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凍りついた心に、もう一度花が咲くまで|イディーネ解釈短編【メメントモリ二次創作】

※ここから先は、『メメントモリ』イディーネのメモリーをもとにした、個人的な解釈・二次創作です。

公式設定を断定するものではなく、イディーネというキャラクターを「自己否定」「孤独」「それでも残った希望」という視点から読み取った短編として書いています。

性能まとめとは別に、キャラクターの物語や感情面も楽しみたい方向けの内容です。

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はじめに

イディーネのメモリーを読んでいて、最初に強く感じたのは、彼女は「自分を否定したかった少女」ではなく、否定しなければ心を保てなかった少女なのではないか、ということでした。

自分の意思とは関係なく、周囲の命を奪ってしまう力。

その力によって人が離れ、居場所が失われ、誰かを傷つけるかもしれない恐怖だけが残っていく。

そうした状況の中で、イディーネは少しずつ自分自身を遠ざけていったのだと思います。

誰も近づかなければ傷つけない。
独りでいれば、誰も失わない。

それは自己否定でありながら、同時に彼女なりの防衛でもあったのかもしれません。

けれど、そんな凍りついていく心を、最後まで繋ぎ止めてくれた存在がいました。

今回は、イディーネにとっての友達を「心に温度を戻してくれた光」として解釈し、メモリー第7話の別れの場面をもとに短い物語を書いてみました。


解釈短編 凍りついた心に、もう一度花が咲くまで


町を包んでいた蔓は消え、
枯れていた花畑にも、少しずつ色が戻り始めていた。

風が吹く。

花弁が揺れるたび、胸の奥が痛んだ。

助けられた人もいる。
でも、助けられなかった命もあった。

あたしの力は、まだ危ういままだ。

……また誰かを傷つけるかもしれない。

その考えが浮かぶたび、身体の奥が冷えていく。

だから、行かなきゃいけない。

これ以上ここにいたら、
いつか本当に大切なものまで壊してしまう。

荷物なんてほとんどない。
静かに町を出ようとした時だった。

「本当に何も言わずに行っちゃうんだ」

聞き慣れた声に、肩が震えた。

振り返ると、そこにはあの子が立っていた。

どうして来るの。
どうしてそんな顔で笑えるの。

近づけば傷つくかもしれないのに。

あたしは視線を逸らした。

「……来ないで」

絞り出した声は、自分でも驚くほど弱かった。

本当は違う。

来ないでほしいんじゃない。
離れたくない。

でも、これ以上温かさに触れたら、
きっともう、独りでは歩けなくなる。

孤独は、冷たい。

心の奥から少しずつ熱を奪って、
何も感じなくさせていく。

あたしはずっと、
その冷たさの中で生きようとしていた。

誰も近づかなければ傷つけない。
独りなら、誰も失わない。

そうやって、自分を閉じ込めていた。

なのに――

「帰ってきたら、また一緒に花を見よう?」

あの子は、そんなことを言う。

責めもしない。
無理に引き止めもしない。

ただ、帰る場所があるのだと、
それだけを当たり前みたいに差し出してくる。

どうして、そんなに温かいの。

冷え切っていたはずの心が、
少しずつ熱を取り戻していく。

まるで止まっていた血が、
また流れ始めるみたいに。

気づけば、視界が滲んでいた。

「あたし……怖いんだ」

消えそうな声だった。

「また誰かを傷つけるかもしれない。
自分でも、どうなるかわからない……」

言葉にするたび、胸が痛んだ。

それでもあの子は、逃げなかった。

だからきっと。

あたしをここまで繋ぎ止めてくれたのは、
この子だったんだと思う。

暗闇の中で、凍えて、
自分まで見失いそうになっていたあたしを。

何度だって、ひなたへ引き戻してくれた。

「あたし、行くね」

まだ怖い。
まだ、自分を信じ切れない。

それでも。

この力にも、
あたし自身にも、
もしかしたら別の答えがあるかもしれないから。

いつかちゃんと、

「ごめんね」と「ありがとう」を伝えられるように。

あたしは小さく笑って、
もう一度だけ、あの子を見た。


あとがき

今回の短編では、イディーネを

「自分の力によって孤独になり、自己否定の中で心を凍らせていった少女」

として解釈しました。

イディーネの力は、周囲の命を奪ってしまう危険なものです。

けれど彼女を本当に追い詰めたのは、力そのものだけではなく、その力によって誰かと一緒にいられなくなることだったのではないかと思います。

人を傷つけたくない。
でも、近づけば傷つけてしまうかもしれない。

だから自分から距離を取る。
自分には居場所がないと思い込む。
そうやって心を閉ざしていく。

その姿は、単なる不幸というより、自己否定で自分を守ろうとしているようにも見えました。

ただ、イディーネの物語には友達がいます。

責めるわけでもなく、無理に引き止めるわけでもなく、ただ「帰ってきてもいい場所」を残してくれる存在。

その友達がいたからこそ、イディーネは完全に暗闇へ沈み切らずに済んだのだと思います。

自分が否定し続けていた力にも、もしかしたら別の使い方があるかもしれない。

自分自身にも、まだ別の答えがあるかもしれない。

そう思えたことが、イディーネにとっての小さな希望だったのかもしれません。


注意書き

この記事内の短編は、ゲーム『メメントモリ』に登場するイディーネのメモリーをもとにした、個人的な解釈・二次創作です。

公式設定を断定するものではありません。

また、本文中の短編は筆者による創作であり、公式ストーリーそのものではありません。

使用している画像がAI生成画像の場合は、公式画像ではなく、作品解釈をもとに作成したイメージ画像です。

問題がある場合は、該当部分を修正・削除いたします。

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