付き合ってない男にフラれた女。
フラれた。
いや、待ってほしい。
付き合ってない。
付き合ってないのに、フラれた。
例の男である。
ゼクシィくしゃみ男。
2回デートした。
3回目の約束もしていた。
私はわりと楽しみにしていた。
何なら曲まで作った。
私は、2回しか会ってない男を曲にした女である。
重い。
自分で書いててちょっと引く。
別に結婚したかったわけじゃない。
好きで好きで夜も眠れなかったわけでもない。
ただ、久しぶりに「また会ってもいいな」と
思っただけの話だ。
向こうも3回目に会うつもりだった。
たぶん………。
少なくとも約束はしていた。
さっきLINEが来た。
「お付き合いしたい方と出会いました。もうお会い出来ません。」
ほう。
なるほど。
お付き合いしたい方と出会いました。
もうお会い出来ません。
二度読んだ。
文章の意味はわかる。
日本語として非常にわかりやすい。
要するに、私じゃない女が採用された。
返信は「おめでとうございます」のみ。
しかし早い。
この前まで私と飯を食っていた男が、
私がのんきに曲なんか作っている間に、
別の女と「お付き合い」まで進んでいる。
早過ぎないか?こんなものなのか?
私は完全にナメていたらしい。
こっちはデートを反芻して歌詞を書いている。
向こうは次の選考を進めている。
そりゃ負ける。
私は何をやっているんだ。
しかもLINEでサヨナラだ。
会って話すほどの関係ではない。
電話するほどでもない。
まあ、そりゃそうだろうけど、
2回しか会ってないけど、
悔しい。
こちらも「なんで?」「私じゃダメ?」などと、
すがりつくほど乙女ではない。
35歳である。
元気に酒も飲む。
タバコも吸う。
付き合ってもいない男に、
縋っている場合ではない。
ただひとつ問題がある。
曲、作っちゃったんだよな。
どうすんだよ、これ。
本人はもう別の女を見ている。
私は本人不在のテーマソングを所有している。
しかも結構気に入っている。
捨てるのも惜しい。
だから残す。
男はいなくなった。
3回目のデートもなくなった。
ゼクシィくしゃみ男は、
たぶん別の女とゼクシィ方面へ向かっている。
そして私の手元には、曲だけが残った。
人生、だいたいこういう要らないものだけが、
形見みたいに残るのだろう。
くそっ!
