偶然会う人
小学生にして「ラジオ聴いててヘッドフォンしたまま寝ちゃった」オマセな同級生は卒業前に元の家へ還るという格好で転校してしまった。
6年後(18歳)のある日、電車の中で、そのコと偶然会ったのだ。
同じ電車の同じ車両の同じドアから乗り込んで。
「ひさしぶり!変わんないからすぐわかったよ」と満面の笑みで声かけられた。(変わんないのそっちだけど)
子供の6年間って長いものなのに、不思議とびっくり仰天ではなく高校の卒業式以来だねぐらいの感覚だった。
彼女はラジオのCAさんよろしく可愛い声で澱みなく「青学の短期いってる、渋谷キャンパスは短大しかないから。いま帰りじゃなくて風邪ひいて寝込んでる彼のお見舞いに向かってる。彼は渡辺香津美似」と。
渋谷キャンパス、とか渡辺香津美似とかのワードがイメージぴったりすぎてちょっとウケた。こういう違和感のなさが安心感だし偶然会いがちな縁の繋がってる人なんだろうな。
ほどなくして自分が降りる駅に着き「ばいばい」ってだけ言って別れた。
連絡先交換なんかしない、そういう縁だから。
いつもなら西日射す時間帯なのだけど、その日は雨で真っ暗だった。
