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寿命を延ばすつもりが、心がちょっと縮んだ朝

「幸せホルモン、出てますか?」

オキシトシン。
この名前、なんだかファンタジーな絵本に出てきそうだけど、実際には科学的にもれっきとした存在で別名“幸せホルモン”。
愛情や信頼、触れ合いによって分泌されるホルモンらしい。
つまり、人は愛で包まれていると心が安定し、ついでに寿命も伸びるというのだ。

そして、6秒のキスと20秒ハグですると、オキシトシンが溢れる··らしいけど、正直、にわかには信じがたい。

ちなみに我が家、わりとハグ文化あるほうで。
夫もたまにだけど、ちゃんとした〝腕をぐるっと回す系〟ハグをしてくれる。形式的なものじゃなく、ちゃんと体温のあるハグ。
家を出た既婚の娘と息子。
たまに会うけど、別れ際にはふわっとハグしてくる。
「欧米か!」と突っ込まれるかもしれないけど、そんな雰囲気。

もっと頻繁にハグしてくれるのは末っ子息子(20代)。
毎朝、出勤する前にふわっとしたハグをしてくれるのだ。
正直いうと、ハグさせるように身体を寄せてくる感じ。
ありがたい。
だが、惜しい。実に惜しい。

Suicaですか?

··と突っ込みたくなるくらい一瞬で終わる。ピッ!終了。
オキシトシン出るかな?多分無理。
そりゃそうだ。社会人の息子にとって母親とのハグなんて〝朝のルーティン〟でしかない。
いくらこちらが、「寿命、あと5年伸ばしたい」と思っていても、朝は時間との戦いなのだ。

わたしとしてはもう少しアプリ的にして欲しい。
例えば「本日のオキシトシン、達成度65%、あと10秒ハグすればレベルアップ」みたいな通知がくれば夫にも息子にもアピールしやすい。

ある朝、SNSで拾った“20秒のハグでオキシトシンが出る説”を息子にぶつけてみた。
「ねぇねぇ、ハグ20秒でオキシトシン出るらしいよ、幸せホルモン」

息子、絶句。
母、腕を回す。
い~ち、にぃ~···
「いや、流石にムリでしょ」という、冷静かつ的確な拒否反応。
幸せホルモンを求める母。
一方、息子はストレスホルモンが分泌されたようだ。
ハグが寿命を延ばすとしても、拒絶されれば母の心は5年縮む。


自分で自分を抱きしめる。

「セルフハグ」って言うらしい。
自分で自分を抱きしめる。ちょっと怪しいが、実際にオキシトシンが出るらしい。ホルモン分泌の世界。
···すごいよ。現代人の孤独にも対応済み。

しかし、自分で自分を抱きしめて、幸せホルモンを出してまで延命するこの姿。
もはやストイックを通り越して、若干シュール。
だからひっそりこっそり自分を抱きしめる。
ホルモンが出ているかは定かじゃないけど、わたしは元気で笑ってる。
それで充分。

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