った判断でしたが、商品の中身を大きく変える代わりに、スタッフ全員でサービスの質を強化しました。
「価格を上げたのだから、今まで以上に価値を感じてもらおう」という意識を共有した結果、
・客単価が上昇
・リピーターが増加
・売上は前年対比130%
・経常利益も増加
という結果につながりました。
これは私の経験であり、すべての業種に当てはまるわけではありません。
それでも、ここから学んだのは「値上げ=客離れ」ではないということでした。
なぜ、値上げしてもお客様は離れなかったのか
単純に「原価が上がったから10%上げます」というだけでは、お客様は納得しないかもしれません。
大切なのは、価格を上げることではなく、その価格の意味をつくること、そしてその価格でも選ばれる理由をつくることです。
ここから先は、精神論ではなく、実際に値上げを考えるときに使える具体的な視点を紹介します。
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