経験豊富で超優秀な女性警視正×AI捜査官が挑む、コールドケース!ジョー・キャラハン「瞬きすら許さない」が面白すぎる。
「AI」は、今、生活のあらゆるシーンで
必要不可欠なツールとなっている。
「AI」とうまくつきあって、日々
快適に過ごす人は多いのでないかと思う。
「AI」の導入によって、仕事の効率が
爆上がりする業種が確かにあるなと思った。
それは「警察」だ。
特に凶悪犯罪の摘発には多大な貢献を
すると思う。
今はまだ、膨大なデータを元に犯人に
繋がる手がかりを、何人もの分析官が
それこそ、寝食を惜しんで解析しているとはず。
そこに、超高速で必要なデータを抽出し
分析する「AI」が助っ人したらどうなるか?
ただし、警察が「AI」をどう使うかが
大きな課題となると思うが・・・。
そんなことを考えながら手に取った
英国推理作家協会賞受賞作「瞬きすら許さない」
ジョー・キャラハン。(東京創元社)
この作品が面白すぎた!
百戦錬磨の女性警視正とAI捜査官の
絶妙なコンビネーションが、これまでの
警察バディものと一線を画す、最高の
面白さを生んでいる。
愛する夫をがんで亡くし、10代後半の息子と
二人の生活にも慣れ、職場復帰を果たした、
警視正キャット・フランクは、AIを使った
捜査のテストケースを率いるリーダーとなった。
キャットは、昔気質の刑事で「AI」など
全く信用していない。しかも憎んでいると
言っていい。
だが上司の命令とあらば引き受けるしかない。
キャットは、ほか二人の捜査員と「AI」の開発者、
そしてロックというAI捜査官とチームを組んで
謎の失踪を遂げた二人の青年の行方を追うことに
なった・・。
刑事の直感を信じ、捜査に邁進する、キャット。
機械のくせに生意気にも刑事の直感など根拠が
ないと決めつけるAI捜査官ロック。
二人(?)は捜査開始から対立を繰り返す。
その間に入る部下の捜査官二人と開発者。
テストケースとして、一つはキャットの直感派、
もう一つはロックの言う、証拠に基づくアルゴリズムで
捜査するというやり方を、ほかの捜査員から提案され
それを実行することになった。
AI捜査官・ロックは、クールなアフリカ系男性のホログラムだ。
それが出現するシーンは、登場人物の衝撃の
度合いで描かれている。
もしかして、若い頃のデンゼル・ワシントンみたいな感じかも?
しかし、そのAIがいかに人間らしく振舞っても
「AI」は、機会であり、コンピュータシステムの
一部にしかすぎない。
どんなに人間をディープラーニングし、人間に
共感したり、アドバイスが出来たとしても、それは
あくまでプログラムの一環に過ぎないと思う。
人間の感情は、人間自身にも判断ができないほど
複雑で、奇怪でそして美しい・・・。
誰かを愛すること、喜怒哀楽の感情。必ず間違えるし、
間違えたら反省する。後悔する。
忖度もするし、差別もするのだ・・・。
一人の人間が善にもなり悪へと変化する。
人間って何なんだ・・・?
「人間らしさ」をこの作品で改めて知ることになった。
そして、「AI」ロック。事件解決のために
あらゆる情報を読み込ませて分析する。
警官が膨大な時間を費やして捜査する非合理性は
「AI」を使うことで飛躍的に改善される。
しかも人間が陥る、差別・偏見・忖度など入らない。
正確な判断で事件解決に大いに役立つだろう。
もしかすると「冤罪」も減るかもしれない。
また、キャット以外のキャラクターの背景も
しっかりと描かれる。「AI」開発者・オコネド教授が
なぜ「AI」を警察捜査に導入させたかったのか?
女性巡査長・ブラウンの苦悩、南アジア系のハッサン
警部補のコンプレックス。
チーム発足当初は、気持ちがばらばらだったが、
表裏のないキャットの指揮とAI捜査官・ロックの
微妙な空気感がこのチームを和ませ、まとまってゆく。
さらに、この失踪事件に隠された恐ろしい
画策は、神をも冒涜する狂った願望が発端だった。
それをキャットの直感とロックのアルゴリズムとの
共闘でついに暴くのだ!!
人間の短所をAIの長所が補う。またその逆も然り。
この作品は、見事なまでにそれが表現されている。
こんなにワクワク感満載で心を動かされる
作品だとは思わなかった。
海外ミステリー、警察小説を好きな人は
絶対に読んだほうが良いと思う。
超!おすすめの作品。
『瞬きすら許さない』
著者:ジョー・キャラハン/吉野弘人訳
出版社:東京創元社(文庫)
