仕事中に、神経衰弱をやっている

よし、これは「小学校のカードゲームを、大人になった今、仕事中にやっている」という入り方が面白い。
「データ神経衰弱」を軸に、笑えるけど業務効率化の問題がちゃんと伝わる形で書こう。

仕事中に、神経衰弱をやっている


みんな、小学校の頃にやったカードゲームを思い出してみてほしい。

トランプ。

神経衰弱。

同じカードを探したり、順番を覚えたり。

「あっ、これさっき見た!」

「あれ、どこだったっけ?」

そんな遊びを、子どもの頃は楽しんでいた。

ところが大人になった。

会社に入った。

仕事をするようになった。

そして今、僕たちは――

仕事の時間に、神経衰弱をやっている。

もちろん、机の上にトランプがあるわけじゃない。

パソコンの中にある。

ファイルを開く。

すると、

「資料.xlsx」

がある。

その隣に、

「資料_コピー.xlsx」

がある。

さらに、

「資料_コピー2.xlsx」

がある。

そして、

「資料_コピー3.xlsx」

もある。

まだある。

「資料_最新版.xlsx」

「資料_最新版2.xlsx」

「資料_最終版.xlsx」

「資料_最終版_修正版.xlsx」

……。

どれが正解なんだ?

さっきまで小学校でやっていた神経衰弱と、何が違うんだ。

カードをめくる代わりに、

ファイルを開いているだけじゃないか。

「これは去年のやつ」

「こっちは途中まで修正したやつ」

「これは誰かがコピーしたやつ」

「こっちは最新版……だったはず」

そして、気がつく。

仕事が進んでいない。

ファイルを探している。

ファイルを開いている。

中身を確認している。

日付を確認している。

また別のファイルを開く。

そして、また確認する。

これを繰り返す。

これが、おじさんの言う、

「データのトラップ」

なのだと思う。

データが消えて困る。

もちろん、それも困る。

でも、もっと身近な問題がある。

データが残りすぎて、正解が分からなくなること。

コピーを作る。

念のため残す。

修正版を作る。

最新版を作る。

そして、また誰かがコピーする。

一つだったファイルが、

二つになり、

三つになり、

十個になり、

いつの間にか、

「どれが本物でしょう?」

というゲームになる。

しかも、このゲーム。

小学校の神経衰弱と違って、

勤務時間中にやっている。

しかも、楽しくない。

間違えると仕事が止まる。

そして、何より怖い。

「最新版」を見つけたと思ったら、

そのファイルを作った人が、

「いや、それ古いですよ」

と言う。

……おい。

じゃあ、どれなんだ。

僕たちは今、

AIだの、

クラウドだの、

業務効率化だの、

いろいろな便利なものを導入している。

それなのに、

「どのファイルが正解なのか探す」

という、小学生の頃から知っているゲームを続けている。

だから、おじさんは思う。

いきなり全部のデータを消せとは言わない。

大切な記録もある。

残しておかなければならないデータもある。

でも、まずは、

コピーのコピーを減らそう。

「念のため」で作ったファイルを整理しよう。

「最新版」が何個もある状態をやめよう。

そして、

「ここを見れば最新版が分かる」

という場所を作ろう。

それだけでも、かなり違うと思う。

業務効率化って、

新しいシステムを入れることだけじゃない。

もしかすると、

小学校の頃にやっていた神経衰弱を、仕事からなくすこと。

それも立派な業務効率化なんじゃないだろうか。

今日もパソコンの前で、

「コピー2……コピー3……最新版……最終版……」

とファイルをめくっている。

さて。

次のカードは、どれだ?

……いやいや。

仕事しようぜ。

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