“今っぽさ”と“古典性”が同居する音楽 ─ 音楽世界線 #4 ゲスト:原口沙輔 さん ─ 佐藤純一による放送後記
世代はかなり違うはずなのに、音楽の話になると不思議と噛み合う。そんな“共鳴”が感じられる時間でした。
沙輔さんは、音楽制作のスタートがMacのGarageBandという、生粋のデジタル・ネイティブです。カセットテープMTRから音楽制作を始めて、大人になってからデジタルに移行してきた僕とは、前提も発想の広がり方もまるで違います。音に対する距離感や扱い方の自由さには、やはり世代差を感じました。
ただ、その奥に流れている感性の近さを感じました。アプローチは違うのに、どこで音楽を成立させるのかという感覚が似ている。だからこそ、違いがむしろ面白く、ちゃんと接続できる感覚がありました。
沙輔さんのサウンドはとても精巧に設計されている一方で、ときに大胆に歪み、崩れます。その振れ幅の中で、音そのもので感情やメッセージを伝えてきます。いわゆる歌モノのフォーマットに収まりきらないのに、ポップとして成立しているのも非常に興味深いです。
ラジカルな芸術性とポップネスが絶妙に融合するバランス感覚はまさにYMOの文脈を感じました。
印象的だったのは、「感情をストレートに歌詞で書くなら、それはブログでやればいい」という言葉でした。音で語りたいという姿勢がはっきりしています。
そしてもう一つ、彼の佇まいです。若さとは裏腹に、どこか仙人のような静けさと老成した雰囲気があります。世の中に対するある種の諦念のようなものを根底に感じますが、それがネガティブに働くのではなく、むしろ音楽を純化させているようにも感じられました。
沙輔さんはいろんな意味で「今っぽい」けど、同時にすごく“古典的”でもある。
短い時間ではありましたが、「音で何を語るのか」という問いに対して、あらためて考えさせられる対話でした。

